フローティング構造と高速伝送を両立
京セラのフローティングコネクタ
フローティングコネクタとは、コネクタ内部が動くことで、基板やモジュールの位置ズレを吸収することができるコネクタの総称です。
フローティングコネクタは、接続する際の位置ズレに起因するコネクタ周辺のストレス、例えば、はんだのクラック等を緩和します。更に、振動や衝撃を吸収できる為、デバイスの信頼性が向上します。車載・産機等、振動にさらされる環境下で使用することに適したコネクタです。
京セラは、このフローティングコネクタにおいて、小型且つ良好な可動性を有するフローティング構造と高速伝送の両立を、独自の特許技術により実現しました。
京セラのフローティングコネクタはグローバルに多数の特許権等で保護されています。京セラは、これら知的財産権を活用して模倣品の発生を防止すると共に、ビジネスの拡大を図っていきます。
自動車業界待望の高速伝送フローティングコネクタ
従来、自動車でのカーナビゲーションシステム、カーステレオ、TVチューナー等の車載機器では、高い耐振動性を備え、基板やモジュールの取付け時の位置ズレを吸収できるフローティングコネクタが多く求められており、京セラはこの需要に対して、高い信頼性を誇るフローティングコネクタFloXYを提供してきました。
しかし、近年の自動車では運転に必要な情報(インフォメーション)や娯楽(エンターテインメント)をユーザーに提供するインフォテインメントシステムや、ADAS(先進運転支援システム)に必要な画像処理等のため、基板間等を接続するコネクタにも高速伝送技術が求められています。
しかし、フローティングコネクタは位置ズレを吸収するために可動する構造が必要であるために内部構造が複雑となり、例えばPCIe Gen.4 16GT/sの様な高速伝送性能との両立が技術的に難しいという課題がありました。
そこで京セラは、この課題を解決し自動車の進化に貢献するべく、更なる高速伝送用途においてもお使いいただけるフローティングコネクタ、FloXY HSの開発に着手しました。この開発は、コンセプト検討段階から、構造設計と電気設計の機電一体で進められ、シミュレーション技術により最適化を図ることで、高速伝送を可能とするフローティングコネクタを実現しました。
高速伝送を独自の特許技術で実現
フローティングコネクタは、電気信号を流す金属部品にコネクタを可動させるための弾性可動部を備えています。この弾性可動部を細くすることで、可動量が向上します。しかし、弾性可動部分を細くすることは電気的にはインピーダンスが高くなる要因となり、ターゲットとするインピーダンスから乖離してしまいます。
京セラのフローティングコネクタ、例えばFloXY HS (PCIe Gen.4 16GT/s)は、弾性可動部分の近傍に、インピーダンス調整部(太い部分)を形成しています。弾性可動部分を細くすることによって生じた高インピーダンス部を、インピーダンス調整部の低インピーダンスによって、相殺しています。このレイアウトによりフローティングコネクタでありながら良好なインピーダンスマッチング構造を保有するコネクタの実現に成功しました。
この特許取得済みの技術により、フローティング構造でありながらもインピーダンス整合が可能となり、伝送特性向上につながっています。
京セラの登録商標『FloXY®』の由来
FloXY(フロクシー)とは京セラのフローティング機構付き基板対基板コネクタシリーズの製品ブランドです。車載、産機市場で求められる高い信頼性を実現した製品群です。
Floating(フローティング)、X,Y方向に可動、を組み合わせた造語です。
Floating+XY=FloXY
※本ページは、掲載時点(2021/4/9)の情報に基づいて作成しており、特許の権利状況等は最新の状況とは異なる場合があります。