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安定した高速大容量映像伝送に最適な
5G対応デバイス「K5G-C-100A」

月刊ニューメディア(2021年12月号)の掲載記事を、
株式会社ニューメディアの許諾を得て転載しています。

【写真1】5G 対応デバイス「K5G-C-100A」
【写真1】5G 対応デバイス「K5G-C-100A」

ケーブルテレビ業界でローカル5G 活用を進めていくために必要な条件とは何か。最も大きな条件の一つと考えられるのが「システムの信頼性」だろう。「JAPAN MADE のモノづくり」を掲げ、日本国内での企画から設計、アフターサポートを宣言している京セラの5G 対応デバイス「K5G-C-100A」(写真1)は、その高い機能性を含めて、まさしくケーブルテレビに「刺さる」製品。さまざまな分野で実績を上げつつ、映像用途への提案に向けて本腰を入れている。(取材:渡辺 元・本誌編集部、文:高瀬徹朗・ITジャーナリスト)

上りの長時間・高スループット映像のエッジ処理・解析機能

今年7月、ミハル通信と共同で実施した「商用5G での低遅延8K 映像伝送」実験でも話題を集めた京セラ「K5G-C-100A」は、長時間連続使用にも対応する高い安定性とエッジ処理・解析を可能とする機動性、電波状況監視やログ取得などを備えた汎用性を持つ、5G 新世代のデバイス。あえて「ルーター」ではなく「デバイス」と呼ぶのは、こうした高い機能性を保持した上でのこだわりだ。
長時間の安定使用を担保している空冷ファンの搭載は、デバイス最大の特長の一つ(図1)。優れた排熱構造により、安定して高いスループットを保持できる機能を整えた。
「通常のルーターではありえない設計ですが、ミリ波を扱う時点で『熱対応は不可欠』と判断。先行して投入されていた他社製の5G ルーターが熱の影響でスループットが安定しないとの課題を抱えており、設計思想として正しいと考えました」(京セラ株式会社 通信機器事業本部 通信事業戦略部 IoT・ビジネスユニット 事業開発課 小倉久忠氏(写真2))。

【写真2】京セラ株式会社 通信事業戦略部 IoT・ビジネスユニット 事業開発課 小倉久忠氏
【写真2】
京セラ株式会社 通信機器事業本部
通信事業戦略部 IoT・ビジネス
ユニット 事業開発課 小倉久忠氏

【図1】 特長❶:ファン稼働により連続・長時間の5G 通信が可能

排熱処理に優れた冷却ファン
排熱処理に優れた冷却ファン
発熱によるクロック低下の抑止
発熱によるクロック低下の抑止

加えて、5G 特有の活用の幅についても視野に入れていたそうだ。実際、3G や4G LTE において、モバイル通信は一般家庭向けのダウンリンク利用が中心で、通信における「ベストエフォートの原則」が揺らぐことはなかった。一方、5Gでは活用の幅が広がり、アップリンクを含めたインフラとして利用が進むようになるとベストエフォートベースでは厳しい。「大容量の映像などをクラウドに上げる用途で使うとなれば、長時間の安定した通信が必要。その点もファンを搭載するという設計思想に影響しました」(小倉氏)。
エッジ処理・解析は、ランニングコスト増になりがちなクラウドの負荷軽減を実現する機能だ(図2)。特に大容量の動画データを取り扱うことになる放送・ケーブルテレビ事業においては、エッジ端末での処理・解析によってクラウドに上げるデータ量そのものを縮小できる点は、コスト面だけでなく運用面でも大きい。

【図2】 特長❷:エッジ処理・解析によるクラウドコスト軽減

【図2】 特長❷:エッジ処理・解析によるクラウドコスト軽減

「K5G-C-100A」はAndroid OS を搭載し、コントロールアプリやエッジアプリの開発が可能。簡易的なエンコーダ/デコーダはプリインストールされているが、用途や環境に合わせて最適なAndroid アプリを用意することも可能だ。「エッジ処理できる端末が、動き回ることもできる。そして有線と無線、ミリ波にSub 6、クラウドサービスといろいろなものを包括的につなげていく。このあたりも、ただのルーターではない、というこだわりです」(小倉氏)。
電波状況監視・ログ取得の機能は、ユーザーからのフィードバックを受けて後から追加された機能だ(図3)。障害発生時の対応はもちろん、ローカル5G のエリア設計から電波強度の状況確認など用途はさまざまで、高価な専用機を必要としないことを含め好評を得ているという。
その他、直線的なミリ波を受信することを踏まえた緻密なアンテナ設計、有線・無線を含めた多彩なインターフェイスにルーターとしての高い実用性など、優れた機能を多く備える「K5G-C-100A」。極めてユーザー目線に近いこのデバイスが開発された根底には、京セラが掲げる「JAPAN MADE のモノづくり」という強いメッセージが込められている。

【図3】 特長❸:電波状況監視・ログ取得

「電波情報取得ログ」アプリ
「電波情報取得ログ」アプリ
CSV形式で出力されたログ
CSV形式で出力されたログ

「JAPAN MADE」による信頼性と安心感

京セラ通信機器事業本部の掲げる「JAPAN MADE のモノづくり」宣言は、法人向け端末が海外メーカー中心に提供されていた5G関連機器市場において心強い存在だ。
ローカル5G 活用を進める企業・団体は多くあるが、特に地方自治体、ケーブルテレビ事業者を含む放送事業者にとって、国内一貫体制の通信メーカーがあるという安心感は大きい。「各基地局メーカーとの通信接続性確認など、必要と考えられる準備はこちらで整えています。また、電波状況監視機能追加につながったようなユーザーからのフィードバックもいただきやすく、国内メーカーとしての強みを発揮できていると考えています」(小倉氏)。
徹底した品質管理や高い信頼性、排熱ファンやエッジ処理機能の搭載といった運用面に配慮した機能性の数々は、まさしく「JAPAN MADE」ならでは。実際、国内で5G 活用を検討する多くの企業などから、想定以上の高い評価を受けるポイントとなっているという。
こうした高い評価と信頼性をベースに京セラでは現在、「K5G-C-100A」を活用した実証実験を各所で進めている。
工場の製造ライン保守部門におけるトラブル発生時の遠隔作業支援の実証実験は、スマートグラスと4K カメラ、AR を用いて現場から離れた位置にいる設備担当者に支援・指示を仰ぐための取り組み。現場にいない設備担当者に「現場に近い」状況を作り出すことで復旧までの時間を短縮する目的で、4K 大容量データの処理と長時間連続使用が肝となる内容だ。
屋外の排水処理施設監視の実験では、4K カメラで撮影された画像の解析がポイント。水質、水温、水位などの画像解析から定期巡回の軽減や問題発生前の予兆検知を目指しており、安定した画像の取得と解析性能が試されることになる。
デジタルサイネージの遠隔制御実験は、サーバーから「K5G-C-100A」で受けたデータをWi-Fi 経由で制御PC に送り、有線でディスプレイまで届ける仕組み。将来的には、「K5G-C-100A」からWi-Fi で直接ディスプレイまで届けることが狙いで、端末内での表示データ管理というエッジ要素と無線化によるディスプレイ設置のフリー化を目指す。うまく進めば、よりコンパクトで自由度の高いシステムが提供できる見込みだ。
中でもミハル通信との低遅延8K 映像伝送実験は、映像関係者に大きなインパクトを残した取り組みだ。特に「K5G-C-100A」最大の特長である、安定した高スループットを長時間維持できたことは今後、ケーブルテレビ事業者向けにデバイスを提案していく上で大きな意味を持つ。
こうした実証実験を重ねてフィードバックをもらい、より機能性の高いデバイスを構築していくことが京セラの大きな狙いだ。近々では、キッティングツールの提供や電波取得ツールの拡充、ルーター機能の拡充などのアップデートが予定されているが、とりわけケーブルテレビ事業者向けとして注目したいのは「映像伝送機能の拡充」だ。
音声配信と複数台カメラの映像配信に対応する予定の今回のアップデートは、緊急災害発生時における河川監視カメラや道路監視カメラなどの強化を目指すケーブルテレビ事業者にも適した内容。5G で自由度の高いカメラ配置が可能となるほか、4K を含む大容量データの取り扱いにも対応できることで、明確なサービス強化へとつなげられるはずだ。
「ニーズが高まっている災害向け監視カメラ用途はもちろん、地域スポーツなどのライブ配信などケーブルテレビ向け需要は広がっています。今後もフィードバックを受けつつ、放送サービス向け機能を追加していきたい」(小倉氏)。
安定して高いスループットを長時間提供することを第一の目的にすえる「K5G-C-100A」。「JAPAN MADE」の方針を含め、ケーブルテレビ事業者に最適なデバイスの一つと評価することができそうだ。

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