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稲盛和夫の愛した鉄板焼 ホテル日航プリンセス京都「豊園」
稲盛の牛肉好きと言えば、吉野家の牛丼などB級グルメで話題になることが多いですが、もちろん本格的な牛肉料理も好んで食べていました。
ホテル日航プリンセス京都の再建を手がけて以降は、2Fにある鉄板焼「豊園」のステーキを好んで食べに行っていました。この「豊園」をオープンさせるときに稲盛がいちばんこだわったのが、カウンターテーブルの形でした。通常の鉄板焼はお客様が個別にカウンターを囲めるようにいくつかの島になっていることが多いのですが、ここではカウンターは大きなコの字型のものが一つだけになっています。稲盛はその中央の席に座るのがいちばんのお気に入りでした。
稲盛と一緒にこの鉄板焼をオープンさせた中埜智史総料理長は「ご自身(稲盛)もステーキを楽しまれていましたが、この席に座って周りの方々がステーキを召し上がられるのを本当に嬉しそうに眺めておられました」と話しています。だから、皆さんが見渡せる中央の席が好きだったのですね。ここでも、気配りの人であった稲盛の人柄が垣間見えるようです。
中埜総料理長によると稲盛は、肉本来の美味しさが味わえるという、カットしないダイナミックな焼き方がいちばん好きだったそうです。そのため、プライベートのときには特別にナイフとフォークを借りて自分で切り分けて食べることもしばしばでした。肉種も霜降りの脂ののった黒毛和牛ではなく、霜降りでない、肉の赤みが美味しい国産牛が好みで、そのサーロインが何よりのお気に入りだったとか。
一方で稲盛はここでも経営者としての姿勢を崩すことはありませんでした。いつもお見えのお客様の入り具合を気にしていて、お客様と一緒に個室を利用したときでも必ずメインフロアを覗いてその賑わいを確認し、席が埋まっていると満足そうに頷き、逆に空いているときには中埜総料理長に発破をかけて帰っていったそうです。好きなものを食べているときでも経営者の視点から離れることはなかったのです。
最後に、稲盛が好むステーキの焼き加減は「ミディアムレア」だったそうです。
写真:「豊園」内の鉄板カウンター
(中央の椅子の入れられている席が稲盛のお気に入りの席)