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経営のこころ 会社を伸ばすリーダーシップ
『経営のこころ 会社を伸ばすリーダーシップ』(PHP研究所)から、稲盛の言葉をご紹介いたします。
皆さんも事案の大小はあれ、日々、部下から「これはどうしましょう」と判断を仰がれる場面があるはずです。そのときに、「これはよい」「これはダメだ」と指示されるわけですが、いったい何を基準にして判断を下したのかということが非常に大切になってきます。判断が間違っていれば、責任が重ければ重いほど、その影響も甚大なものとなっていきます。
このことは飛行機のクラックにたとえることができます。機体にほんのわずかなクラック、つまりひび割れが入っている状態で高度一万メートルの上空を飛行すると、クラックが広がって大惨事になるように、リーダーのわずかな判断の過ちはたちまち組織全体に広がり、崩壊を招くことになります。地上滑走のときなら、多少のクラックがあっても機体に致命的なダメージは与えません。
組織も同様で、責任が小さいミドル・マネジメント層であれば、たとえ判断に少しの過ちがあっても、まだ上に補正をする人間がおり、会社全体に過ちが広がらないようにすることができます。しかし、トップ・マネジメント層の場合には、過ちは決して許されません。ほんのわずかなクラックが飛行機の墜落事故を起こすように、小さな判断ミスを契機に、その影響が極限にまで広がり、それまで下してきた正しい判断も帳消しにして、企業を衰退に陥れてしまいます。
だからこそ経営者は、常に正しい判断をし続けなければならないのです。しかし、経営者という立場になったからといって、急によい判断ができるわけではありません。それまでにどういう生きざまをしてきたのか、毎日をどのくらい真剣に生きてきたのかということが問われてきます。
(P75~76に掲載、出典は2014年2月7日 シャープ株式会社講演)