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寄稿㉒「日本企業、模倣改め独創性を」(日本経済新聞1992年6月18日 「経済教室 企業人からの提言」)

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1992年当時、日本企業は通商摩擦の激化や不祥事による社会的責任の追及、さらには地球環境問題の深刻化などの諸問題に直面し、内外から厳しい批判にさらされていました。こうした中で、稲盛は日本経済新聞の「経済教室」欄において「企業人からの提言」として、「日本企業、模倣を改め独創を」と題する寄稿を発表し、従来の過当競争を招いてきた日本人の模倣体質を改め、個を確立することの重要性について、次のように説いています。

「...過当競争を生んでいる原因として模倣体質がある。一社が何か新しい技術なりアイデアで成功すると、他社も類似の商品を生産し、同じ市場でシェアを争う、いわゆる同質競争をしている。

日本人のこの模倣体質あるいは横並び体質は、弥生時代以降の稲作農業によって形成されたものと思われるが、確かにこれまではこの体質が日本の成功に役立ってきたと言えるだろう。しかし、今日逆に、この体質が海外の市場のかく乱要因になっている。(中略)日本において、このような模倣体質を改めていくには、まず、日本人に染みついた集団への協調を最優先させる価値観を見直し、個の確立を促すように教育制度を改める必要がある。

また、同時にこのような競争秩序を形成することが、我々を国内での際限のない過当競争から救済し、真にゆとりある社会を実現する道でもあることを認識すべきである」

写真:寄稿当時の稲盛(1992年7月)