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夏休みの宿題と稲盛和夫

180821

本日は、稲盛と夏休みの宿題にまつわるエピソードをご紹介します。

稲盛が小学4年生の時、工作の宿題が出ました。稲盛は学校の勉強をほとんどしていませんでしたので、教室で教わったことを活かして何か作るという発想はなく、かねてから友だちと裏の山や小川で遊ぶときに、木や崖の高さを測る簡単な方法があったらいいな、と思っていたので、物の高さを測る機械を作ってみようと思い立ちました。

まず竹の中をくり抜いて望遠鏡のような筒を作り、そこにセルロイドの板を仕込み目盛りを刻みました。次に簡単な三脚を作ってその上に竹の筒を乗せて固定しました。これが稲盛の作った測量計でした。

測りたい物体から例えば20メートル離れた場所に三脚を置き、測る物体のすぐそばに1メートルの長さの棒を立て、竹の筒の水準を合わせます。筒の片方の穴からのぞいて測りたい物が筒の中につけたセルロイド板の目盛りのどこにくるかで目標物の高さがわかる、という仕組みです。比例の考え方を応用して測量ができるようにしたのですが、稲盛がはりきって学校へ持っていくと、先生から、「お前は馬鹿か。そんなことで高さが測れるか」と叱られてしまいました。

実際のところ、この測量計では正確な高さを測ることはできません。測るには、比例ではなく三角関数の考え方が必要だからです。稲盛は小学4年生でしたので、まだ三角関数を教わっていなかったため単純に比例どおりにはいかないということを知らなかったのです。
稲盛はこの先生の叱責に対し、「もっと違う言い方があったはずです。子どものせっかくの創造性や努力を簡単に否定するというのは、才能を伸ばすどころか、才能の芽をつんでしまうことだと思うのです。」と当時を振り返っています。
(「君の思いは必ず実現する」財界研究所より)※イラストも含む