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稲盛とボーナス
いつごろから始まったか定かではありませんが、稲盛が社長であった当時から京セラでは、賞与の支給時には社員に対して社長からのメッセージがあり、それは、「皆さんがこうして賞与を手にできるのも日頃から皆さんを支えてくださっているご家族のおかげです。その家族の皆さんによろしくお伝えください」という趣旨の言葉で締め括られています。
これは、稲盛が社員を本当に家族のように思い、その社員を支えてくれているご家族も身内のように考えていたからこその言葉でした。自分の大切な家族である社員を支えてくださっているご家族に自分から直接言葉はかけられないけれども、その感謝の思いだけは社員から伝えてほしいという真実の気持ちが込められていたのです。
明日をも知れない創業期から経営をしてきた稲盛にとってはボーナスが出せることは本当に嬉しく、感慨深いものでした。毎年の稲盛のメッセージの中には、そうしてボーナスを支給できることに対する喜びや感謝の言葉が随所に現れています。創業4年目にして初めてまとまった額のボーナスを支給できたときには、全社員に呼びかけて、その一部から、経済的に困窮して正月のお餅代もないという家庭への歳末助け合い募金を行っています。ボーナスを出せた喜びを多くの人たちとも分かち合いたかったのかもしれません。
給与を支払うということの苦労を骨身に染みて知っている稲盛にとっては、ボーナスというのは決して給与の一部ではなく、自身も含めた全社員の努力や熱意、社員との強い絆を示す象徴的で特別なものだったのではないでしょうか。
イメージ写真 : 優秀な実績を上げたアメーバを表彰する稲盛 (昭和45年頃)
写真:優秀な実績を上げたアメーバを表彰する稲盛 (昭和45年頃)※イメージ写真