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『経営12カ条 経営者として貫くべきこと』④

『経営12カ条 経営者として貫くべきこと』(日経BP)から、稲盛の言葉をご紹介いたします。
忘れもしません。創業から12年後、1971年に株式市場に上場を果たしたときです。工場の空き地に全従業員を集め、感涙にむせびながら、次のように話しました。
「100メートル走のスピードでマラソンを走ったのでは、途中で倒れたり、落伍したりするだろうと皆さんも私もそう思っていた。けれども、勝ち目のない勝負をするより、短期間でもいいから全力で勝負を挑んでみたいと思って走りはじめたところ、いつの間にかそれが習い性となり、そのスピードを持続しながら今日まで走り続けることができた。
すると、先を行くランナーたちがそれほど速く走っていないことに気づきはじめた。先頭集団の後ろ姿が見えてきたからだ。そこでわれわれはさらにスピードを増し、一生懸命走った。いまでは第2集団を抜き去り、先頭集団を視野にとらえている。さあ、この調子で先頭集団を追いかけようではないか」
このように、全力疾走でフルマラソンを駆け抜ける努力こそ、誰にも負けない努力なのです。
経営者の皆さんに「努力をしていますか」と聞けば、「私なりに努力をしています」と一様におっしゃいます。しかし、企業経営は競争です。競合企業が自分たち以上の努力をすれば、中途半端な努力では功を奏さず、競争に敗れて衰退していかざるを得ません。
「私なりに努力をしています」という程度で会社は伸びていきません。血で血を洗う熾烈な企業間競争を勝ち抜き、成長発展を遂げていくには、やはり「誰にも負けない努力」でなければならないのです。
(『経営12カ条』「第4条 誰にも負けない努力をする」P93-94)