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写真で振り返るあの日「整理整頓で感度を磨く」

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稲盛の性分のひとつに「几帳面さ」が挙げられます。それは手帳や資料に丁寧に書き込まれた文字にもよく表れていますが(※一部稲盛ライブラリーで公開しています)、いちばん分かりやすいのが稲盛の机上かもしれません。

この写真は1984年に撮影された稲盛の執務机での打合せ風景です。机の上にはファイルや書類、ペンがたくさん置かれていますが、ものが多い割にすっきりとして見えるのは、ものを机に対して平行・垂直に置くというひとつのこだわりがあったからなのです。
このことを自著『働き方』(三笠書房刊)で以下のように述べています。

(ふいに現場に行くと)ときには検査机や事務机の上の資料が、あちらを向いたりこちらを向いたりしていることがあります。机も紙もその形は四角なのですから、机の上の資料が斜めに置いてあったり、横向きになっていたりすると、私には奇妙な感じがしてなりません。
「机は四角形なのだから、それに合わせてものを置かなければ調和が取れず、気分が悪いでしょう。四角いところには四角になるよう、辺をそろえておきなさい」そう言っては、資料や筆入れが斜めを向いていたら、それが机の辺と平行になるように片っ端から置き直すのです。
ものの置き方一つを取っても、そこには「調和の感覚」といったものが必要になります。
それは仕事においても同様です。四角い机の上に、四角い書類がバラバラに、いろんな方向を向いて置かれているのを見て、それに違和感を覚えないような「感度」では、「完璧な仕事」ができることはおろか、「完璧な仕事とはどのようなものか」を理解することもできないのではないでしょうか。

社員に対して整理整頓をすることで「感度」を磨くことを求めた稲盛でしたが、実は自分自身をいちばん律していました。それゆえ、稲盛の「違いに気付く感度」はすさまじく、秘書や社員が稲盛の机周りを動かすときには、書類の順も含め完璧に同じ状態に戻せるよう、カメラで撮影するなどして、細心の注意を払っていたということを加えておきます。