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稲盛ライブラリーこの逸品「ルーペ」

稲盛ライブラリー3階には、稲盛が実際に使っていたルーペが展示されています。
「稲盛」と名入れされたこのルーペを、常に肌身離さず持ち歩いていました。ルーペで何を観察していたのか。自著の中で次のように話しています。
私は医師が聴診器を携えて診療室に入るように、いつも製造現場にルーペを持っていきました。そのルーぺは、複数枚のレンズが組み合わされ、レンズを一枚出せば五倍、二枚出せば十倍の倍率に拡大されるというものでした。
私はいつも、そのルーペを通して、焼き上がった製品を一つひとつなめるようにていねいに、慎重に観察していきました。
小さな欠けが見つかれば、それだけで不良品です。またファインセラミックスは純白でなければならないのに、小さなゴマ粒のような黒点が表面にあれば、これも不良品です。
ルーペを片手にじっと観察していく。それは、製品の"泣き声"に静かに耳を傾けていたのかもしれません。
もし不良品が見つかったなら、つまり製品の泣く声が聞こえてきたら、『この子はいったいどこが痛くて泣いているのだろう。このケガはどこでしたのだろう』と考えていました。
そのように製品の一つひとつを、まるで自分の子どもでも見るかのように、愛情を込めて観察していくと、必ずと言っていいほど、問題解決や歩留まり向上につながるヒントを得ることができました。(『働き方』三笠書房)
稲盛ライブラリー3階には、このルーペのほか、実際に使用していたノギス、マイクロメーターも合わせて展示されています。
写真:3階に展示されている(左から)ルーペ、ノギス、マイクロメーター