トピックス

2010年

2010年05月18日

ウェハ直接接合技術において、京セラキンセキと東北大学が共同開発

業界初 原子拡散接合法の水晶デバイスへの応用に成功

広帯域対応水晶光デバイスなど開発のための新技術確立

2010年05月18日

トピックスは報道機関向けの発表文章であり、そこに掲載されている情報は発表日現在のものです。ご覧になった時点ではその内容が異なっている場合がありますので、あらかじめご了承ください。

京セラ株式会社の100%子会社で、水晶デバイスの開発製造会社である京セラキンセキ株式会社(社長:酒井 威、以下京セラキンセキ)は、東北大学電気通信研究所(所長:中沢 正隆)の島津 武仁准教授と共同で、ウェハの直接接合技術である原子拡散接合法を、業界で初めて水晶デバイスに応用することに成功いたしました。

原子拡散接合法とは、ウェハや基板を接合する際、通常用いられる有機系接着剤を使用せずに貼り合わせることができる直接接合方法で、島津准教授が開発した新技術です。
このたびの共同開発では、原子拡散接合法と、京セラキンセキが持つ高品質・高品位な人工水晶材料、および高度な加工技術と計測評価技術を組み合わせることにより、水晶デバイスにおいて、数ナノメートル※1と極めて薄い膜厚でも、有機系接着剤と同等レベルの高い強度を保持する接合が実現しました。 
※1:1ナノメートル(nm)=1.0×10-6(100万分の1)ミリメートル(mm)

光学部品として使われる水晶デバイスは、最適な特性を実現させるため、異なった性能を持つ水晶ウェハを数枚貼り合わせて使用することが必要となっています。
この貼り合わせにおいて、本技術を応用することにより、これまで有機系接着剤利用のデバイスでは得られなかった、水晶本来の優れた光学特性である広帯域での透過特性や、耐久性を十分に活用することができるようになります。この技術確立によって、高精度な水晶デバイスの開発・製造が可能になることを期待しています。

写真:原子拡散接合法で接合した水晶ウェハ
原子拡散接合法で接合した水晶ウェハ
  写真:上:接合前の水晶ウェハ、下:原子拡散接合法で接合した水晶ウェハ
上:接合前の水晶ウェハ
下:原子拡散接合法で接合した水晶ウェハ

■開発の背景
光学部品として使われる水晶デバイスは、それぞれの用途に合わせた最適な特性を実現させるため、主に光の偏光面角度の調節や、偏光面を回転させ光量を調節することなどが必要で、異なった性質を持つ水晶ウェハを数枚貼り合わせ製作されます。通常、複数枚のウェハは有機系接着剤で貼り合せますが、有機系接着剤は水晶より狭い透過域のため水晶本来の光学特性を十分活かせないことや、高輝度・高光束な光の照射に対する耐久性などが課題となっていました。
このため、プロジェクタの基幹部品として使われる波長板などの水晶デバイスは、長期使用において有機系接着剤が劣化し透過率の低下につながり、色あせ・色むらなどが発生していました。
また、紫外域および遠赤外域の波長を利用するレーザ加工装置などの機器においては、紫外域および遠赤外域の波長域で透過率が確保できないため有機系接着剤が使用できず、エアギャップ※2方式などが採用されていました。さらに、この方法では、形状やサイズが制約されるなど、水晶の特性を十分に生かすことができないことが課題となっていました。

このたびの原子拡散接合技術では、これらの課題を解決するだけでなく有機系接着剤と同等の高い強度を持ちながら、水晶本来の優れた光学特性である広帯域での優れた透過特性や、耐久性を十分に活用することが可能となります。
※2:エアギャップ:ウェハとウェハの間に空隙を空けデバイスを組み立てる手法。 ウェハを保持するために、ホルダーを用いる必要があり、形状やサイズが制限され る。

人工水晶と有機系接着剤の光透過率
グラフ:人工水晶と有機系接着剤の光透過率

※3:"Blu-rayTM"はBlu-ray Disc Associationの商標です。

■新技術の特長
1.広帯域対応の透過率を実現
今回の新技術を応用することにより、水晶本来の優れた透過特性を最大限活かすことができるようになり、紫外域から赤外域の広帯域での使用が可能となります。

2.高い耐久性を実現
有機系接着剤を使用しないため、透過性能が劣化せず、安定した透過性を長期的に維持することが可能となるため、高輝度・高光束の強い光を使用するレーザ加工機、および業務用や高精細なプロジェクタへの対応が可能となります。

3.高精度な水晶の光特性を実現
熱や圧力といったストレスを与えずかつ数ナノメートルレベルの極めて薄い接着層での接合を実現できたことにより、水晶そのものが有する光学特性(広帯域での優れた透過特性や安定した透過率)を、水晶デバイスにおいてもほぼ同レベルで活用することができます。

■京セラキンセキが保有する高い技術
1.長年培ってきた高品質人工水晶の育成技術
約50年にわたり培ってきた人工水晶の育成技術により、レーザ耐性に優れた原材料を用いることができました。

2.高度な加工技術
京セラキンセキ独自の平面加工技術と高い洗浄技術により、安定・確実な接合状態を実現することができました。

3.高度な計測評価技術
京セラキンセキ独自の高度な計測技術により、誤差が少ない計測を実現させ、精度の高い実験結果を得ることができました。

トピックスは報道機関向けの発表文章であり、そこに掲載されている情報は発表日現在のものです。ご覧になった時点ではその内容が異なっている場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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