Facebookアーカイブ
稲盛和夫 魂の言葉108

『稲盛和夫 魂の言葉108』(宝島社/稲盛和夫=述、稲盛ライブラリー=構成)から、稲盛の言葉とその言葉に関連するエピソード・情報をご紹介いたします。
<稲盛の言葉>
「人格というものは「性格+哲学」という式で表せると、私は考えています」、「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」、「人生や仕事の成果は(中略)〝掛け算〞によって得られるものであり、けっして〝足し算〞ではないのです」(P76に掲載)
<宝島社の解説文>
企業の経営に限らず、仕事においては、その人の才覚が重要になることはもちろんです。ただし、それが絶対に必要だというわけではありません。
稲盛氏は、京セラを27 歳で起こしたとき、もともと技術者だった自分は経営のいろはも心得ていない、素人の経営者だったと述懐しています。それでも社員たちの生活をあずかる経営者であることに変わりはありません。社員の相談に対しては正しい判断を下さなくてはなりませんし、的確な指示を出さなくてはなりません。
経営者が判断を間違えば、会社は傾き、社員やその家族を路頭に迷わせることになってしまう。こうした暗中模索のなかから、判断の基準を「人間として正しいかどうか」に求めることを決めたと、稲盛氏は語っています。
この「人間として正しいかどうか」ということは、その人の人格と不可分のことです。たとえば会社の経営に長け、会計学にも精通する、能力に申し分のない人間がいるとします。能力は十分であるが、その人格は邪で、利己的、欲にまみれた人物だったとしたら?なまじ彼は優秀であるために、巧妙に経理を操作し、不正を働くことは、ありえる話です。能力とはこのように、その人の人間性、ひいては人格によって、よくも悪くも使われてしまうものなのです。だからこそ、私たちはこの「人格」を高めることを忘れてはいけません。稲盛氏はこの人格とは、生まれながらに持っている性格と、その後の人生を歩む過程で身につけていく哲学、この両方で成り立っていると語っています。
ここで重要なのは、人格とはすべて先天的に決まっているわけではないということです。これは人生・仕事の結果においても同様です。
稲盛氏は人生・仕事の結果は、考え方と熱意と能力をかけ算したものだと説きます。能力とは先天的な資質に左右されるもの。熱意とは、事を成そうと努力する情熱のことを指しています。これは自分の意思に基づく、後天的な要素です。いずれも0点から100点まで、点数で表されます。しかし、最も大事なのが「考え方」なのです。この考え方とは、心のあり方や生きる姿勢、すなわち哲学のことを指しています。才能や熱意は0から100点ですが、考え方はプラス100からマイナス100点まで幅があるのです。しかも、これはあくまでもかけ算です。たとえ、才能や熱意がそれぞれ大きくとも、哲学がマイナスならば、その人の人生は、決して幸福なものではありえません。いくら才能に恵まれ、仕事を成功に導くための熱意に溢れていたとしても、この考え方が邪なものであったら、不幸を招く結果となるのです。