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稲盛和夫が語る「働く意義」

200720

「働き方改革」が提唱されて久しいですが、現在、働く環境の急激な変化の中で、改めて「なぜ働くのか」「いかに働くのか」という本質的な問いが私たち一人ひとりに投げ掛けられています。そこで今回は、稲盛が語る「働く意義」についてご紹介したいと思います。

かつて稲盛は、「すべての仕事は人を磨く」と題する寄稿の中で、これから職に就こうとする人々に向け、仕事に打ち込むことの大切さについて、次のように述べています。

「仕事は生活の糧を得るためだけのものと考えていると、大切な仕事の意義を見失います。仕事は苦しいものですし、人生も苦しいものですが、その苦しさを乗り越え、どんな仕事でも喜んで引き受けてください。やりたくない仕事も、意に沿わない仕事も、あなたを磨き強くする力を秘めているからです。(中略)美しい家具を作る職人、大工、縫製の仕事や多くの技術職、農林業など、どんな仕事であれ、それに打ち込めば、必ず人を磨くことになります。その仕事が好きで生涯をかけて続けたいと願う若い人たちが、真っすぐためらわず進んでいけるように、周囲の大人たちは心するべきではないでしょうか」

そして続けて、仕事をする目的について、次のようにつづっています。

「競争の激しい、弱肉強食のビジネス社会にあって、私たちはすぐ目の前にある利益や目標を必死になって追い続ける姿勢になりがちです。それは毎日食べていかなければならないのだから当たり前でしょう。しかし、精いっぱいやるというのはもちろん大切なことですが、この仕事は何のためにやっているのかといつも自問自答して欲しいと思うのです。
あなたの能力と時間を注ぎ込み、人生を費やしている仕事は人の役に立つのか。人を幸せにすることの一端を担っているのか。その仕事の原点に立ち返ることを忘れずに誠実な努力をして欲しい」(朝日新聞社編『仕事力 白版』に収録)

さらに稲盛は自著『働き方』の中で、「働くことは『万病に効く薬』――あらゆる試練を克服し、人生を好転させていくことができる、妙薬(素晴らしい薬)」であるとして、若い人たちにメッセージを贈っています。

「今の自分の仕事に、もっと前向きに、できれば無我夢中になるまで打ち込んでみてください。そうすれば必ず、苦難や挫折を克服することができるばかりか、想像もしなかったような、新しい未来が開けてくるはずです」

ぜひこの機会に、人生を好転させる「妙薬」でもある自らの仕事の意義について、見つめ直してみてはいかがでしょうか。