Facebookアーカイブ

『経営12カ条 経営者として貫くべきこと』 ⑨

231204

『経営12カ条 経営者として貫くべきこと』(日経BP)から、稲盛の言葉をご紹介いたします。

なぜ、勇気が必要なのか。まずは、物事を判断するときに必要になってくるからです。私は、企業経営に当たり、「人間として何が正しいのか」という原理原則に従って判断をしていけば誤りはないだろうと考え、それをただひたすらに貫いてきました。ところが、そのような原理原則で判断して結論を出さなければならないというときに、さまざまなしがらみが生じ、そのために判断を誤ることが往々にしてあるのです。

たとえば、工場用地の買収をしようとしたときに地元の有力政治家の意向で横やりが入ったり、社内で不祥事が発生したときにそれを察知した反社会的な組織が接触してきたりすることがあります。
そのようなとき、人間として何が正しいのかという原理原則ではなく、なるべく穏便に済ませて無用な波風を立てないようにすることを判断基準としてしまうことがあります。経営者に真の勇気が問われるのは、そのような局面です。

原理原則で決断を下したことによって脅迫を受けるなど、自分に災難が降りかかってくることがあろうとも、また人からいかなる誹謗中傷を受けようとも、すべてを受け入れ、会社のために最もよかれと思う判断を断固として下すことができる。それが真の勇気をもった経営者の姿です。
(『経営12カ条』「第9条 勇気をもって事に当たる」p.179-180)