「求めている以上の環境がある」。サンガのSAPを選んだ理由

インタビューを受ける酒井滉生選手の写真

酒井滉生選手は、亀岡の出身ですが、やはりもともと京都サンガF.C.に親しみはありましたか。

そうですね。亀岡で生まれ育ったので、小さい頃からサンガの選手に触れ合う機会がありました。それがきっかけで、プロサッカー選手に憧れを持ったというのもあります。

進路には迷われたと思いますが、京都サンガF.C.のU-18、そしてSAPに参加しようと決めた理由を教えてください。

高校へ進学するタイミングで、「高体連でサッカーをするか」「Jユースでやるか」は、自分にとって大きな決断でした。
その中でサンガのユースを選んだ理由は、環境の面が大きかったです。高体連だと、部員が何十人〜何百人と多いので、スタッフと選手のコミュニケーションがどうしても限られてしまうなと思っていて。
その点、サンガのユースは個人の成長を重視していて、しっかりとしたサポート体制がある。自分が求めている以上の環境があると感じて、入団を決めました。

SAPの活動について、入団前に説明を受けたり、調べたりした中で特に「ここで成長できそうだな」と感じたのはどんな点でしたか?

学校・練習場・寮が、それぞれ近くにあるという点は、選手たちにとって大きなメリットだと感じました。移動時間がだいぶ短縮されるので、自分自身と向き合う時間がしっかり取れる。この環境は、他のところにはあまりないものだと思います。食事の面も魅力的でした。管理栄養士さんが栄養バランスを考えて作った料理を、朝・晩出してもらえます。味も美味しくて、体作りの面でも役立っています。

実際に入ってみて、SAPの活動で最も印象に残っていることは何ですか?

SAPでは、ある雑誌の内容に関する「勉強会」が、月に1回行われます。その雑誌には、人間力に関することが書かれていて、選手一人ひとりが読んで、感想を発表しています。この活動を通して、“誰かのために”という考え方や人間力の面が培われたなと感じています。

勉強会の中で、特に印象に残っている言葉や学びはありますか?

記事にあった「コツコツが勝つコツ」という言葉です。努力するにも継続することが大切ですし、コツコツ積み上げていくことが最終的に実を結ぶんだと実感しています。実際、上に行く選手って、努力を続けた人だと思います。この言葉を思い出しながら、日々頑張るようにしています。

トップチームの景色を変えたSAPでの学び

インタビューを受ける酒井滉生選手の写真

トップチームに2種登録が決まった時の率直な心境を教えてください。

2種登録は、ユースで活動する中で1つの目標としていたことなので、やっぱり嬉しかったです。ただ、高校生のうちからトップチームの公式戦に絡むのは、簡単なことではないので、「今よりも厳しい世界に入っていくんだな」という覚悟はありましたね。

実際にトップチームの練習や試合に参加してみていかがでしたか?

下部組織と比べると、プレースピードとか強度は何段階も上で、最初は圧倒されました。ただ、そういったプロの舞台を経験できるっていうのは、ユースにいる良さだなと思っています。

トップチームでの経験を経て、ご自身の「強み」は何だと感じていますか?

サッカー面の強みでいうと、ドリブルでの突破力や、相手ディフェンスラインの背後への抜け出しなど、スピードを活かしたプレーだと思っています。そういった部分は、プロの舞台でも通用するなという手応えを感じています。

逆に、これからもっと伸ばしていきたい「課題」はありますか。

プロの世界は結果が全てなので、得点力はもっと伸ばしていきたいです。他には、戦術理解ですね。時間帯とか対戦相手、相手のフォーメーションとかにも、それぞれに応じた戦術があると思うんで、その理解を深めることが自分の課題です。

トップチームに参加する中で、SAPで学んだ経験が活きたと感じる瞬間はありましたか?

はい。新しいことを積極的に学んだり、苦手な部分にも向き合い改善していったり、といった姿勢は、サッカーにも繋がっているなと感じます。
たとえば、自分はもともと数学が苦手だったんですが、「苦手だから」と目を背けるんじゃなくて、わからないところを色んな人に聞き、克服しようと努力しました。今では、少しずつ数学が得意になってきています。
サッカーでも、監督が求めているものにトライするなど、自分の課題から逃げずに向き合うようにしています。

共にトップチームに2種登録された尹星俊(ユン・ソンジュン)選手、本多敦選手とは、U-18でお互いにどんな存在ですか?

尹星俊に関しては、すでにトップチームと契約していて、練習にも参加していたので、単純に「すごいな」とリスペクトする気持ちと、「自分も負けられないな」という気持ちがあります。
本多は、トップチームのキャンプに参加してから、自主練の取り組み方が明らかに変わったなと感じていて、そういう姿勢は自分も学びたい部分です。
お互いが活躍することでの相乗効果はあると思うので、一緒にさらに成長していけたらなと思います。

紫のユニフォームで、世界へ。SAPが描かせてくれる未来図

コートに立つ酒井滉生選手の写真

2026シーズンよりトップチームへと昇格されるとのことですが、昇格の話を聞いた時はどんな気持ちでしたか?

話を聞いた時は、素直に嬉しかったです。やっぱり、これまでたくさんの人たちが支えてくれましたし、U-15の時には亀岡から電車で通っていたので、その送り迎えをしてくれた家族にも感謝の気持ちでいっぱいでした。
その反面、「やっとスタートラインに立てた」という気持ちや、「これからどこまで上を目指せるのか」といった自分に対する期待もありました。

今後の意気込みを教えてください。

まずは、トップチームで活躍できる選手になることが目標です。初めは出場時間も限られると思うんですが、その中でもコツコツと評価を積み重ねていきたいです。
チームとしてはJ1優勝のタイトルを目指したいですし、個人としてはそのタイトル争いに貢献できるような、得点を挙げる選手に成長したいと思っています。

目標とする選手像はありますか?

やっぱり、どのチームでも“苦しい時に点を決められる選手”が求められるものだと思います。なので、自分も「こいつが出てきたら点を取ってくれる」と思われる選手になりたいです。

その先の日本代表や海外への想いなど、今見えている景色を率直に聞かせてください。

もちろん、日本代表や海外進出は目指しています。
2024年に、プレミアリーグのボーンマスの練習を経験させてもらう機会がありました。そこで世界のサッカーの強度やプレー速度を肌で感じ、フィジカルやテクニックの面で求められる基準を知ることができました。なので、それを意識しながら日々成長していきたいと思います。

世界との壁はどのように感じられましたか。

フィジカルの部分では大きな差を感じました。同じ世代の選手であっても、出だしの速さや馬力は、トップチームの選手と同じか、それ以上のものがありました。ただ、日本人選手の技術は、全然劣っていないなと感じました。自分たちがユースで日々積み上げている取り組みはしっかりと力になっていて、世界にも通用するなと。

これからプロを目指す後輩たちに、「SAPでの経験は、夢を叶える上でこんな力になる」と伝えるとしたら、どんな言葉をかけますか?

成長するのに必要な環境を提供してくれますし、ここに集まる仲間は頼りになる選手ばかりです。それは自信を持って言えることです。なので、「その環境をどう活かすか」「今の自分には何が足りないのか」を常に考え続けることで、成長してほしいなと思います。