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稲盛ライブラリーこの逸品 -青春(サミュエル・ウルマン)-

3月は卒業や年度末など、1年の締めくくりでもある季節。春から新たな生活を迎える方も多いのではないのでしょうか。そんな節目の時に稲盛がよく口にしたサミュエル・ウルマンの詩「青春」を紹介いたします。
「青春」
青春とは人生の或る期間を言うのではなく心の様相を言うのだ。
優れた創造力、逞しき意志、燃ゆる情熱、怯懦(きょうだ)を退ける勇猛心、安易を振り捨てる冒険心、こういう様相を青春と言うのだ。
年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる。
歳月は皮膚のしわを増すが情熱を失う時に精神はしぼむ。
苦悶や、狐疑や、不安、恐怖、失望、こういうものこそあたかも長年月のごとく人を老いさせ、精気ある魂をも芥(あくた)に帰せしめてしまう。
年は七十であろうと、十六であろうと、その胸中に抱き得るものは何か。
曰く、驚異への愛慕心、空にきらめく星辰(せいしん)、その輝きにも似たる事物や思想に対する欽仰(きんぎょう)、事に処する剛毅な挑戦、小児の如く求めて止まぬ探求心、人生への歓喜と興味。
人は信念と共に若く 疑惑と共に老ゆる。
人は自信と共に若く 恐怖と共に老ゆる。
希望ある限り若く 失望と共に老い朽ちる。(後略)
原作:サミュエル・ウルマン
邦訳:岡田 義夫
引用:『京セラフィロソフィ』p.284(サンマーク出版)より
稲盛ライブラリー5階、稲盛の執務室の机上には、この詩を入れた小さな額が置かれています。いつからかは定かではありませんが、秘書によると30年以上前から飾られていたようです。
稲盛は、新しいことを成し遂げるための要諦について語るときに、この詩をよく引用していました。1993年に行われた鹿屋体育大学開講10周年記念式典では、「青春」を紹介したのち、「社会に出てからでも、新しい分野の勉強を始めることは決して遅くはありません。大学を卒業されたら、日本はおろか、世界のあらゆる分野で活躍してほしいと思います」と締めくくり、若い人たちのあくなき挑戦と活躍を心から願っていました。
この詩に出てくる優れた創造力、逞しき意志、燃ゆる情熱、勇猛心、冒険心――それらは、稲盛が生涯大切にしてきたことでした。50歳を過ぎてから第二電電を創業し、80歳を前に日本航空の再建に乗り出した稲盛。机上に置かれた額を目にしては、誰よりも自分自身を鼓舞し続けてきたのかもしれません。
写真
稲盛ライブラリー5階 再現執務室にある稲盛の執務机
向かって右にあるのが「青春」の額

