Facebookアーカイブ

稲盛和夫、かく語りき

211118

『稲盛和夫、かく語りき』(日経BP)から、稲盛の言葉をご紹介いたします。

<稲盛の言葉>
――ところで、1959年の設立以来、こんなに短期間に高成長された秘訣は何だとお考えですか。

稲盛 資本金300万円で、1,000万円を個人保証していただいて借り、初年度にやっと300万円の利益が出たんです。当時、経理も知りませんでしたから、保証してくださった方に迷惑をかけてはいけないので、3年間で借金は返せると思ったんです。
ところが、なんと税金が百何十万円かかり、配当もすると、100万円ぐらいしか残らない。借金返すのに10年かかるわけです。びっくり仰天して、皆に相談すると、そのために脱税するんだというんです(笑)。

しかしそこで発想を変え、税金はもともと経費だと考え直したんです。その残った分をどう伸ばすかが勝負だと見たわけです。そうすることによって、被害者意識はなくなりました。儲けの半分を税金で取られてあほらしいと思っていると、中小企業のままで終わるんですね。半分取られても、それは経費で、あとの半分は自由に使える、それをどう大きくするかと見るようにしないと駄目ですね。
秘訣といわれても、碁石のようにポンと打って形勢が一変するということはないような気がします。地味な努力の積み上げしかないと思います。最初の100万円、50万円を大事にして、積み上げるしかないのではないですか。

それと、経営の中心は人ですから、社員との人間関係が大切ですね。事業を通じて社員が幸せになるという合意があって、みんなが協力してくれる雰囲気が一番だろうと思います。そういう素晴らしい人々に集まってもらうには、自分自身がそういう人間にならなければいけないと思います。
私と2,200人の社員との人間関係は、最初に28人で肩寄せ合い、なぐさめ合って、仕事を始めたときの信頼の輪を広げただけだと思っています。
(P21-22に掲載、初出は『日経ビジネス』1975年12月8日号)

写真: 昭和51年 創立記念式典にて(1976年)