600床規模の医療機関で看護業務をデジタルシフト
高耐久スマホ導入で進む医療DX。PDAや院内PHSをスマホ1台に集約させて病院の業務効率化。
武蔵野赤十字病院様
600床規模の医療機関で看護業務をデジタルシフト
武蔵野赤十字病院様
武蔵野赤十字病院は、東京都武蔵野市にある病床数586床の医療機関です。高度急性期医療や三次救急医療にも対応する、地域医療連携拠点としての役割も担っています。
2025年12月に開設の新病棟は全室個室となるため、限られた人数で患者一人ひとりに手厚いケアを行えるようにと、現場業務を1台でこなせる、京セラの高耐久スマートフォンDuraForceシリーズを導入しました。
三点認証、電子カルテの入力、院内PHSの代替、ナースコール連携など、PDAとPHSをスマートフォン1台に集約することを見据えた医療現場のデジタル化について、医療情報管理課の岡田様・尾喜様にお話を伺いました。
武蔵野赤十字病院では、電子カルテの更新をきっかけに、看護業務のDXを目的としたスマートフォン導入の検討が約2年前から始まりました。加えて、2025年12月に開設された新病棟が全室個室となることをうけ、従来と変わらずきめ細やかなケアを提供するには、医療現場のデジタル化が欠かせないと確信。2025年5月、スマートフォンの導入に踏み切りました。新病棟では、PDAとPHSをスマートフォン1台に集約する構想です。
「およそ3段階にわたっての導入を予定しています。まずは電子カルテや三点認証など、情報管理のための端末として。次に2025年12月の新病棟の開設に伴い、スマートフォンを院内PHSの代替としてナースコールと連携して使用します。さらに2026年5月には、病棟ナースの働き方改革として、電子カルテと連携する輸液システム(スマートポンプ連携)での使用なども進めていく想定です。」(岡田様)
現在はPDAの代替としてスマートフォンを使用しており、スムーズな電子カルテへのバイタル入力や情報連携に活用されています。ナースコール連携も可能になり、
そこで選ばれたのが、京セラの高耐久スマートフォンDuraForceシリーズでした。
「DuraForceシリーズを選んだ理由は主に3つあります。1つ目は電池パックの交換が可能であること。電池が交換できないと、3〜4年後に本体の交換が必要となり、膨大なコストがかかるためです。次にアルコールで拭けて衛生的であること。業務上、アルコール消毒は不可欠なので、高いアルコール耐性が重要でした。最後にハードユースにも耐える堅牢性。他社製品も検討しましたが、この3点が決め手になりました。」(尾喜様)
一方、ネットワーク面では無線通信(Wi-Fi®)を採用。本格的な音声通話利用やナースコール連携を見据えて、事前の動作評価を慎重に実施しました。
「動作評価は、最大の課題でした。運用コストを考慮して、Wi-FiによるVoIP(IPネットワークを介して音声通話する技術)を選択したからです。しかし、現場で本当に使えるのか、病棟内の通信が途切れないかという不安があったので、京セラを含む複数のベンダーと連携して、現場に近い環境を構築。アクセスポイント間を移動する際のハンドオーバー性能(注:Wi-Fiハンドオーバーは自動的にWi-Fiのアクセスポイントをつなぎ替えながら通信の接続を維持すること)などを検証しました。全ての関係ベンダー様のご協力により、懸念点はクリアされたので、DuraForceシリーズでいこうと決めました。」(岡田様)
医療現場のニーズに応えるDuraForceシリーズの性能、京セラを含む各ベンダーとの徹底した事前検証、加えて今回の導入を後押ししたのは、京セラの営業担当者の「熱意」でした。
「正直なところ、動作検証済みのスマートフォンならここまで手間はかからなかったと思います。それでもDuraForceシリーズを選んだのは、担当者さんの情熱があったからです。私たちと同じ目線になって一緒に考え、悩んでくれる“一生懸命な人”。私たちが気づかないことまで配慮し、スマートフォン用のネックストラップまで手配してくれました。そのような人とは末永くお付き合いしていきたい。そう思える関係性を築けたのも、今回の導入に至った理由だと感じます。」(岡田様)
現在の主な利用シーンは、電子カルテの入力・閲覧、患者識別・薬剤照合のためのバーコードによる三点認証です。病棟内で端末を共有し運用されています。スマートフォンの導入により、大型カートを押して移動する必要がなくなり、業務の機動性が向上しました。
特に夜間はカートの走行音や、バーコード読取時に部屋全体の照明を点灯する必要があり、患者への負担も課題でした。しかし現在はスマートフォンのみで対応でき、夜間は端末の背面ライトを点灯して手元だけを照らしながら読取を実施しています。これにより従来の課題が解消され、患者はもちろん、看護師の心理的負担の軽減にもつながっています。なかでも現場から評価されているのは、写真撮影・記録機能です。
「写真撮影とデータ共有は非常に便利で、最もよく使う機能です。たとえば、傷の経過などを記録に残すとき、以前はデジカメで撮影した後、パソコンに接続して画像を取り込む必要がありました。今はスマートフォンで撮影すると、すぐに画像データが電子カルテに記録され、そのままパソコン上で見られます。画像を取り込むという作業がなくなりました。」(看護師)
今後、スマートフォンの活用範囲が広がれば、
武蔵野赤十字病院は、今後も院内全体のDXを推進していく方針です。まずは、DuraForceシリーズをPDAの代替として、続いて新病棟の稼働にあわせたPHSの代替、そしてスマートポンプシステム導入にあわせたナースコール連携など、段階的な展開を予定しています。また現在、主にスマートフォンを使用している看護師の評価を踏まえ、現場に合った活用法を模索しながら、医師やその他の医療従事者への拡充も検討していくとのことです。
また同院では、すでに看護師の研修用に京セラ製のWi-Fiタブレットも導入。患者説明用の動画コンテンツなど、今後さらにタブレットの活用強化も視野に入れています。
これからも医療現場に寄り添ったDXを進めることで、医療従事者はもちろん、患者やその家族にもより良い影響をもたらしていくことが期待されます。
弊社では2023年頃より、医療現場の業務効率化やコミュニケーション改善を目的に、スマートフォンのご提案を進めてまいりました。当初は電子カルテやネットワークなど、各ベンダー様との検証が十分に整っていない状況でしたが、武蔵野赤十字病院様より積極的に検証をお声がけいただいたことが大きな転機となりました。検討の過程では、看護部の皆様にもご同席いただき、現場の課題を共有しながらデモや運用の確認を重ねることができました。
本取り組みをきっかけに、現在では全国の多くの医療機関で京セラ製スマートフォンをご採用いただいております。
今後も、医療現場のDX推進をご支援できるよう尽力してまいります。
販売元:京セラドキュメントソリューションズジャパン
所在地:東京都武蔵野市境南町1-26-1