DEI TALK推進課メンバー座談会
DEIを広げて、つなげる活動が、
人生の豊かさを教えてくれる。
京セラ本社に拠点を置く、ダイバーシティ推進室DEI推進課。「DIVERSITY&INCLUSION&“YOU” あなたも、ひとつの、多様性。」という考えに基づき、京セラらしいDEIのあり方を実現していくことをめざして、2019年に立ち上がった部署です。今回は、全社に向けた啓発イベントや情報発信を行い、各拠点のダイバーシティ推進委員と協力しながら施策検討に奮闘する推進課メンバーが集合。これまでのあゆみや、取り組みに掛ける想い、それぞれが活動の先に描く「京セラのDEI」について、語り合っていただきました。
座談会参加メンバー
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1997年に中途入社。事業部における海外販促企画に携わったのち、「京セラをみんなにとってより居心地のいい場所にしたい」という想いから、自ら志願してDEI推進課へ。
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2007年に中途入社。人事部を経て人材開発部に異動し、京セラ内の女性活躍推進活動を担当。初の専任メンバーとして、DEI推進課立ち上げにも関わる。
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2008年に定期採用入社。エンジニアとして開発部門で活躍する傍ら、男性の育休取得推進活動にも積極的に参加。活動に関わるなかでDEI推進に興味を抱くようになり、2023年にDEI推進課に異動。
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2023年に中途入社。前職で女性活躍推進などを担っていた経験を生かし、「心理的安全性の向上」をテーマにした全社教育プログラムなどに奮闘中。
TALK 01
DEI推進課発足の経緯やこれまでのあゆみ、
主な活動について。
- 私たちが行うDEI推進活動の目的は、社員一人ひとりが持つ個性・価値観を尊重し、多様な人材が働きがいをもって活躍できる職場環境を実現することで、京セラを将来にわたって挑戦し成長し続ける、活力と魅力あふれた企業にしていくこと。もちろん推進課ができる前から、このような社内環境づくりをめざす取り組みは行われていました。女性活躍推進などが、その一例ですね。10年以上にわたる取り組みにより一定の成果を実現することができたということで、その活動を一段階深めよう、これまで特定のテーマやターゲットに向けて行われていた活動を、より俯瞰的に拡大しよう、という志からDEI推進課という専任の部署が発足しました。
- 発足当初は、女性活躍推進や育児との両立支援など、従来の取り組みを引き継ぐ形で活動をスタートし、その後、LGBTQ理解促進、障がいをもつ社員や外国籍社員の活躍支援、介護との両立支援など、徐々にテーマを広げながら活動を展開していました。
しかし、「DIVERSITY&INCLUSION&“YOU”」という言葉に込められた想いの通り、DEI推進とは本来、特定の属性を持つ社員だけをサポートする活動ではなく、すべての社員が自分ごと化でき、自ら関わっていける活動であるべきもの。その想いを大切に、近年は取り組みの幅をさらに広げています。 - おっしゃる通りで、私も推進課に配属された当初は業務の幅広さに驚きました。幅が広がっているのは、「外国籍の社員」や「育児中の社員」など、どうしても社内では少数派になってしまう方をサポートする従来の活動は継続しつつ、「全社員」へと視野を拡大しようとしているため。私自身も最近は、エイジダイバーシティへの理解促進、心理的安全性向上をめざす全社員教育など、すべての人に関わりのあるテーマに取り組んでいます。
- 年齢や心理的安全性といったトピックは、性別や所属にかかわらず、誰もが自分ごと化して考えやすいテーマ。全社員がエイジダイバーシティや心理的安全性について理解をすることは、ある種DEIが「当たり前」として、心に根付くことにつながっていくと思っています。
- そういった新しいテーマ、次に取り組んでいくべきチャレンジの種を、社員の声から吸い上げているのも推進課らしさだと感じています。イベントの後に必ずアンケートを取ったり、DEIに関する相談窓口を設けたり。自分たちが思い描くDEIのかたちを押し付けるのではなく、現場から出てくる声に耳を傾けた上で、今の京セラに必要な活動やしくみを考えることが大事なんだと、推進室で働くようになってから気づきました。
TALK 02
それぞれが、推進課にジョインした理由やきっかけは?
- 私は初めての専任メンバーとして指名されるかたちで、推進課に配属されました。任命直後は右も左も分からない状態で、「自分になにができるだろう」という不安の方が大きかったです。ただ、前部署の人材開発部で女性活躍推進を担当しながら、DEIの実現に取り組む企業の姿をたくさん見て「企業成長を続けるために必要な活動なんだ」と感じていましたし、課題感や要望に関する社員からの声を受け取って「なんとかできないかな」とも思っていました。だからこそ京セラにもDEIの専門部署が立ち上がったことに意義を感じ、知識は少ないけれどがんばっていこう、という想いを抱いていましたね。
- 私は、2人目の専任メンバーとして推進課にジョイン。もともと事業部で海外販促企画を担当していたので、社内環境や制度の整備、人材に関する業務に関わったことはなかったんです。ただキャリアアップをめざしたいなと思ったタイミングで、推進課の存在を知って、京セラの風土そのものを変化させ、成長させられる仕事に、大きな可能性と魅力を感じました。
- 社内の違うフィールドでのチャレンジに、一歩踏み出されたんですよね。
- そうなんです。京セラの外にどこか別の場所を求めてキャリアアップを図る道もあったとは思います。それよりも、長年一緒に働いた仲間がいる環境そのもの、自分自身も大好きな京セラという場所が、多様性を生かし合い成長できる場になること、それに関わることのできるこの仕事に魅力を感じました。
- 私は元々開発畑の人間で、推進課の活動を外から眺めている立場でした。DEI推進活動に関わるようになったのは、男性社員の育休取得経験を伝えるセミナーに登壇したり、DEI推進に向けたインタビューを受けたりするようになってから。活動に参加するうちに感じるようになったのは、DEIが広がること、DEIを自分ごと化できる人が増えていくことの大切さです。体験談を話すだけでなく、自分自身でもこの輪を広げていきたい。そう思って、推進課のメンバーになることを希望しました。
- 前職では、経営企画部門で働きながら女性活躍推進などを担当していました。転職したのは、その経験を生かしながらも、より広い視野で働きやすさや働きがい、居心地のよい会社の環境づくりに携わりたい、と思ったからです。すべての社員を対象とした幅広い活動を展開することは大変ではありますが、自分が願っていた通りの仕事に携われているな、という実感も得ています。
TALK 03
活動を続けるなかで感じる、
自分自身や推進課の変化・成長とは?
- 配属される前や、配属されてすぐの頃は、「DEI」というものを特別な概念として捉えていて、「推進する側なのだから、深い知見や高い意識を持っていないといけない」と身構えていたんです。でも活動に関わるようになって、DEIって実はすごく身近で当たり前のものなんだ、と感じるようになりました。
- マイノリティの方にだけ矢印が向かっている活動、と思われがちなんですが、実際はもっと根底的な「人と人」という視点をもったものですよね。
- 先日受講したセミナーで「DEIとは “私”と“あなた”のコミュニケーションの中にある」という言葉を聞き、すごく腑に落ちたんです。たとえ性別や仕事が同じであっても、人間にはあらゆる違いがあって、全く同じ人なんていない。だからこそ、すべての人がお互いの違いを受け入れ、違いを「強み」や「らしさ」と捉えられる状態をつくることこそが、DEIなんだと気づきました。それからはより自然体で、活動に向き合えるようになっています。
- 推進課に入ったことで私が感じているのは、DEIが持つ影響力の大きさです。DEI推進活動の先にあるのは、みんながより働きやすく、幸せを感じられる環境。商品を販売したり、新しい技術を開発したり、といった売り上げに直結する仕事ではないけれど、すべての社員の幸せをめざすことで、京セラ全体に影響を与え、進歩を生み出していける仕事なんだな、と感じています。
- 私も同様に、この仕事の“対象の広さ”を感じているところです。推進課で活動をしていると、さまざまな部署や職種、拠点、属性を持った社員に出会うことができます。そういった社員の方々に会って対話することで、私の中に以前まであった「京セラらしさ」に対する固定観念がいい意味でなくなりました。京セラにはこんなにも多様な人がいて、それぞれに魅力を放ちながら働いている。そんな多様性にあふれた京セラ像を、社内外に広げたいと思うようになったことが、特に大きな心境の変化ですね。
- 推進課ができた当初は「やらなければならないこと」にコツコツと取り組んでいる感覚だったのですが、ここ5年でつながりが増え、推進課自体の活動の指針が「やりたいこと」にどんどんチャレンジする姿勢に変わってきている気がします。
- そうですよね。2023年度から新しい仲間が2名増えたので、チャレンジの幅も質も、より高めていけそうだと思っています。
- 多様性を考える部署だからこそ、推進課自体も多様な人材で運営されているべきだと思っています。新メンバーであるおふたりの、エンジニアとしての視点、他社で培ってきた経験から京セラを客観的に見る視点が、推進課をより強くしてくれている、と感じているところです。
TALK 04
DEI推進がもたらした、京セラ全体の変化とは?
- 最初の頃は、「どこか遠いところでやっている活動」「自分には関係ない活動」と捉えられることが多かったDEI推進でしたが、最近は自分ごととして捉え、活動の必要性を感じている社員がすごく増えているように思います。
- 各拠点のダイバーシティ推進委員の方々の力も大きいですよね。
- その通りだと思います。DEIに関する課題やニーズは、拠点や仕事内容によってさまざまなので、その課題を肌で感じながら解決方法を主体的に考え、活動を進めてくれる委員の方々の存在が必要不可欠なんです。
- 推進課が蒔いたDEIの種が芽を出し、花を咲かせるようになってきたのは、その種を見守って、育ててきてくれた委員の方々のおかげですね。
- DEIを本当の意味で根付かせ、広げていく最善の方法は、一人ひとりの社員が所属している拠点や部署など、身近にあるDEIを自分自身で自然と考えるようになること。委員によるDEI推進活動が各拠点で自走し始めていることは、大きな一歩だなと感じています。
- 社外の方々から「京セラのDEIについて話を聞かせてほしい」と、声をかけられることが増えてきたのも、うれしい変化のひとつ。私たちの活動もまだまだ発展途上ではありますが、5年間試行錯誤を続けて培った経験値は、そういった機会にできるだけ具体的にお伝えするようにしています。京セラだけでなく多くの会社にDEIが広がり、社会全体に多様性を受容する姿勢が根付く助けになれば、京セラの企業理念である「社会への貢献」にもつながると考えているんです。
- そういったことをきっかけに、他社と協働してDEIについて考えを深めるプロジェクトを立ち上げ、一緒に取り組みを行っています。他社の担当者の方々とディスカッションする中で、共通の課題や新たな気づきを得ることも多いです。社外とのつながりという多様性が加わったことで、活動の意味や価値が、より深まっていくことを期待しています。
TALK 05
推進課が描く、京セラのDEIとは?
- 京セラに入社して思うのは、この会社にはチャレンジする仲間を全員でサポートする姿勢、目標に対して一致団結して向かう姿勢が根付いているな、ということ。DEI推進に関しても、その風土が追い風になっていると感じています。DEIは元来、一人ひとりの心の中でゆっくりと育まれるものであり、定着には時間がかかります。しかし京セラでは、ゆっくりとでも着実に、全員が同じ方向に向かっていける。その過程にこそ、京セラらしさがあるのではないかと思います。
- もちろん同じ方向へ進むなかでも、私たちの活動や提案に対して反対意見が出ることはあります。でも反対意見が出るのは、みんなが活動や提案内容に関心を持ち、咀嚼した上で意見を出してくれている証拠。DEIに関心を持つ方が増えてきたからこそ、多様な意見が出てき始めているという、ポジティブな変化の表れだと思うんです。
- その通りですよね。厳しい意見が出るたびに「難しいな」「どうしよう」と悩みます。でも、悩みながらも意見を反映し、改善した提案は、さらに多くの人に受け入れられるものになっているはず。私たちだけで相談していても、2万人以上いる京セラの社員全員の置かれた立場や、困っていることを想像し尽くすことはできません。だからこそ「私はこう思う」という意見をいただくことが、とてもありがたいんです。
- 私たちに見えていない部分を、違う視点から教えてもらう。私たちだけではできないことを、みんなのサポートを得ながら達成していく。推進課が展開する活動そのものが、多様性を受け入れ合うことで生まれるもの、DEIに満ちたものとなっていくことが、重要ですよね。
- 私はDEI推進を担当するようになったことで、自分自身の人生がとても豊かになったと感じているんです。人それぞれに違いをもっているという事実をしっかり見つめ、それをなくそうとするのではなく受け入れていく。そうすることで、相手にしっかり寄り添えるようになり、自分では気づけない新しい視点に触れられるようにもなりました。そういった人生を通して大切にしたい姿勢を、この場所で育てることができたんです。
- 違いをマイナスではなくプラスに捉える。違うからこそ、お互いにできること、できないことを補い合えると考える。そんな姿勢がみんなの心に根付き、すべての社員に自分らしさを生かせる居場所が生まれた状態が、私たちがめざす景色。ただ、推進課の力だけでは、その景色を実現できないのも事実です。私たち自身が常に違いと出会い、そこから学び、お互いのできる、できないを補い合える仲間とのつながりを増やし続けていく。これからもそうやって、みんなでつくる京セラのDEIを実現していきたいと願っています。
※肩書や所属などは、すべて取材時のものです。