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低圧一括受電に関する京セラ保有特許のご紹介
― ZEH対応集合住宅の普及に向けて

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京セラは、ZEH対応集合住宅などで導入が進む「低圧一括受電システム」に関して、長年の研究開発に基づき数多くの特許を保有しております。これらは、当社の事業活動の根幹をなす重要な経営資源の一つです。本ページでは、皆様と共にこの市場の健全な発展を目指す上で、当社の特許ポートフォリオについてご理解を深めていただきたく、その一部をご紹介いたします。


低圧一括受電システムとは

「低圧一括受電システム」とは、集合住宅(アパートや小規模マンションなど)において電気を低圧で一括供給する仕組みです。

通常、個別の入居者が自分で電力会社と契約を結び、電気を供給してもらいます。一方、低圧一括受電では、集合住宅オーナー様が入居者全員の電気の契約をまとめ、一括で受電して、各入居者の住戸へ電気を供給します。そして、太陽電池や蓄電池等の分散電源を有する場合には、一括で受電した電力に分散電源の電力を加えた上で各住戸へ供給することも可能となります。

国が目指す集合住宅ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の今後のあり方の一つとして、自家消費型モデルの対象にこの一括受電方式が挙げられています。

また、従来は、太陽電池等の分散電源を設置した場合でも、電力の全量を売電に回すか、集合住宅オーナー様の部屋(大家部屋)でしか使えず、各住戸で電力を利用することは一般的にはできませんでした。
このような課題に対し、太陽電池等の分散電源を設置した低圧一括受電システムでは、各住戸で太陽電池の電力を効率よく自家消費することができるようになります。
また、全住戸の電気を取りまとめることで設備投資を削減でき、さらには電気代を集合住宅単位で一括して管理するなどにより集合住宅オーナー様にとっての事業性の向上が期待できます。


特許による技術保護

京セラは、低圧一括受電システムに関して、合計17件の特許を保有しています。(その他審査中特許出願も多数)(2025年9月10日時点)。
これらのうち、代表的な特許を以下に紹介いたします。
なお、各特許に対する説明及び参考図は一つの活用例を紹介するものであって、各特許の権利範囲を限定するものではありません。

特許第7113060号:低圧一括受電の基本システム

本特許は、電力系統から一括で受電した電力に、太陽電池等により発電した電力を合流させてから各住戸へ供給する仕組みにより、集合住宅において再生可能エネルギーの自家消費を可能にする基本的なシステムに関するものです。

具体的には以下の構成を含みます:
・上位メータ装置を介して系統電力を低圧一括受電する低圧一括受電盤
・受電された電力を各住戸へ供給する分岐点と各住戸の間に設置された下位メータ装置
・上位メータ装置と下位メータ装置の間に分散電源が接続されている

特許第7113060号公報(334 KB)

特許第7084285号:各戸受電から一括受電へ切り替え容易な引込盤

既築の集合住宅では、各戸受電から一括受電への切替工事が煩雑で導入の障壁となっていました。本特許は、この課題を解決するため、既存の設備を活用しつつ容易に一括受電へ移行できる新しい構造の引込盤に関するものです。

具体的には以下の構成を含みます:
・電力網から各戸受電契約で受電する複数の住戸負荷に接続している各戸受電引込盤に接続可能なインタフェース
・電力網から一括受電契約で受電するための一括取引メータ
・電力網からの受電契約が結ばれていない状態で各戸受電引込盤から切り離された住戸負荷を、一括取引メータを介して、電力網に接続可能なインタフェース

特許第7084285号公報(351 KB)

特許第7165595号:USB給電等に適用可能なシステム

災害による停電時、住民の安全・安心のために各住戸での最低限の電源確保が求められます。本特許は、このニーズに応えるため、共用の蓄電池から各住戸内の非常用の給電部(USBポート等)へ直接電力を供給するシステムに関するものです。この仕組みにより、停電時でもスマートフォン充電等の電源を確保し、集合住宅のレジリエンス向上に貢献します。

具体的には以下の構成を含みます:
・住戸部に設けられ、蓄電池から受電した電力を負荷に給電可能な第1給電部(USBポート等)
・住戸部に設けられ、電力網から受電した電力を負荷に給電可能な第2給電部(通常のコンセント等)
・第1給電部(USBポート等)の定格電力は、第2給電部(通常のコンセント等)の定格電力よりも小さい

特許第7165595号公報(272 KB)


市場の発展と京セラの貢献

太陽電池事業の長い歴史と信頼性

京セラの太陽電池事業は1975年に始まり、約半世紀にわたる歴史を持っています。この間、様々な用途向けに高品質の太陽電池を開発・製造してきました。特に長期信頼性において高い評価を得ております。

低圧一括受電システムの普及と発展

京セラは、2017年に他社に先駆けて低圧一括受電ZEH賃貸の実現に貢献して以来、多くの集合住宅に低圧一括受電システムを介した太陽電池を供給してきました。
ZEHなどの基準の変更や様々な市場環境の変化に対応して、柔軟なソリューションの提供を続けています。特に、長期信頼性のある太陽電池と組み合わせることで、集合住宅にとっての長期安定的な付加価値向上に貢献しています。
このように、京セラは固定価格買取制度(FIT)に頼らない非FITの太陽光発電を低圧一括受電システムで実現して、近年負担が増大している電力賦課金の課題へ挑戦しております。
また、技術革新だけでなく特許による保護やその活用を通じて、低圧一括受電市場の健全な発展を促進し、再生可能エネルギーの普及による持続可能な社会の実現に貢献していきます。

お問い合わせ

本ページでご紹介した特許は、当社の長年の研究開発の成果であり、重要な経営資源です。
当社が提供するエネルギーソリューションは、これらの特許を始めとする優れた知的財産と、長期信頼性のある太陽電池とを組み合わせて実現されたものであり、当社の利益の源泉となっています。
さらに詳しくお知りになりたい場合や、ご不明な点がございましたら、以下の窓口よりお問い合わせください。

※本ページは、掲載時点の情報に基づいて作成しており、特許の権利状況等は最新の状況とは異なる場合があります。

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