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心。人生を意のままにする力

『心。』(サンマーク出版)から、稲盛の言葉をご紹介いたします。
<稲盛の言葉>
思い返せば、半世紀をゆうに超える長い年月を、私は会社経営という仕事に捧げてきました。その道はけっして、楽で安全な道ではありませんでした。いま振り返れば、まるで両脇が崖になっている、危険きわまりない山の尾根を歩きつづけてきたようなものです。
しかし不思議なもので、進んでいくのを不安に思ったことはありませんでした。何か大きなものに守られているような安心感があり、その中で信頼と確信をもって歩いてこられたように思います。
あるいは、恐怖や躊躇を感じる余裕すらなかったというほうが正しいかもしれません。深い霧に覆われて一寸先すらも見えない、そんな道を必死懸命に、目の前の一歩を踏み出すことだけを考えてひたすら歩んできた。
あるとき、ふとたちこめていた霧が途切れ、これまで来た道を振り返ってみたら、初めて切り立った山の崖の上の道だったことに気づき、背筋が凍る思いがした――たとえてみれば、そんな気持ちなのです。
自分の半生はつねにそんな道のりばかりでしたが、それでもどこか安らかな気持ちでやってこられたのは、ある思いがあったからです。
――純粋で美しい心をもって事にあたるならば、何事もうまくいかないものはない。つねに心を磨き、自己を高めつづけていれば、いかなる苦難に見舞われようと、運命はかならずやさしく微笑み返してくれる――
どこか信仰心にも似た、そんな信念が私の中に息づいていて、ありがたいお守りのように私の人生を助け、守ってくれた。そう思えてならないのです。(P203-204に掲載)