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社員が語るエピソード「稲盛名誉会長との思い出」⑦

250306

※このエピソードは2022年、京セラ社内報特別号掲載用として社員から寄せられた思い出のエピソードです。表現、言葉づかい等は出来る限りオリジナルのままにしています。

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稲盛名誉会長とのエピソードとして、私の心に強く残っているものがあります。今でも偶然だったと思っておりますが、19988月に京都の亀岡から嵐山まで流れている「保津川下り」の船に乗った時の出来事です。

私は、当時京セラ社員だった妻と京都観光デートでその船に乗船しましたが、その船の最前列が4名席となっており、われわれの横に稲盛夫妻がお座りになりました。その時は入社3年目ということもあり、まさかとは思っておりましたが、先頭の船頭さんが出身地を聞かれた際に「鹿児島だよ」とお答えになられた瞬間に、全身に電気が走ったことを覚えています。おそるおそる声をかけますと、やはり名誉会長ご本人ということで、「君たちも京セラの社員か」と笑っておられました。

実は京セラ幹部の方々の同窓会に参加され、偶然この船に乗られたそうで、後ろにはKDDIや京セラエルコの幹部の方々が10人くらい同乗されていました。一人一人名誉会長から丁寧に紹介していただく度に、身が固まっていったことを本当によく覚えています。入社間もない若造にでも、気さくに話をしていただける稲盛名誉会長には、ただただ頭の下がる思いでいっぱいでした。

1時間以上逃げ場のない船上におりましたが、正直申しますと、その後の話は緊張しすぎてほとんど覚えておりません。その中で「君はプリンタ事業部の設計か、これから忙しくなるだろうからがんばってくれ」と言われ、その深い意味が理解できていませんでしたが、ちょうどその後に三田工業と一緒になることを聞かされ、正にそのことだったことに気づきました。

丁寧にお話ししてくださったお礼も兼ね、その写真を添えて、手紙を出させていただきました。それに対しても返事のお手紙を頂戴し、そこには「お会いしたことは大変奇遇でした。これからもお客様に慶ばれる製品を設計してください」と書かれていました。その一つのお手紙からその言葉を常に心に刻み、様々な業務に全力で取り組んでまいりました。KDC(※京セラドキュメントソリューションズ株式会社)の主力カラーコピー機であります「Iris」のプロジェクトリーダーを任され、2017年から今でも主力機として活躍しております。お手紙を頂戴してからその時点で20年も経ちましたが、その言葉を心に刻んで京セラグループの飛躍のために邁進しております。今でも稲盛名誉会長には感謝の心でいっぱいです。

京セラドキュメントソリューションズ株式会社 社員

写真:その時の保津川下りの写真。1列目手前から稲盛夫妻、寄稿者と夫人(当時の彼女)