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独自技術で創出する未来社会

生活習慣病予防に向けた新たな一歩となる小型デバイスとは生活習慣病予防に向けた新たな一歩となる小型デバイスとは

京セラ株式会社 研究開発本部 メディカル開発センター 安島 弘美

「採血をしなくても、糖代謝の状態を測定できる可能性があります。」と京セラの安島 弘美が話すのは、同社が開発した世界初※1となる、独自の高精度ジャイロセンサとスマートフォンアプリを搭載した「糖質ダイエットモニタ」。体に針を刺す不快感や痛みがない非侵襲タイプの新デバイスだ。

食事による脈波パターンの変化を利用して糖質代謝状態を推定

糖質ダイエットモニタ

糖質ダイエットモニタ

生活の質の向上に健康は欠かせない。多くの人々は、健康管理、健康維持に努めており、生活習慣病などを早期に発見し予防できる方法を探している。
最近では、スマートデバイスのおかげで、詳細なバイタルデータの計測や、そのデータの長期間の管理、健康への影響などの分析が、これまでよりも簡単になっている。
京セラは、独自開発の新たなデバイスにより、従来にはない小型でシンプルな健康管理ツールを提供することで、糖質代謝レベルを迅速、かつ簡単にすることを可能にし、健康を維持するための重要なツールとして人々の健康やQOLの向上に貢献したいと考えている。

※1世界初の橈骨動脈脈波ジャイロセンサ。京セラ(2019年10月28日現在)の調査による。

小型でシンプルな構造のため手軽で使いやすい

糖質ダイエットモニタ

糖質ダイエットモニタを使って測定する様子

「測定は、食事をしてから1時間後に、デバイスを手首に押し当てるだけです。Bluetooth経由でスマートフォンと連携し、脈拍の計測を開始します。そうすることで、血流の圧力の微細なパターンを感知します。」食後に血糖値が上がると、橈骨動脈の大きさがわずかに変化するため、心拍ごとに血流の圧力の増減にわずかな変化が生じる。これに着目して計測するのが新デバイスだ。
10秒ほどで測定が完了し、スマートフォンに結果が表示され、簡単に食後の糖代謝状態の把握ができる。過去のデータと比較することも可能で、食事による健康管理や糖質制限ダイエットの効果確認などが可能となる。

スマートフォンからスマートヘルスへ

この「糖質ダイエットモニタ」は、スマートフォンと同じジャイロセンサを利用している。「このセンサは、かつて航空機やその他の高度な装置にしか使われない非常に高価な装置でしたが、スマートフォンの手振れ補正用として使われるようになると、価格は急速に下がり、簡単に手に入るようになりました。わずか10年前には考えられなかったことです。しかし、この進化が、新たな応用品を考え出すきっかけとなったのです。」と安島は話す。
ジャイロセンサで手首の脈拍を計測できることに気がついた安島は、開発当初、スマートフォン自体を測定デバイスとして使おうと考えていたのだ。
しかし、使いやすさ、感度と精度の点から、測定するのは難しいことがわかり断念。そこでスマートフォンからジャイロセンサを切り離し、脈の検出感度があがるように、ジャイロセンサをばねで抑えたデバイス(脈波センサ)の開発に着手したのである。

偶然から生まれた製品

「当初の目標は、血圧モニタを作ることでした。開発の初期段階で、脈波から血圧の算出式を作ろうとしましたが、食事前に作成した算出式では、食後には正確に測定できないという問題がおきたのです。」と安島は説明する。
「原因を調査したところ、血圧だけでなく、食事前後の糖代謝の変化を検出していたことがわかりました。そこで、これを応用することで糖質モニタリングができるのではないかと気づいたのです。これは偶然から生まれたものです。
さらに重要な可能性があることがわかり、これがきっかけで、開発目標を、血圧から糖代謝状態に変更し、現在実証している機器の開発へつながりました。」

食事前後の脈波パターン変化(例)

従来から非侵襲的に血糖や脂質を測定評価する方法が提案されてきたが、携帯性、精度の問題から、いまだ実用化はされていない。京セラは、脈波形状が食事の影響を受けることに着目し、ジャイロセンサを使用する独自の小型デバイスによって、いつでもどこでも食後の糖代謝状態を把握することを可能にしたのだ。
「これを活用することにより、糖尿病や糖質制限ダイエットの効果確認のツールとして期待がされます。」と安島は話す。
「さらに将来に向けて、今後脂肪やコレステロールのモニタリングにも力を入れていきたいと考えています。」
京セラは、来るべき高齢化社会に向け、健康維持や生活習慣病の予防に役立つ製品開発に取り組み、これからも人々の健康で豊かな暮らしづくり貢献していく。

製品紹介動画