技術で暮らしに寄り添っていく。
京セラが描くIoTを使った次世代ネットワーク

低価格、低消費電力ながら長距離伝送を可能にした
グローバルIoTネットワーク

Sigfoxを搭載したボタンによる緊急通報が可能な、見守り用デバイス
PCやスマートフォンなどの普及拡大がグローバル規模で急速に進み、現代の私たちの生活に欠かせなくなったインターネット。そして現在は、人だけではなく、世の中にあるさまざまなモノがインターネットを媒介としてつながり、情報交換することでより便利なデジタル社会を目指すIoT(Internet of Things)についても、年々人々の関心と期待が高まっています。
IoTが実現すれば、今まで取得することが難しかったあらゆるデータをクラウドに集約することが可能となり、それらのデータを集計、分析することで、社会生活の安心や安全、効率化に役立ちます。必要なのは、今までネットワークが存在しなかった場所に、ネットワークを構築していくこと。アプリケーションからインフラ、IT、基地局の建設までをオールインワンで実現できる京セラだからこそ提供できるソリューションを追求しました。
そして、京セラが注目したのが、フランス・Sigfox(シグフォックス)社が提供する新たなLPWA(Low Power Wide Area)ネットワーク、Sigfoxです。これまでなかった少量のデータ通信のランニングコストを抑えて実現できるサービスで、京セラは、2017年2月からSigfoxを日本で独占展開しています。従来ネットワークにつなげにくかったモノにも簡単に応用できることから、IoTの流れをより加速できるのではないかと期待されています。
Sigfox
Sigfoxは低価格・低消費電力・長距離伝送を特長とした、グローバルIoTネットワークです。
※日本国内では920MHz帯アクティブタグとして制度化されている帯域を使用したサービスを、京セラコミュニケーションシステム株式会社(KCCS)が電気通信事業者として展開しています。

失敗から学び、それを活かすこと。
突然変異を許容する文化がイノベーションを生む
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事業部長京セラコミュニケーションシステム株式会社
取締役
LPWAソリューション事業部 -
ネットワークインフラ課責任者京セラコミュニケーションシステム株式会社
LPWAソリューション事業部
LPWAネットワーク部
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Sigfoxの事業をスタートさせるにあたり、壁はありましたか?
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京セラは、早くからIoTの普及、つまり社会とモノがつながる時代が必ず来ると考えていたんだ。実際にお客様と話していても、モノをネットワークでつなぐことに対する需要は高かった。ただ、ネットワークは広域で大容量のデータ通信ができるような方向で進化を続けていたから、モノによってはその特性と合わないという問題があった。
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本来、少量通信で十分なのに、大容量ネットワークを使用するしかなかったと。
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大容量ネットワークを利用するとなると、当然お金もかかる。だから、用途に合わせて使い分けられるネットワークを、京セラだからこその通信技術のノウハウを活かして作り上げたかったんだ。
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Sigfoxは求めていた省電力、低コストで少量のデータを通信できるネットワークだったというわけですね。具体的には、どのような活用法を考えられていましたか?
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イギリスの自動車会社の事例だけど、お客様に出すDMにボタンみたいなデバイスと1、2回の通信しかできない電池をつけておく。お客様がDMを開けるとコールセンターに通知がいくようになっていて、コールセンターはそのお客様に電話ができるようになる。マーケティングツールとしても使えるかなと考えているよ。
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DMの開封率ってなかなか取れないですもんね。 使い捨てというコンセプトは、低コストのSigfoxならではですね。
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もう一つ応用できそうなのが監視カメラ。常時映像をネットワークで同期するのは維持費もかかるし大変なうえに、監視カメラって、色々なところに設置されていて、故障していたり、電池が切れていたりもする。だから、カメラに何か異常があった時だけ通知を飛ばすというような設定もSigfoxならできるよね。
あとはB to Cサービスでも機器にSigfoxを入れておけば、何かトラブルがあったときに機器の状態をカスタマーサポートが把握できるから、実はキメ細かいサポートがタイムリーにできるんだ。
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Sigfoxは痒い所に手が届くような存在ですよね。ちなみに事業部長は過去5年ほどシリコンバレーでの業務経験があるじゃないですか。そのときの経験でSigfoxの仕事に活かせていることってありますか?
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失敗を繰り返しそれに学ぶことが大切だということは強く刻まれているかな。あとは、従来の価値感とは違う突然変異を許容するような文化がないと、なかなかイノベーションは生まれないということも。Sigfoxという得体の知れない事業を当初自分が進められたのは、そういう素養をシリコンバレーで学んでいたからかもしれない。
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失敗に学ぶ仕組みという話がありましたが、失敗したときどう学び、立ち直っていますか?
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“過去に失敗した”と思うのではなく、“経験できた”と思うこと。もちろん私も失敗したら落ち込むけど、自問自答をたくさん繰り返して「でもアレがあったからこれが出来るようになった」というように考えているよ。
京セラグループの強みを活かし、
機器と通信のオールインワンソリューションを目指す

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情報通信はまだまだ開拓の余地のある分野だと思うんだけど、どんな未来になると思う?
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今はまだネットワークにつながっていないモノの方が圧倒的に多いですが、このままIoTが加速していくと、自分の持ち物すべてからデータが取れるようになると思います。それが必ずしも便利なのかは分りませんが。
でも、データとして見える化されることで、便利になる分野は必ず出てくるので、今まで協業することがなかった分野の人たちとの化学反応を起こせる未来が来ると思っています。 -
そこから新しい発想が生まれていきそうだね。
若手の社員にはどんどん新しいことにチャレンジしてもらって、自分の可能性を広げて欲しいね。まあそのためにはまず、先輩である自分たちが手本を見せるべきなんだけど(笑)。
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事業部長にアドバイスを頂いている通り、今の業務範囲に留まるのではなく未経験のことにチャレンジしなくてはと感じています。新しい技術やサービスをどんどん作って、世の中に広げていく役割を我々世代が担わないと、Sigfoxの成長もIoTの成長も望めませんからね。
今後、Sigfoxでどういうことを実現していきたいですか?
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具体的にいうと京セラグループは多数の機器を作っているので、まずはそれらにSigfoxを組み込みたい。グループ内で機器と通信のオールインワンソリューションを実現できるかな、なんて思っているね。それと、画期的なセンシング技術が出てきたら、ガラッと世の中の風景が変わるような気がしているな。
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