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稲盛ゆかりの地をめぐる-「エジプトの古代遺跡群」

稲盛ゆかりの地。今回はエジプトです。稲盛といったいどんなつながりがあったのでしょうか。
2008年1月、稲盛は哲学者である梅原猛氏からの誘いを受け、古代エジプト文明の視察旅行に参加しました。当時、稲盛財団での活動を通じて「新しい環境問題と人類の生存」という研究に携わっていた稲盛は、そのヒントを求め遠くエジプトまで旅立ったのでした。
今なお過度な成長を追求し欲望のままに生きる人類は、すでに滅亡への坂道を転がり始めているのかもしれない、人類はそのような不安を感じながらも、それをあえて認めようとしないのではないか。稲盛の胸中にはそのような懸念があったといいます。
巨大なピラミッドや神殿など実際に遺跡を訪れる中で、高度な文明が滅び去ってしまう歴史を体感した稲盛は、ある確信を得ました。それについては、帰国後に行われた梅原氏との対談をまとめた書籍『人類を救う哲学』のまえがきで、次のように述べています。
「 『文明は必ず崩壊に向かう』 ―ナイル河を下るときに、頭に去来した思いを抱いたまま、エジプトからの帰国後、対談に臨んだ。欲望、つまり本能や利己心に基づいた近代文明だけに、近い将来、自壊していくしかないのではないかという、絶望感にも似た思いを持ちながら、先生とお話を進めていった。(中略) 梅原先生と二人、そんな人類に向かい、たとえ小さな声であろうが、警鐘を鳴らすべきだという思いで、対談を進めたように思う。(中略)欲望やエゴという悪しき心をベースに発展した文明に終止符を打ち、思いやり、愛、慈しみ、そして利他の心をベースにした、善き心に基づく新たな文明を構築していく―21世紀を、人類がその活動の動機を、欲望から利他に変革することができた、歴史的な世紀にしようではないか」
本書で述べられた「欲望から利他へ」という稲盛の文明観の根底を成す思想は、このエジプトの地でより一層、明確なビジョンとなって形成されたのではないでしょうか。
写真
- かつて栄華を誇った古代エジプト文明に思いをはせる稲盛 (2008年1月 ルクソールにて)
- 梅原猛氏(左) と(2008年1月 ナイル川クルーズの合間に)
- 対談による共著 『人類を救う哲学』 PHP研究所 刊

