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令和5年度九州地方発明表彰 鹿児島県発明協会会長賞受賞
濃度ムラの少ない京セラの大型磁器インクジェットヘッド

Technology

Award

この度、大型磁器を用いたインクジェットヘッドに関する京セラ社員の発明(特許第5197893号)が、令和5年度九州地方発明表彰 鹿児島県発明協会会長賞を受賞致しました。地方発明表彰は、大正10年に開始され、実施されている優れた発明、考案又は意匠を生み出した技術者・研究開発者を顕彰するものです。


インクジェットプリンタのコア部品 インクジェットヘッド

インクジェットプリンタは、省電力性能に優れており、民生品から産業用途(例えば、捺染用途)にまで普及しています。インクジェットプリンタには、コア部品として、複数のインクジェットヘッドが搭載され、インクジェットヘッド内の圧電セラミック(アクチュエータ)の制御により、インクの吐出を制御し、印画します。インクジェットヘッドの製造には、非常に高度な圧電セラミック技術が要求されます。
京セラは、セラミック技術における先駆者として、圧電セラミック技術の進化に挑戦し続け、インクジェットヘッドの進化に貢献してきました。

デジタル印刷の進化を支えるインクジェットプリントヘッド
インクジェットプリントヘッド | プリンティングデバイス | 製品情報 | 京セラ


大型アクチュエータによる高画質の実現

これまで、焼成において生じる収縮の制御が困難なため、大型のアクチュエータの製造は困難でした。このため、京セラの従来のインクジェットヘッドは、複数枚のアクチュエータによって構成されていました。しかし、京セラ独自の緻密多結晶セラミックアクチュエータに関する材料設計技術と、薄型圧電セラミック基板の製造プロセス技術により、大型のアクチュエータの開発に成功しました。アクチュエータを大型の一体型にすることで、インクジェットヘッド内の画質を均質化することができ、より高画質な印刷を実現しました。


課題への挑戦により生まれた特許第5197893号

大型アクチュエータは、積層体を焼成して作成しますが、積層体の中心から距離に比例して収縮ばらつきによる寸法ばらつきが生じ、ビアホールの位置ずれが生じて、ビアホールが表面電極と導通しないことがありました。それにより、大型アクチュエータを安定して生産できないという課題がありました。
本発明は、アクチュエータの表面電極の位置と形状について、寸法ばらつきを考慮して設計したものです。具体的には、表面電極を短手方向(寸法ばらつき小)の中央部に設け、長手方向(寸法ばらつき大)に表面電極の形状を長くすることにより、ビアホールに位置ずれが生じても導通を確保することができます。
本発明を利用することにより、大面積かつ薄い大型アクチュエータの生産が可能となりました。それにより、高画質な印刷を実現可能なインクジェットヘッドを提供することができました。
その結果、既存の2倍の解像度である1200dpiのKJ4B-1200や、300dpiの解像度で2色印刷可能なKJ4B-300、150dpiの解像度で4色印刷可能なKJ4B-150を作製でき、業界に各種のインクジェットヘッドを提供可能にし、印刷業界のインクジェットプリンタのラインナップ拡充に貢献しました。

※本ページは、掲載時点の情報に基づいて作成しており、特許の権利状況等は最新の状況とは異なる場合があります。

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