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稲盛和夫とぜんざい

190122

寒さが身に染みる季節になってきました。
こんな時は、やわらかいお餅が入った熱々のぜんざいが食べたくなる方もおられるのではないでしょうか?
今日はぜんざいにまつわる稲盛のエピソードをご紹介します。

稲盛は「母のやさしさ、温かさを思い出すとき、ほの甘いぜんざいの香りが一緒によみがえってくることがある」と述べています。

「私が生まれ育った鹿児島は、子どもたちの教育において、正義や武士道といったものを非常に大切にする土地柄だった。そういう教育の一環としてだったのだろう、毎年、赤穂浪士の討ち入りがあった旧暦十二月十四日になると、『赤穂義士伝』の話を校長先生から聞かされるという恒例行事があった。

(中略)何の暖もない極寒の夜の講堂で、ガタガタ震えながらさっぱり分からない話を聞かされた。板の床は氷のように冷えきり、その上に素足で正座、が何時間も続く。ようやく解放され半べそになって家に帰り着くと、母が門の前で待ちかまえ、『おかえり!早くお入り』と、いつもの笑顔で出迎えてくれた。

(中略)一息つくと火鉢のそばに向かう。粟餅と黒糖で作ったぜんざいを、母が『さあ、おあがり』と言いながら、お椀にたっぷりよそってくれる。そのお椀に顔を突っ込み、ものも言わずに食べる私。グツグツ煮えるぜんざいの湯気の向こうで、私を見守る母の笑顔は、どこまでもやさしかった」
(『ごてやん』より)

※写真:懇親会のイベントにて(2016年/盛和塾事務局提供)