宝産商株式会社様 / ユニアデックス株式会社様

宝産商、ユニアデックス、
京セラの3社協業でIoTパッケージを開発。
センサーが取得したデータをクラウドに上げ、
いつでもどこでもリモートで確認可能

業種:電子応用機器の開発・製造(宝産商)、ネットワーク&サポート事業(ユニアデックス)
ニーズ:農業分野をはじめとする各分野へのIoT導入
製品:ビーコン対応GPSトラッカーGW

宝産商株式会社様/ユニアデックス株式会社様導入事例
ユニアデックス株式会社 エクセレントサービス創生本部の村瀬氏(左)と宝産商株式会社 電子機器事業部 技術アドバイザーの松浦氏(右)、中央は京セラIoT営業部 野口
    【背景・課題】
  • ●顧客の専門性に合わせ、多様なセンサーを取り付けられる通信デバイスが必要
  • ●センサーから得たデータをクラウドに上げ、いつでもどこでも見られるように
    【施策・成果】
  • ●最大24のセンサーを接続でき、ゲートウェイ機能も搭載
  • ●データはLTE-M通信でクラウドへ。今後は5G通信も視野に

センサーを用いたデータ収集を得意とする宝産商株式会社、システム構築に長けたユニアデックス株式会社、そして通信分野に知見のある京セラの3社が協業してIoTパッケージを開発。迅速かつ容易に導入でき、コストも抑えられることから、工業や農業をはじめ各分野での活用が始まっています。実際に、水質調査のために同パッケージを採用している東亜ディーケーケー株式会社の感想も含め、各社に話を伺いました。
※2022年1月現在

目的に応じた24のセンサーとつながる、
クラウドで世界中につながる

宝産商は長野県に拠点を置く1974(昭和49)年創業の会社で、落雷から制御盤を守るサージアブソーバや新型コロナ対策用の換気モニター、各種センサーなどを開発しています。また、ユニアデックスは日本ユニシスグループのICTインフラのトータルサービスやネットワークサポート、デバイスなどを提供している会社です。

「宝産商では、温度やCO2をはじめセンサーから取得したデータをBluetooth® Low Energyでスマートフォンやタブレット端末に送信するツールを手掛けてきました。この無線方式で届く範囲は半径20m程度ですが、今回のIoTパッケージで採用した京セラの『ビーコン対応GPSトラッカーGW』はデータをクラウドに上げるため、遠く離れた地球の裏側にいても内容を確認できます。当初からは想定外の、とても時代に合った仕様になりましたね」(宝産商 松浦氏)

ユニアデックス、京セラとの共同開発について語る松浦氏
ユニアデックス、京セラとの共同開発について語る松浦氏

この「ビーコン対応GPSトラッカーGW」は、SIMによる単体での通信が可能です。また「トラッカー」という名前の通り、固定時だけでなく移動中でも位置情報を取得します。さらに、ビーコン対応で屋内に設置してもピンポイントに位置が分かり、最大24のセンサーを接続できて、取得したデータをクラウドへ送信することができます。

「京セラさんのデバイスは、今回のパッケージ開発においてシステムを全体的にコーディネートしているユニアデックスさんの紹介で知りました。IoTが主流になりつつある今、センサーもシステム化されているほうがニーズも高いです。ユニアデックスさん、京セラさんと組むことで、Bluetooth® Low Energyの範囲内にとどまっていた当社のツールが、次のステップに進むと確信しました」(松浦氏)

「ビーコン対応GPSトラッカーGW」について語るユニアデックス株式会社 エクセレントサービス創生本部の村瀬氏
「ビーコン対応GPSトラッカーGW」について語るユニアデックス株式会社 エクセレントサービス創生本部の村瀬氏

一方、ユニアデックスは「ビーコン対応GPSトラッカーGW」の前身であるGPSマルチユニットの全盛期から京セラと協業。顧客の製品が輸送される際の温度・湿度の変化や受ける衝撃について、共に調査・研究をしてきました。

「GPSマルチユニットは位置情報が分かる上、内蔵センサーで温度、湿度、加速度も計測できます。これで満足するお客さまもいますが、それぞれの専門性や本当に取得したい情報を踏まえると、センサーを自由に選べて接続数も増やせるほうがより理想的だと思いました。京セラさんから、私たちの声が反映された次モデルがリリースされたと知り『ベストマッチなシステムが組める!』と判断して宝産商さんに紹介しました」(ユニアデックス 村瀬氏)

「ビーコン対応GPSトラッカーGW」について語るユニアデックス株式会社 エクセレントサービス創生本部の村瀬氏
「ビーコン対応GPSトラッカーGW」ついて語るユニアデックス株式会社 エクセレントサービス創生本部の村瀬氏

IoT導入を検討する顧客への分かりやすい
見本として、環境保全に取り組む企業が
パッケージを採用

こうして宝産商、ユニアデックス、京セラの3社が協業してIoTパッケージを開発。実際に採用している企業の一つが、主に水や大気の環境保全に取り組む総合計測機器メーカーの東亜ディーケーケー株式会社です。

「東亜ディーケーケーさんからは工場や魚の養殖場における水質調査のため、pHなどを検知するセンサーにIoTパッケージをつなげる予定だと聞きました。屋外への設置も考えられることから、当社と京セラさんのデバイスや電源を一体化させて樹脂製ケースに収納し、『防雨ケース内蔵データコレクタ』として提案しました」(松浦氏)

開発にあたり、宝産商がコンセプトに掲げたのは「設置しやすいこと」。現場で細かい部品を付けたり、複雑な配線をつないだりするのでは作業員の負担になるので、配線工事が非常に簡単になることを目指しました。そのため各センサーを容易に接続できるよう、端子台が付いているのも大きな特長のひとつ。

IoTパッケージ「防雨ケース内蔵データコレクタ」に採用された「ビーコン対応GPSトラッカーGW」について語る、東亜ディーケーケー 企画推進課専任課長 田淵氏
IoTパッケージ「防雨ケース内蔵データコレクタ」に採用された「ビーコン対応GPSトラッカーGW」について語る、東亜ディーケーケー 企画推進課専任課長 田淵氏

なお東亜ディーケーケーでは、顧客のIoT化が進む中、センサー単体の提案では話の幅が広がりにくいことを課題として感じていました。その一方でIoT導入に踏み切れず模索を続ける顧客も多く、分かりやすい具体例を示そうとデータコレクタを導入しています。

「システムアップされたソリューション提案が可能になると同時に、社内の技術者たちにも良い刺激になればと願い採用しました。京セラさんの『ビーコン対応GPSトラッカーGW』はよくできていますね。簡単にクラウドにつなげられる仕組みなど、我々だけでは考えもつかなかったかもしれません。本当にいいものができました」(東亜ディーケーケー 田淵氏)

「データコレクタは、当社の顧客である水処理薬品の会社でも採用されています。これまでは水の濁度や溶存酸素量を計測して薬品の効果を調べるため、わざわざ現場に出向いていましたが、導入後はリモートで確認できるようになりました。手間が減り、お客様も非常に喜ばれています。しかも小型でかつモバイル化されているので、調査現場が変わっても使い回せる柔軟性が魅力です」(村瀬氏)

京セラ製品が持つ「JAPAN MADE」の
強み。企業としても、寄り添う、
耳を傾けるという姿勢が素晴らしい

京セラ「ビーコン対応GPSトラッカーGW」
京セラ「ビーコン対応GPSトラッカーGW」

「IoTを始める」「データをクラウドに上げる」「求める仕様にする」などを実現するには、システムをカスタマイズしたり、サーバーを設置したりと、一般的にかなりのコストや期間を要します。その点、宝産商、ユニアデックス、京セラの3社によるIoTパッケージは「短納期で導入できる」「コストも人員も抑えられ“お試し”でIoTを始められる」という点が大きなメリットであり、さまざまなセンサーにもつなげられるので、あらゆる現場に対応することができます。

「スマート農業においても、作物周辺の照度、貯水タンクの残量、土壌の水分量、ハウス内のCO2濃度などをセンサーで計測し、データを解析して収穫量を増やそうと試みる方々もいます。まずは簡易的に導入し『IoTで何ができるのか』を感じていただきたいですね」(松浦氏)

京セラ「ビーコン対応GPSトラッカーGW」
京セラ「ビーコン対応GPSトラッカーGW」

一定レベルの機能を持つIoTパッケージが完成した今、多くの顧客に触れてもらい、生の声を聞いてマルチなソリューションを拡充させていくことが3社共通の目標。今後は取得したデータをどのように分析するのか、AIの導入含めて検討することも視野に入れています。

「高湿度、雨天、水中での稼働など、より過酷な環境での利用も考えられるでしょう。電子製品につき、どんなに対策を講じても不具合が生じるのは避けられないと思いますが、京セラさんの製品は『JAPAN MADE』の強みを持ち、すでに高い次元にあるので頑張ってくれると信じています。また、“京セラ”というネームバリューは信頼感の裏返しであり、現場からのフィードバックに対する改良も含め、圧倒的な安心感を覚えます」(松浦氏)

「前モデルのGPSマルチユニットから、京セラ製品は質が高いという印象です。『ビーコン対応GPSトラッカーGW』の開発にあたり、いろいろと意見を聞いてくれたのもうれしかったですね。担当の野口さんをはじめ、一緒に取り組む方々が、私たちのお客様にも向き合ってくれるのでとても心強い存在です。寄り添う、耳を傾けるという姿勢が素晴らしく、システムインテグレーターとして協業しやすい企業だと感じました」(村瀬氏)

IoTのハードルを下げてくれたことに感謝。次は5G通信による画像や動画の分野にもチャレンジ

「今回のIoTパッケージで、マルチセンシングのいわゆる“触覚”が出来上がりました。次はカメラを用いた“視覚”の世界にもチャレンジしたいです」と村瀬氏。現在の4G規格では通信量が不足するため、京セラの5G通信技術にも期待しているとのこと。

「ユニアデックスさんと京セラさんが関わっていると聞き、国内外のセンサーメーカーが『一緒にやりましょう!』と立ち上がってくれています。非常に面白い動きですね。もちろん2社に頼ってばかりもいられないので、当社もフレキシブルにセンサーやデータについて追求していきます」(松浦氏)

今後の展望について語り合う村瀬氏(左)と松浦氏
今後の展望について語り合う村瀬氏(左)と松浦氏
「ビーコン対応GPSトラッカーGW」を組み込んだ「防雨ケース内蔵データコレクタ」
「ビーコン対応GPSトラッカーGW」を組み込んだ「防雨ケース内蔵データコレクタ」

「我々としては『ビーコン対応GPSトラッカーGW』も含めたデータコレクタの小型化を楽しみにしています。また、ケースの強靭化を図ったりすると関心を持つお客さまが増えそうですね。とにかく、IoTを始めるためのハードルを下げてくれたことに感謝しています」(田淵氏)

京セラも以前はセンサーやシステムに関する領域まで手が届かず、顧客へのサポートが万全ではないと感じていました。しかし、こうして宝産商とユニアデックスと組むことで、今まで以上に課題解決の幅が広がっています。また、IoTパッケージが開発されたことで、ソリューション化に向けたビジネス展開もより活性化することでしょう。

「ビーコン対応GPSトラッカーGW」を組み込んだ「防雨ケース内蔵データコレクタ」
「ビーコン対応GPSトラッカーGW」を組み込んだ「防雨ケース内蔵データコレクタ」

京セラ担当者より

通信機器事業本部 IoT営業部 IoT営業課 野口太輝
通信機器事業本部 IoT営業部 IoT営業課 野口太輝

IoTを始める上で「何をすればいいのか分からない」というお客様が多くいらっしゃいます。また「どんなデータを取得すればいいのか」「機器やツールは何を選べばいいのか」と判断に迷われる現場の方々の声をよく耳にします。そんな方々に第一歩を踏み出していただくため、今回のIoTパッケージが誕生しました。

まずは課題に合わせてセンサーを選び、データを集めてPDCAを回していきましょう。そうすることで、現場で本当に困っていることを具現化することができます。課題解決のため、皆様と一緒になって取り組んでまいります。

お客様の概要

社名 宝産商株式会社
本社所在地 長野県茅野市宮川11368
事業内容 1974(昭和49)年創業。電子応用機器の開発・製造、レディミクストコンクリート製造、不動産開発などを手掛ける。農業分野ではおもに、落雷から制御盤を守るサージアブソーバや新型コロナ対策用の換気モニター、各種センサーなどを開発している。
WEB サイト http://www.takaraco.com
社名 ユニアデックス株式会社
本社所在地 東京都江東区豊洲1-1-1
事業内容 日本ユニシス株式会社(2022年4月からBIPROGY株式会社に社名変更)のグループ企業で、ICTインフラのトータルサービスやネットワークサポート、デバイスなどを提供している。
WEB サイト https://www.uniadex.co.jp/
社名 東亜ディーケーケー株式会社
本社所在地 東京都新宿区高田馬場1-29-10
事業内容 「水・大気・医療・ガス」の計測技術を柱として、生産および品質管理・プロセス制御・産業用ガス検知警報器・医療関連機器など、環境計測から化学分析まで、幅広い分野での製品・サービスを提供している。
WEB サイト https://www.toadkk.co.jp/
※LTEは、ETSIの商標です。
※Bluetooth®ワードマークおよびロゴは、Bluetooth SIG,Inc.が所有する登録商標であり、京セラ株式会社は、これら商標を使用する許可を受けています。

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