京セラがクレサンベールの開発に取り組んだきっかけ
「宝石本来の魅力とは、人に夢を与え、心を豊かにすること。それが今、忘れられつつあるのではないか」京セラがクレサンベールの開発に取り組んだきっかけは、そんな創業者稲盛和夫の危惧でした。
クレサンベールの開発の背景
その背景には、採掘に限りがある天然宝石の質の低下、価格の高騰があります。色が美しくなかったり、キズやインクルージョン(内包物)があったり、またこれらをカバーするため当たり前のように人工処理された宝石が、果たして人々の心に本当の「豊かさ」を届けることができるのか。特に自然界に見いだすことが難しくなってきた宝石本来の美しい「色」を現代技術の力で再現し、人々に宝石を身につける真のよろこびを提供したいという思いから、京セラの新しい挑戦が始まったのです。
それまでも、「人の手で宝石をつくる」ということは各国で試みられてはいましたが、いずれも「天然に似せる」「天然と見分けがつかない」ことをめざしたもので、あまりよいイメージはありませんでした。しかし京セラが目標にしたのは、似せるのではなく、あくまでも最も美しいとされてきた宝石の色を再現すること。この徹底したこだわりゆえに、開発は決して妥協を許さない、困難なものとなりました。セラミックスの結晶技術があるとはいえ、宝石を結晶させるにはまったく別の工程が必要でした。
高温液の中で長い時間をかけて成長した
エメラルドの原石。磨く前のエメラルドの原石。
磨き上げられたエメラルド。
クレサンベールの定義
「クレサンベール」とは、京セラが独自の技術で開発した、天然石と同一の成分の物質を長時間かけて入念に再結晶化させた宝石や、天然宝石と同一の成分を持つ人工的に作ったオパールの総称です。