Facebookアーカイブ
シリーズ「稲盛和夫の著書」 第10回『京セラフィロソフィ』
固有社名がタイトルに入り、総600ページ超と分厚く、2,400円(本体価格)と高い・・・。読者が手にとりにくい条件そろい踏みの本書が、2014年の刊行以来版を重ね、ロングセラーになっています。
この書籍は、稲盛主宰の経営塾「盛和塾」で、『京セラフィロソフィ手帳』と呼ばれる京セラ社内テキストを稲盛がひもといた一連のシリーズ講演がベースになっています。盛和塾や京セラグループ内で稲盛の考え方を学ぶバイブルとなっていたその講演録を再編集し、広く世に問うたものです。
『京セラフィロソフィ手帳』とその解説書は、もともとは門外不出とされていました。しかし稲盛は、存在が世間に知られ、求める声が高まる中、「多くの企業経営者のお役に立ち、従業員の幸福の実現につながるなら」と出版を決意しました。
しかし、どの出版社にお願いすべきか。思案をしていたところ、書籍『生き方』が100万部を突破したことから、版元のサンマーク出版がお祝いの場を設けて下さいました。会場に到着した稲盛が目を見張ったのは、ホテルフロアにしつらえられた特設ステージ。舞台で演じられたのは、松山バレエ団プロデュースの稲盛のために創作された、一夜限りのバレエ「私は『生き方』の精に絶対になる」でした。盛和塾生でもあった清水哲太郎・森下洋子ご夫婦はじめ、バレエダンサー数十人が熱演を披露し、会場は感動に包まれました。
これは、サンマーク出版からの書籍刊行の謝意のみならず、さらに多くの方々に稲盛の書籍を届け、社会にエネルギーを送り続けるという、出版社としての決意表明でもありました。
このことに感激した稲盛は、その場で本書出版を申し出た次第です。サンマーク出版も稲盛の信頼に応え、造本に工夫し、市場への告知に努めていただきました。
今も多くの読者が本書を求め、版を重ねているのは、本書の内容が実践にもとづく経営指針として魅力的であるばかりか、著者の魂と出版社の志の協奏が多くの読者の心に響いているからに違いありません。