ライオン株式会社様

IoTで手洗いの現状を知り、新しい習慣づくりを
「キレイキレイ」の使用実態調査

業種:化学
ニーズ:プッシュ動作/消費(重量)の検知、セルラー通信、認証取得、IoTシステム構築
製品:GPSマルチユニット内蔵IoTデバイス

ライオン導入事例
    【背景・課題・ニーズ】
  • ●手洗いの実態を知り、ハンドソープの自動再発注も検証したい
  • ●調査用のデバイスを自社開発するにはコストと期間を要する
    【施策・成果】
  • ●従来のアンケート調査とは異なる、生活者のリアルな実態を把握できた
  • ●これまで“遠い世界の話”だったIoTデバイスの活用が身近になった

ハミガキからシャンプー、衣料用洗剤まで、多様な生活用品や健康食品、OTC医薬品を製造販売するライオン株式会社。国内だけでなく、アジア各国でも製品を展開しています。

主力製品の一つ「キレイキレイ」は、O157(腸管出血性大腸菌)の流行を受けて「楽しく洗える殺菌ハンドソープ」を提案し、1997年に誕生。ハンドソープでは2002年から19年連続で国内売上No.1を誇り、新型コロナウイルス感染症拡大前から手洗いの習慣化を牽引してきた製品です。発売から25年目の今も、ブランドの根幹にある思想は『家族や大切な人を想う愛情』です。清潔衛生ブランドとして、手指消毒剤やウェットシートなども展開し、現在も行政や企業と共に行う「キレイのリレー」活動を通じて、人々が安心して快適につながり合える社会の実現を目指しています。

そのキレイキレイの新たな取り組みとしてIoTデバイスを用いた実証実験が、2020年9月から2021年8月にかけて行われました。この実証実験に、京セラのGPSマルチユニットを内蔵したIoTデバイスが採用されています。ライオン社はIoTで何を目指すのでしょうか……。同社システム担当の松木秀雄氏に話を伺いました。
※2021年9月現在

内容量が減るペースや詰め替えのタイミングを初めて数値化

今回の使用実態調査の主な目的は「手洗い行動の現状の把握」および「IoTを用いた新たな顧客体験価値の検証」。その背景には「新たな顧客体験価値の創造により、より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献したい」というライオン社の思いがあります。

システム及びデバイスを任されたのは統合システム部の松木秀雄氏。製品と連携するアプリの開発や、関連サイトの構築も手掛けることから白羽の矢が立てられました。

「調査にあたり、京セラ様にIoTデバイスの開発を依頼しました。キレイキレイのハンドソープを乗せる受け皿型で、搭載センサーによりポンプを押した時刻や回数が分かるものです。そして取得した各データは、通信機能を利用して毎日クラウドサービスへと送られます。」

このデバイスはさらに、ボトル重量の変化も感知。これにより、過去の使用実態調査を通じて初めて「内容量が減るペース」「詰め替えのタイミング」が数値化されたそうです。また、手洗い1回につき1プッシュで済ませる人と複数回押す人の割合など、生活者のリアルな姿も分かりました。

さらに今回は、詰め替え用製品の自動再発注も検証。京セラの提案した実証システムでは、重量変化のデータを利用してAmazonの消費財再注文サービス「Amazon Dash Replenishment」と連携しており、新たな仕組みづくりでも研究が始まっています。

キレイキレイと『プッシュコネクション』
キレイキレイと『プッシュコネクション』

「データの収集ではなく分析が勝負どころ」と京セラに依頼

「データの収集ではなく分析が勝負どころ」と京セラに依頼

Amazon、 Dash 及びこれらに関連するすべての商標は、Amazon.com, inc.又はその関連会社の商標です。
残量把握と通知には、ソラコム社の「SORACOM Air」および「S+ Smart Notification」を利用しています。

クラウド上のデータベースで、ハンドソープ使用状況のデータ保存と、つめかえパウチの在庫を管理。

ライオン社がデバイスを外注したのは、そもそも自身が化学品メーカーであり、専門外の領域に時間や人員を割くのは妥当ではないと判断してのこと。過去に自社で通信機器の認証を取得するプロジェクトも経験した際の苦労から「勝負すべきはデータの収集方法を探すことではなく、収集したデータの分析にある」と考えました。

また、他社の提案も受ける中で京セラに決めたのは「IoTで鍵になる通信に明るく、自動発注のシステム構築にも強みを感じたから」。さらに携帯通信機器の事業で30年以上の歴史があり、自社製品も豊富で、デザインや機能面も含め総合的に相談しやすい点に引かれたそうです。

「システムのサポートを含めて『IoTに力を注ぐ』という姿勢に共感しました。この分野に疎い私たちに『同じゴールに向かい、横について一緒に走る』というスタンスでいてくれたことも決定的ですね。さまざまな提案を積極的にいただき、発注者・受注者の関係ではなく、同じ目標を持つプロジェクトメンバーと私は捉えていました。」

コストや必要日数と成果のバランスを総合的に踏まえると、今回の企画を社内で通すのは困難だったとか。それでも京セラは、ライオン社の状況を理解して適切に対応案を提示。松木氏は「大企業なので小さなプロジェクトには無関心だと思っていました。ところが全く逆で、前向きな姿勢が頼もしかった」と続けます。

半年以上の電池駆動と防水機能に加え、通信の設定も不要

実際のデバイス開発に際してライオン社は「洗面所での使用に耐えられる防水機能を」と要望。さらに「コードが邪魔にならないよう乾電池を用いること」「実験期間は約1年なので、モニターの負担軽減のためにも乾電池を入れかえることなく半年は駆動してほしい」ともリクエストしました。

これに対し京セラは「水の飛沫からデバイスを守るIPX4相当」「汎用的な単3電池を入れるだけで半年以上駆動」と条件をクリア。さらにLTE-M(携帯電話ネットワークを使用する低消費電力の無線通信方式)を利用したことで、Wi-Fi®などのネットワーク設定が不要な点も高く評価されています。

半年以上の電池駆動と防水機能に加え、通信の設定も不要

GPSマルチユニット利用で開発期間とコストを削減

GPSマルチユニット
GPSマルチユニット

プロジェクトではまた、アンテナ内蔵で通信機器の認証を取得済みである京セラのGPSマルチユニットを利用したことも大きなメリットをもたらしました。試作を含む要件定義が3カ月、実際の制作期間が同じく3カ月と、わずか半年でIoTデバイスが完成。通信関連の開発に要する時間を大幅に短縮し、コスト削減にもつながりました。

京セラは長年にわたり通信機器を開発してきたメーカーとして、今回の実験でも技術やノウハウを応用。携帯電話などをトータルで設計してきたことから、機能、デザイン、バックエンドの通信部分まで包括的に開発できるのが特長です。

「何でもご相談できることが心強かったです。『通信なら強い』『センサーはお任せ』『システムだったら得意』という複数の企業でチームを組む場合と比較して、よりスムーズにプロジェクトを進めることができたと考えています。1社に全て任せられて、最適な選択でしたね」

GPSマルチユニット
GPSマルチユニット

プロジェクトを通して分かった「IoTは難しくない」

従来のアンケートを中心に行っていた使用実態調査では、取得できていなかったデータを得ることができ、新たな顧客体験価値創造の起点になりえると松木氏は言います。
「先にも述べましたが、私たちが勝負すべきは取得したデータの分析や活用で、この作業に集中できて助かりました。私たちのIoTデバイス構築に掛かる負担を減らそうと、配慮してくれたことにも感謝しています。大変望ましい結果です」。

また今回は実証実験という位置づけでしたが、今後の実用化に当たってはより多くの場面で活用できるように、京セラには小型化、低コスト化を期待しているそうです。
「プロジェクトを通じて『IoTは難しくない』という感覚が芽生えました。京セラ様のおかげで“遠い世界の話”が身近になりましたね。これからもIoTを、手洗いの新たな習慣づくりに役立てたいです」。

プロジェクトを通して分かった「IoTは難しくない」

京セラ担当者より

通信機器事業本部 通信技術部 第3技術部 第1技術課 梅原 正教
通信機器事業本部 通信技術部 第3技術部 第1技術課
梅原 正教

IoTの分野はお客様ごとにご要望が異なることが多く、またその内容も多様であることから、我々もその多様なご要望に対しご満足いただける解決策を提案できるよう、努力を続けています。そのため、お客様が望む成果を「自分ごと」として捉えているので、松木様に「横で一緒に走る」と評価していただいたことが心からうれしいです。

今回のデバイスは、消費財マーケティングで応用できると思います。また、内容物の残量がリアルタイムでも分かるため、例えばコロナ禍の今であれば、消毒用アルコールの補充作業への応用が可能であると考えています。実際に各現場を訪ねると「一日中ずっと残量を確認するのがストレスで……」と聞きます。IoTデバイスを使えば、残りがわずかになった際に通知させることができるので、能動的で効率的な対応が可能になります。デバイスの形状も受け皿タイプ以外にもアレンジできるので、どうぞご相談ください。

お客様の概要

社名 ライオン株式会社
本社所在地 〒130-8644 東京都墨田区本所1-3-7
事業内容 ハミガキ、ハブラシ、石けん、洗剤、ヘアケア・スキンケア製品、クッキング用品、薬品等の製造販売、海外現地会社への輸出
WEB サイト https://www.lion.co.jp/ja/
LION
※LTEは、ETSIの商標です。
※Wi-Fi®はWi-Fi Allianceの商標または登録商標です。
※その他の社名および商品名は、それぞれ各社の登録商標または商標です。
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