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稲盛和夫 魂の言葉108

『稲盛和夫 魂の言葉108』(宝島社/稲盛和夫=述、稲盛ライブラリー=構成)から、稲盛の言葉とその言葉に関連するエピソード・情報をご紹介いたします。
<稲盛の言葉>
「集団、それはリーダーを映す鏡なのです。」(P104に掲載)
<宝島社の解説文>
アメリカ西部開拓時代の幌馬車隊の話に基づいて、稲盛氏がリーダーの要件として、まず第一に、「使命感を持つ」ということを挙げていることを説明しました。稲盛氏はこれに加えて、「目標を明確に描き、実現する」「新しいことに挑戦する」「信頼と尊敬を集める」「思いやりの心を持つ」という4つを加えてリーダーに必要な5つの要件として語っています。
「使命感を持つ」とは「自分たちは、この崇高な目的のために働く」という大義名分を持つ、ということです。このような使命感がなくては、多くの人々の力を結集し、最大限に活かすことはできません。集団を運営する者として必須の要件であると言えます。
第二に「目標を明確に描き、実現する」ということは、険しい道を辿りながらも、目的地を見失わずに幌馬車隊を導いたリーダーのように、ビジネスリーダーにとっても、目標を明確にして、いかなる困難があろうともそれを達成していくことが求められています。集団の全員が納得できる具体的な目標を設定し、集団全員が心から共有できるようにすること、そして、一番に熱意を持って妥協せずにその目標に取り組むのが、リーダーなのです。
第三に「新しいことに挑戦する」こと。これはまさしく未踏の地を目指した幌馬車隊のようなフロンティア精神を常に持ち続けることです。すなわち、組織とは、創造的な活動を繰り返すことによってのみ、成長を続けることができるのです。
第四に優れたリーダーとは「信頼と尊敬を集める」ことができる者だということ。幌馬車隊の隊長は、隊の統率をはかり、食料や水の確保と分配を、諍いなくしなければなりません。集団の融和をはかるためには、なによりもリーダー自身が立派な資質の持ち主であることが求められます。どんなに敏腕な人間でも、人から信頼や尊敬されることがなければ、リーダーには不向きなのです。
そして第五に「思いやりの心をもつ」こと。強いリーダーシップを発揮しなければならないリーダーだからこそ、根底には優しい思いやりの心が必要です。深い愛情があるからこそ、ときに厳しく部下を叱り、ときに一緒になって大喜びすることができるのです。集団・組織のことを一番に考え、思いやることができる人間にこそ、リーダーはふさわしいと言えるでしょう。
こうしたリーダーの行為や態度、姿勢は、それが善かれ悪しかれ、リーダー本人だけに留まるものではありません。それは、集団全体に広がっていき、ひいては組織全体にまで波及していくものなのです。だからこそ、問われるのはリーダーの人格、人間性なのではないでしょうか。
(『稲盛和夫 魂の言葉108』より)