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オフサイトPPAとは?
企業・自治体へのメリットやオンサイトPPAとの違いを解説

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近年、再生可能エネルギーの導入が注目を集める中、オフサイトPPAを活用する企業や自治体が増えています。保有している敷地条件に左右されず太陽光発電システムを利用できることから、オフサイトPPAの導入を検討している方も多いのではないでしょうか。

この記事ではオフサイトPPAが企業や自治体にもたらすメリットや導入時の注意点を、活用事例や補助金情報と合わせて紹介します。初期費用をかけずに再エネを導入したい企業や自治体の方は、ぜひ参考にしてください。

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【目次】

 

オフサイトPPAとは

 
offsiteppa03.pngまずはオフサイトPPAの概要について解説します。

オフサイトPPAは、電力需要場所(企業の工場・自治体の庁舎など)から離れた場所に太陽光発電所を設置するPPAモデルの1つです。
この設置する太陽光発電システムは第三者(PPA事業者)が所有しているため、設置費用やメンテナンス費用はかかりません。
  • 電力需要場所から離れた場所に、PPA事業者が太陽光発電所を設置
  • 発電した電気を小売電気事業者を経て送電
  • 発電した電気を需要家(企業や自治体)が購入
    この3点が、オフサイトPPAの特徴です。

これらオフサイトPPAの特徴を見て、オンサイトPPAや自己託送といったモデルと似ていると感じた方もいるかもしれません。オフサイトPPA・オンサイトPPA・自己託送には似ている点もあれば、全く異なる点もあるので、それぞれの特徴を理解しておきましょう。

比較項目 オフサイトPPA オンサイトPPA 自己託送
設置場所 敷地外
(遠隔地)
敷地内
(需要地)
敷地外
(遠隔地)
所有者 PPA事業者 PPA事業者 需要家
導入費用
メンテナンス費用
不要 不要 必要
非常用電源
としての活用
難しい 可能 難しい

それぞれのモデルの特徴について、さらに詳しく解説します。

 

PPAとは

 
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PPA(Power Purchase Agreement)とは、再エネ発電所(太陽光発電所)を所有しているサービス事業者(PPA事業者)が、電力を必要としている需要家(企業や自治体)と売電契約を直接結ぶスキームです。とくにPPA事業者と企業が契約するモデルは「コーポレートPPA」と呼ばれています。

PPAスキームと似た再エネ導入形態として、リースモデルを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。リースモデルでは月々のリース料金が一定ですが、PPAスキームでは電気使用量によって月額料金が変動することが特徴です。

比較項目 PPAスキーム リース
初期費用 不要 不要
月額費用 電気使用量に応じて変動 一定
 

オフサイトPPAとオンサイトPPAの違い

オフサイトPPAとオンサイトPPAは、どちらも初期費用・メンテナンス費用をかけずに太陽光発電システムを導入できます。両者の最も大きな違いは、太陽光発電システムの設置場所です。

比較項目 オフサイトPPA オンサイトPPA
設置場所 敷地外(遠隔地) 敷地内(需要地)
所有者 PPA事業者 PPA事業者
導入費用
メンテナンス費用
不要 不要
非常用電源
としての活用
難しい 可能

オフサイトPPAの「オフサイト」とは、自社の敷地外のことです。そのため自社敷地の制約に左右されず、太陽光発電に優れた場所に発電所を構えられます。規模を大きくしやすいので、発電量を増やしやすいことも特徴です。

その反面、遠隔地に発電所を構える特性から、オフサイトPPAの太陽光発電システムを非常用電源として使うことはできません。オンサイトPPAであれば自社敷地の遊休地や工場屋根などに太陽光発電システムを設置するため、所有する敷地面積以上に規模を大きくすることは難しいですが、災害時の非常用電源として活用しやすいという特長があります。

 

オフサイトPPAと自己託送の違い

オフサイトPPAと自己託送は共に遠隔地に太陽光発電所を設置するモデルですが、発電システムの所有者が異なります。

比較項目 オフサイトPPA オンサイトPPA
設置場所 敷地外(遠隔地) 敷地内(需要地)
所有者 PPA事業者 PPA事業者
導入費用
メンテナンス費用
不要 不要
非常用電源
としての活用
難しい 可能

オフサイトPPAは遠隔地に太陽光発電所を導入する点では共通していますが、需要家が所有している土地では無い点や太陽光発電システムの所有者が発電事業者である点で異なります。

比較項目 オフサイトPPA 自己託送
電気量料金 かかる かからない
再エネ賦課金 かかる かからない
託送料金 かかる かかる
バランシングコスト かかる かかる

なおバランシングコストとは、送電網を使用して電力供給する際に発生する費用です。

発電事業者は発電量の「計画値」を定めなければなりません。そして実際の発電量、すなわち「実測値」と一致させなければならないとされています。これは将来的に再エネ(太陽光発電)を自律的に運用させることが目的だからです。

安定的な電力供給源として太陽光発電を使うためには、計画値と実績値の差(インバランス)を少なくしなければなりません。そのため発電事業者は計画通りに発電できない場合にバランシングコストを支払います。さらに、需給調整・インバランス調整に必要な費用もバランシングコストとして計上されます。
オフサイトPPA・自己託送は双方とも送電網を使用するため、このバランシングコストを負担する必要があります。

 

オフサイトPPAが普及する背景

 
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企業にも環境への配慮が求められていることから、これまでもオンサイトPPAを導入する企業は一定数存在しました。

しかし、オンサイトPPAは自社敷地の条件に左右されることから、全ての企業が導入できるモデルではありません。また、土地の制約から拡張できず、必要な電力を補いきれないこともデメリットです。

オフサイトPPAであれば、PPA事業者と契約さえ結べば、敷地に余裕のない企業でも太陽光発電の恩恵を受けられます。また導入費用やメンテナンス費用も、PPA業者が負担して対応する為、手間をかけずに太陽光発電システムを導入できることも、オフサイトPPAの普及を後押ししています。

 

オフサイトPPAが企業・自治体にもたらす6つのメリット

 
offsiteppa06.pngここまで紹介したオフサイトPPAの仕組みをふまえると、企業・自治体に役立つメリットとしては次の6つが挙げられます。
  • 初期費用0円で太陽光発電システムを導入できる
  • 太陽光発電システムの維持管理費用がかからない
  • 自社敷地の広さや条件に関係なく導入できる
  • 電力の価格変動リスクを軽減できる
  • 温室効果ガス排出量を削減することで社会貢献につながる
  • 複数拠点へ電気を供給できる
    これら全てのメリットを享受できることが、オフサイトPPAならではの特徴です。

 

初期費用0円で太陽光発電システムを導入できる

オフサイトPPAはPPAスキームの一形態なので、太陽光発電設備の設置はPPA事業者が行います。多額のコストを要せず太陽光発電システムを導入できることは、資金繰りや追加融資の観点からも好ましい点といえるでしょう。

PPAスキームであれば太陽光発電システムはPPA事業者が所有することになりますから、需要家としては資産計上・減価償却が不要なこともポイントです。

 

太陽光発電システムの維持管理費用がかからない

PPAスキームでは太陽光発電システムの維持管理はPPA事業者が実施します。メンテナンスや修繕、環境整備に伴うランニングコストが不要なこと、PPA事業者に委託できることで人的コストをかけず、手間を減らせることもメリットです。

 

自社敷地の広さや条件に関係なく導入できる

 
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自社敷地の広さや条件に制限されずに太陽光発電システムを導入できることは、オフサイトPPA最大のメリットです。

企業が必要とする電力を補うためには相当規模の敷地が必要ですが、それだけの余裕があるオフィス・工場は多くないでしょう。オフサイトPPAであれば、自社敷地の状況に関係なく再エネ調達が可能になります。

また、すでにオンサイトPPAで土地・屋根に太陽光パネルを設置しているものの、さらに再エネを導入したいという企業・自治体にとってもオフサイトPPAはおすすめです。オフサイトPPAは拡張性(追加性)に優れており、必要な電力量が増えれば、設備を増やしていくこともできます。

電力需要が増えていくことが予想される企業・自治体は、ぜひオフサイトPPAを活用してみてください。

 

電力の価格変動リスクを軽減できる

PPAスキームでは再エネ(太陽光発電)の使用比率を高めることで、原油価格の値動きに伴う電気変動リスクを軽減する効果も期待できます。
2023年のような電気代値上げは事業リスクにも繋がるので、継続的に多くの電力が必要なPPAスキームの導入を検討してみてください。

 

温室効果ガス排出量を削減することで社会貢献につながる

 
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PPAスキームでは太陽光発電で電力を調達することになりますから、企業として排出する温室効果ガスを削減する効果も期待できます。

昨今では、環境に配慮した運営を心掛けている自治体が増えてきました。 また、企業としての社会貢献・CSRの観点から、カーボンニュートラルを目指す企業も増えています。
地球環境に配慮した経営、すなわち「環境経営」を実践したい企業にとって、PPAスキームの導入は最初の一歩になるかもしれません。また、「環境経営」の実践はESG投資に繋がる可能性もありますので、ぜひ前向きにご検討ください。

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複数拠点へ電気を供給できる

オンサイトPPAにはないオフサイトPPAならではのメリットとしては、複数拠点へ電気を供給できることも挙げられます。
オンサイトPPAは同一敷地内への電力供給が前提ですが、オフサイトPPAは需要地から離れた場所に発電設備を構えるため、送電網を通じて複数事業所の電力需要に応えられます。

 

オフサイトPPAの注意点

 
offsiteppa09.pngメリットが多いオフサイトPPAですが、次のような注意点があることも覚えておきましょう。
  • 一般の電気料金がオフサイトPPAの電気料金より安くなる可能性がある
  • 非常用電源として活用できない可能性がある
    それぞれの注意点について解説します。

 

一般の電気料金がオフサイトPPAの電気料金より安くなる可能性がある

オフサイトPPAの発電コストは発電事業者と需要家が長期で単価を固定して契約の上で決定するのが一般的です。
最近では一般の電気料金が高騰しているためオフサイトPPAの電気料金の方が安いケースがあります。

しかし、今後もし電気料金が大きく引き下げられるようなことがあった場合には、長期固定単価で契約したオフサイトPPA の電気料金よりも一般の電気料金の方が安くなる可能性があります。

 

非常用電源として活用できない可能性がある

オンサイトPPAは需要地内で発電するため、蓄電池を併用することで停電時でも電気使用が可能です。
オフサイトPPAでは非常用電源(BCP対策)にすることは難しいことは覚えておきましょう。

ただし、自治体において需要地点と同一自治体内にオフサイト発電所を建設すれば、非常時の防災拠点にできる可能性もあります。オフサイトPPAならではの防災対策もありますから、京セラのようなPPA事業者と相談してみてください。

 

オフサイトPPAの事例

オフサイトPPAでは遠隔地に太陽光発電を設置すると聞いて、イメージがつかない方もいるかもしれません。具体的なオフサイトPPAの事例としては、次の2つが挙げられます。

  • 水上に太陽光発電所を設置
  • 遊休地に太陽光発電所を設置
 

水上に太陽光発電所を設置

水面に設置する「水上太陽光発電所」は、オフサイトPPAの代表例です。農業用ため池や貯水池など日光が当たるものの活用されていない平面を利用することで、オフサイトPPAを実現します。

 
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ため池は全国に約15万カ所もあり、灌漑・貯水以外の活用方法として太陽光発電が注目されています。 京セラでもため池の所有者・管理者はもちろん、行政とも連携しながら水上太陽光発電所の活用を進めています。20年間の契約終了後は太陽光発電所を撤去した状態で返却するため、安心して導入いただけることが特徴です。

水面に設置する水上太陽光発電所って何?ため池が発電所?

 

遊休地に太陽光発電所を設置

空地や広場など遊休地に太陽光発電所を設置するのも、オフサイトPPAの一種です。
また、資材置き場や駐車場など、需要地と少し離れている平面地や、開発予定で取得したものの建物を建てていない未開発地など、有効活用しきれていない場所があるのであれば、ぜひオフサイトPPAの導入を検討してみてください。

 

 

オフサイトPPAに活用できる補助金制度

 
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オフサイトPPAに活用できる補助金制度は、各省庁から毎年度いくつか発表されています。

たとえば令和4年度予算では、環境省にて再エネ主⼒化に向けた需要側の運転制御設備等導入促進事業として、オフサイトPPAの導入支援策が組み込まれました。

これらの補助金はオフサイトPPAを導入する需要家に直接支給されるのではなく、PPA事業者を通じた間接補助事業です。PPA事業者が補助額を加味したサービス料金を設定するため、需要家は間接的に補助メリットを享受できます。

参考:環境省|PPA活用等による地域の再エネ主⼒化・レジリエンス強化促進事業(1.26MB)

 

オフサイトPPAと合わせて京セラの再エネ電力供給サービスも活用!

オフサイトPPAは拡張性の高い再エネ調達手段として、電力需要規模の大きな企業や、庁舎敷地が限られている自治体にもおすすめの手法です。

京セラは「再エネ電力供給ビジネス」として、オフサイトPPA・オンサイトPPA・集合住宅や住宅向け定額サービスといった4つの電力供給元すべてに自社製太陽光発電システムを展開し、調達した再エネ電力を企業や自治体などの需要家へ供給する仕組みを運営しています。

需要家が複数の電気事業者から電気の供給を受けるスキーム「部分供給制度」についても、太陽光発電を利用する国内初の仕組みとしてサービス展開を開始しました。
オフサイトPPAの導入を検討している方、再エネ調達を検討している方は、ぜひ京セラにお問い合わせください。

 

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