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通信技術を活用したITS無線路側機で安全・安心な交通社会を目指す
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Solid Oxide Fuel Cell (SOFC) / 固体酸化物形燃料電池
森林の光
光る電球
未来を担う若手社員たちの挑戦サステナブルな社会の実現に向けた京セラの取り組み

通信技術を活用した
ITS無線路側機で
安全・安心な交通社会を目指す 安全・安心な
交通社会を目指す

研究開発本部 通信インフラシステム研究開発部第2開発部
2020年入社

正しく理解することで SDGsに対する意識は変わる

正しく理解することで
SDGsに対する意識は変わる

―現在の仕事について教えてください

通信インフラシステム研究開発部第2開発部では、クルマの自動運転を支援する機器を開発しています。私はその中でもITS※1無線路側機「Smart RSU(Smart Road Side Unit)」の開発業務に携わっており、ここに組み込むソフトウエアの開発や試作機のフィールドテスト、自動運転の実証実験の現地対応、実験結果の分析などを担当しています。

※1 : Intelligent Transport Systems (高度道路交通システム)の略

Smart RSUとは、車両の位置情報や信号機の情報を伝える交通インフラ機器のこと。交差点などに設置したITS無線路側機が、通信機能を備えたクルマと通信し、周辺を走行中の車両の位置や車速情報を収集。収集した情報や信号情報などを他のドライバーに通知することで自動運転や安全運転をサポートします。近年、クルマの自動運転に向けた研究・開発が進められる中でITS無線路側機は、道路とクルマ、またクルマ同士の通信を支える重要な交通インフラ機器として期待されています。京セラは、PHSの基地局開発で培った通信技術を応用して、この開発に取り組んでいます。

―所属部門ではどのようなSDGs活動に取り組んでいますか?

私たちが目指しているのは、ITS無線路側機によって交通事故を未然に防ぎ、安全・安心に暮らせるまちや社会を実現すること。また、自動運転の実用化によって、人口減少や運転手不足によるバス路線廃止といった課題を抱える地域の移動手段確保にもつないでいきたいと考えています。

現在はこの機器の実用化に向け、さまざまな実証実験に参加しています。2018年からJR東日本管内の気仙沼線BRT※2の専用道で実施している実証実験では、京セラを含む10社共同で、大型バスを使った車線の維持制御やトンネル内走行、障害物検知、交互通行などを検証しています。初回の実証実験は時速40kmでわずか400mの走行でしたが、翌年の2回目では時速60kmでJR東日本柳津やないづ駅~陸前横山りくぜんよこやま駅間の4.8kmを走ることができました。さらに2021年9月にはJR東日本が製造した自動運転車両の試乗会が地域住民向けとして開催されるなど、実用化に向けて着実に実績を積み重ねています。

※2 : Bus Rapid Transit(バス高速輸送システム)の略。連節バス、PTPS(公共車両優先システム)、バス専用道、バスレーンなどを組み合わせることで、速達性・定時性の確保や輸送能力の増大が可能となる高次の機能を備えたバスシステム

遠隔からの設備メンテナンス
現場での設備メンテナンス
エコバックとマイボトル
マイボトルで飲み物を飲む社員

―日々の業務や生活でSDGsを意識するのはどういう場面ですか?

最近、テレビやラジオ、インターネットなどでSDGsに触れる機会が増えました。当初は「環境に配慮した取り組み」という漠然としたイメージで捉えていましたが、今携わっている交通インフラ分野とSDGsの結び付きについて考えるうちに、SDGsは産業的な観点からの項目も多く、まちづくりや人々の健康など多岐にわたる間口の広いものだと気づきました。環境問題に限らず、幅広い視点で事業の意義を理解することで、SDGsに対する意識や目の向け方は変わってくると思います。

仕事では自動運転について研究していますが、プライベートではクルマよりも電車で移動することが多いです。昔からの習慣なので、特にCO2排出量削減などを意識しているわけではありませんが、結果的にSDGsに配慮した行動になっています。また、母が料理の際に出した野菜くずを捨てずに、スープの材料などに使っているのを見ると「こうしたささいなこともSDGsにつながるのかもしれないな」と感じるようになりました。

ITS無線路側機の普及を加速させることが 夢の実現の第一歩になる

ITS無線路側機の普及を加速させることが
夢の実現の第一歩になる

―「ミレニアル世代」や「Z世代」と呼ばれる若年層は企業にどのようなSDGs活動を求めていると感じますか?

近年は「SDGs」がキーワードとなって、私たちの世代でも持続可能性に対する意識が高まっていると感じます。私自身も買い物をする際にはSDGsに配慮した製品を選ぶようになりました。ただ、企業に対しては何か新たな取り組みを求めるだけでなく、従来の経済活動の中からSDGsに結び付く部分を見つけ、その内容をぜひ発信してほしいと思います。特に若年層に対して発信力が高いSNSなどを上手に使って、まずは「知ってもらうこと」から始めるだけでも効果的なアピールになると思います。

―京セラだから発信できるSDGsの取り組みはどのようなものだと思いますか?

京セラの強みは、私が携わっている通信事業をはじめ、部品やエネルギー、医療、日用品、システムなど、幅広い領域への事業展開です。例えば通信と医療を結び付けることによって、これまでにないサービスが生まれるかもしれません。こうした京セラの幅広い事業には、さまざまな側面から自然と調和し、社会や人々の生活を豊かにする可能性が秘められていることを発信できるのではないでしょうか。

社員へのインタビュー
インタビュー社員と上司の談話

―入社して2年、どういった点で仕事のやりがいを感じていますか?

年齢に関係なく、手を挙げればやりたい仕事をどんどんやらせてもらえることです。学生時代にAI(人工知能)を研究していた私にとって、無線は知識も経験も乏しい分野でした。入社して間もない頃、「実証実験の現場で無線の勉強をさせてほしい」と伝えたところ、1年目の秋に測定の現場に立ち会う機会をいただきました。それ以降、今では2~3カ月に1回程度のペースで長期出張に出向いています。職場で先輩から教えていただくことに加えて、OJTでの経験が何よりの学びになっていると感じます。

―所属部門やご自身のSDGs活動に関する目標、夢を教えてください

ITS無線路側機は日本ではまだあまり普及していない機器です。SDGsのターゲットにある「全ての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する」を達成するため、技術的な課題はもちろん、設置条件や環境、コストといった多くの課題をクリアして、まずはITS無線路側機の普及を加速させることが当面の目標です。そして、公共交通機関での利用や一般自動車との通信だけでなく、歩行者が持つスマートフォンやウエアラブルデバイスなどともつながることで、人とクルマ、誰もが安全で事故なく移動できるまちの実現を目指しています。

将来に向けた京セラの取り組み

公道での自動運転実証実験を実施

京セラは、滋賀蒲生工場と滋賀八日市工場間の約1kmの公道において先進モビリティ株式会社と共同で自動運転の公道実証実験を行いました。車両は全長約7m、31人乗りのバス(BYD社製小型電動バス“J6”)を採用し、自動運転レベル2(ドライバー常時搭乗)で実施しました。今後、シャトルバスがITS無線路側機と連携することで、バスの死角になるエリアの動的情報(歩行者や自動車の位置情報など)や信号が切り替わるまでの時間を共有し、安全・安心な交通社会の実現を目指します。

図:実証試験の概念