Facebookアーカイブ
辻説法に込めた「感謝をする心」の大切さ

今から15年前の2006年6月、稲盛は一関、水沢、盛岡を回って托鉢を行い、各市の街頭に立って辻説法を行いました。
1997年に臨済宗妙心寺派の圓福寺で得度した稲盛は、京セラやKDDIを経営する合間を縫って修行を続けていましたが、当時の世相の乱れに心を痛め、「世の人々に仏の教えを伝えることでその心を安らげ、少しでも世の中が良くなれば」と願って、2005年から、日本各地を回る托鉢と辻説法を始めていました。
東北の托鉢では、妙心寺派のお坊さんと各市内を回り、商店街の街頭に集まった市民の皆さんを前に、感謝の心を持つことの大切さや、「心の手入れをする」とはどういうことかについて話をし、「美しい心を抱き、心を耕せば幸せな人生がひらける」と呼びかけました。この托鉢に寄せられたお布施は、厳しい環境に置かれた子どもたちの育成に役立ててほしいという稲盛の意思で、それぞれの地元にある児童養護施設や療育支援事業所などに寄付されました。
それでは稲盛の辻説法から、その一部をご紹介いたします。
「現在、われわれは宗教を忘れ、道徳も倫理も忘れ、自分だけよければいいのだという生活をし、そのために社会はギスギスしてしまっています。やはり『もったいない』と思うと同時に『感謝をする心』を持つことも大事ではないかと思います。生きているだけでも、皆さんとお目にかかることができていることだけでも、ありがたいことだと感謝をする。感謝をする心がありさえすれば、物事はたいへんうまくいくと、私は思っています。社会が住みやすくなるにも、仲良くなるにも、お互いが感謝の心を持つ。ささやかなことにでも感謝し、『ありがとう』『ありがとう』という気持ちで接していけば、世の中はもっともっと豊かに和やかになっていくのではないかと思っています」
(2005年5月 松江市内での辻説法より)
写真:辻説法を行う稲盛