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稲盛に関するエピソード「完全主義を貫く -パーフェクトとベスト-」

本日は、4月にまつわるエピソードとして、1981年4月に、フランス系の名門多国籍企業シュルンベルジェの社長ジャン・リブ―氏(当時)と稲盛が、「完全主義を貫く -パーフェクトとベスト-」について語り合ったエピソードをご紹介いたします。
40年ほど前、社長のリブ―氏から稲盛は、アメリカ・アリゾナのスコッツデールに所有しているリブ―氏の別荘で、経営哲学について語り明かしたいと招待されました。そのため稲盛は、1981年4月、京セラの幹部を数名連れて現地を訪問しました。その時のことを、書籍『京セラフィロソフィ』で次のように述べています。
シュルンベルジェのモットーに「ベストを尽くす」という言葉がありました。シュルンベルジェは、ロシアであれ、中国であれ、いずれの国においてもシュルンベルジェの技術を使わなければ石油が掘れないと言われるほどの会社です。その会社のモットーが「ベスト」であったわけです。片や京セラは、「パーフェクト」を目指す、と言っていました。
議論になったのはそのことでした。シュルンベルジェは「ベスト」を狙う。京セラは「パーフェクト」を狙う。ベストとは、「他のものより良い」「最高にいいもの」という意味ですが、私は「ものづくりの精神から言って、最高にいいものであっても、ちょっとした瑕疵(=欠点)、傷があるだけで、すべてが駄目になってしまう。だから、完璧、パーフェクトでなければならない」と言い、ベスト対パーフェクトで深夜まで議論が続いたのです。ついにジャン・リブー氏が「いや、そのとおりだ。今後はベストをやめて、わが社もパーフェクトに変えようと思う」と、私の意見に同意してくれました。
(『京セラフィロソフィ』より)
後年、そのシュルンベルジェのジャン・リブー氏を描いた本が、英語版、フランス語版、そして日本語版(タイトル『パーフェクト・カンパニー』)でも発売されました。その中に「京セラから学ぶ」という章がありますが、そこには、このスコッツデールでの出来事が描かれています。