ファインコージライト®
―宇宙と天文の未来を切り拓く、安心感と信頼性―
ファインコージライトとは、京セラの天文宇宙分野の製品に使われるコージライト材料です。
京セラは、長年の技術開発から得られた知見を結集して実現したファインコージライトを重要技術と位置づけ、世界各国で商標権を取得し、保護しています。
極限を超えて、天文宇宙を支える-ファインコージライトの挑戦-
宇宙は、極限の環境です。温度変化、放射線、超高真空といった過酷な状況下でも、人工衛星や探査機器等の部品の性能を損なわない材料が求められます。天文観測の現場でも、昼夜や季節の温度変化、自然環境の影響を受けながらも、精密な観測を支える高性能な材料が不可欠です。
京セラでは、2012年より半導体製造装置用部品の材料としてコージライトの供給を開始し、その安定性と信頼性が産業界で高く評価されてきました。その確かな実績をもとに、私たちはこの材料を天文・宇宙分野へと展開し、我々のコージライト材料で宇宙インフラを支えることで人類の進歩発展に貢献する。そんな想いから、ファインコージライトの開発はスタートしました。
技術データに裏付けられた「安心」と「信頼」
高い機械的強度と比剛性
ガラス材料に比べ、高い機械的強度と比剛性を備えており、薄型化や複雑なリブ形状加工が可能となることで光学系部品や製品の設計自由度が大きく向上します。その結果、軽量化が可能になります。
ファインコージライトは、ミラーなどの光学部品に使用することができ、ミラー単体だけでなく、構造部材も同じ材料で構成できるため、温度変化に対するアサーマル性能にも優れています。
※アサーマル：温度変化があっても、特定の光学的または機械的特性が許容範囲内に保たれるよう設計された性質、またはその状態。
極めて低い熱膨張率
温度変化が非常に激しい宇宙環境でも、温度変化による伸縮をほとんどせず、安定的な光学性能が得られます。
長期寸法安定性
時間経過による寸法変化が極めて少なく、長期間にわたり地上でテストした場合と同等の性能を維持できるため、宇宙空間における衛星や地上観測装置の長期運用においても、安定した光学性能を実現できます。
高い熱伝導率
熱伝導率が高いことによって、温度変化が非常に激しい宇宙環境で、変化した温度への馴染みが早くなり、安定的な画像や通信が得られます。
高い化学的安定性
放射線や超高真空などの過酷な宇宙環境、地上の多様な環境下でも安定した性能を発揮できます。
ファインコージライトの採用事例
ファインコージライトは、その高い信頼性と性能を評価され、すでに宇宙・天文分野の先端プロジェクトで採用されています。
国際宇宙ステーション（ISS）と地上間小型光通信実験装置用ミラー
世界初※、京セラのファインコージライトミラーが 国際宇宙ステーションと地上間の小型光通信実験装置に採用 | トピックス | ニュースルーム | 京セラ
※ISSに設置された小型光通信実験装置でのコージライト製のミラーの採用として（2024年京セラ調べ）
大型地上望遠鏡用ファインコージライト軽量鏡
©京都産業大学
世界初※！ファインコージライトの大型軽量化鏡を搭載した地上望遠鏡の開発について | トピックス | ニュースルーム | 京セラ
※コージライト製主鏡・副鏡が大型地上用望遠鏡へ搭載される点において（2024年7月 京セラ調べ）
ファインコージライトのブランド保護
セラミックの歴史の中で、“ファインセラミックス”と使用し始めたのは京セラ創業者の稲盛和夫です。「ファイン（Fine）」には、京セラが長年培ってきた高品質・高性能な材料技術への誇りと、ものづくりへの真摯な姿勢が込められています。
京セラが特別な意味を込めた「ファイン（Fine）」と「コージライト(Cordierite)」を組み合わせて「ファインコージライト®」と命名しました。
※「ファインコージライト」は京セラ株式会社の登録商標(日本)です。
※「Fine Cordierite」は京セラ株式会社の登録商標(日本) (欧州)です。
※本ページは、掲載時点の情報に基づいて作成しており、商標の権利状況等は最新の状況とは異なる場合があります。
私たちは、天文学者が新たな星を発見する瞬間や、宇宙探査が人類の未来を切り拓く瞬間に、この材料が貢献していることを誇りに思います。
京セラは、単なる材料開発にとどまらず、お客様の課題に真摯に向き合い、宇宙・天文の最前線に立つ研究者・技術者とともに、世界の宇宙開発を支え続けてまいります。
今後も、知的財産権を基盤としたブランド価値の向上に努め、日本発の安心感、信頼性を備えたファインコージライトを通じて、世界の宇宙・天文分野の発展に貢献してまいります。
