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『経営――稲盛和夫、原点を語る』④
『経営――稲盛和夫、原点を語る』(ダイヤモンド社)から、稲盛の言葉をご紹介いたします。
商いの極意というのは、お客様に尊敬されることだろうと私は思います。尊敬されれば、値段がいくらかという問題ではなく、「あなたの会社からしか買わない」と言ってもらえるわけです。「あなたの会社から買うのが最もいいことだ」と言われるくらい、お客様をして尊敬せしめるだけの器をもった人や会社になることが、商売の極意だろうと思っています。
それでは、徳性というのは何であるかと言うと、それはその人のもっている哲学なのです。すばらしい実績を上げるという信用の段階を超えた、さらにその上にある、その人のもつ哲学です。そういうものがあって初めて尊敬されるのだと、私は思うのです。
お客様をして尊敬せしめるだけの人物であれば、値段を他社と見比べて、安いから買ってもらえるのではなく、絶対的に信頼されて買ってもらえるわけです。絶対的に信頼された以上は、決して相手を裏切ってはならないのはもちろんです。もっとも、それだけの徳性をもった人であれば、裏切るようなことは当然しないと思います。
信用を築くためのプロセス(中略)を真剣に実行する一方で、営業に対する姿勢、もっと詳しく言いますと、営業の哲学というものをアウフヘーベンしていく。つまり、さらに高いレベルにしていくことによって、お客様をして尊敬せしめる段階までいくべきであろうと思います。
(『経営――稲盛和夫、原点を語る』「戦う中小企業の販売戦略」日本青年会議所(JC)経営開発シンポジウム講演、1979年9月7日、p.120-121)