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稲盛和夫、かく語りき

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『稲盛和夫、かく語りき』(日経BP)から、稲盛の言葉をご紹介いたします。

<稲盛の言葉>
──経営理念を掲げている会社はたくさんありますが、思いという精神的なものの力を強く信じている経営者は少ないかもしれません。

稲盛 
ある哲学者が、「あなたの周囲で今起きている現象は、過去から今日までのあなたの思いによる結果なのです」という趣旨のことを言っています。これは自分の人生も会社経営も、その人が持っている思いの結果だということです。

科学技術の進歩にせよ、経営にせよ、すべて思いから始まっているわけです。科学技術の場合、研究者の「こういうものをやりたい」という好奇心や探究心が、発明、発見につながってきました。現代の文明社会は、人類の思いの集積されたものですよ。
どんな偉大な発明や発見も、どんな偉大な企業経営も、すべてはそれを担当した人の思いの結実なのです。事ほどさように思いというものは大事であるにもかかわらず、現代の経営者は誰も、思いをさほど大切には考えていない。
邪心にまみれた個人的な欲望ではなくて、世のため、人のためというような大義に基づいて純粋に自分を奮い立たせていく思いを持っていれば、個々人の人生も、会社経営も、社会も全部変わっていく。それを誰もきちんと言わないんですよね。
(P232-233に掲載、初出は『日経トップリーダー』2013年12月号)