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「大規模集積回路用セラミック積層技術の開発」により紫綬褒章を受章

1984年5月29日、稲盛は「大規模集積回路用セラミック積層技術の開発」により紫綬褒章を受章しました。
日本における褒章は紅綬褒章(人命救助)、緑綬褒章(ボランティア活動など)、黄綬褒章(農業・工業など)、紫綬褒章(化学・芸術など)、藍綬褒章(社内福祉)、紺綬褒章(寄附)の6種類があります。褒章は春と秋の年2回授与されます。この春の受章者数823名のうち、稲盛の受章した紫綬褒章受章者は35名でした。また、当時は50歳代での受章は少なく、1984年春の受章者の中では最年少でもありました。
褒章伝達式の後、天皇陛下に拝謁の際に御礼を言上する者が受章者の中から2名選ばれるのですが、稲盛はそのうちの一人に選ばれています。
受章をうけて稲盛は、「はからずも、紫綬褒章をいただくことになりましたが、これまでの公私にわたり、ご指導・ご支援いただいた皆様にすなおな気持ちでお礼を申し上げたいと思います。現在セラミックは新素材としてもてはやされ、ちょっとしたブームの様相を呈していますが、特殊磁器と呼ばれた25年前の業界と比べると、隔世の感があります。〝やきもの〟の世界で、高精度化・量産化の確立により、ファインセラミックは、特に電子工業界を中心に、大きな産業となりましたが、これを認めていただいたことは、この分野に身をおく一技術者として、喜びとある種の感慨を覚えています。この喜びは、25年間、ともに懸命の努力を続けた、社員のみなさんと分かちあいたいと思います」と、当時の社内報で述べています。
セラミック多層パッケージは、京セラ急成長の原動力として、最盛期には世界の半導体パッケージのシェア80%前後を占めるほどに成長するなど、京セラの代表的な事業となりました。U字ケルシマというたった一つの製品で始まった京セラが、弛まぬ努力の結果、技術開発を認められるまでになったことは、技術者の稲盛にとって特に感慨深かったことでしょう。

写真
1枚目:紫綬褒章授与のようす
2枚目:紫綬褒章メダル(稲盛ライブラリー5Fに展示しています)
3枚目:賞状