PCと何が違う?スマホならではのキッティング手法
キッティングとは?スマホ・タブレット導入の作業手順と効率化の方法をわかりやすく解説
高耐久スマートフォン / スマートフォン
PCと何が違う?スマホならではのキッティング手法
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キッティングとは、工場出荷状態のスマートフォンやタブレットを、従業員がすぐに業務で使える状態に設定する作業のことです。導入時に欠かせない工程ですが、初期設定・アカウント登録・アプリ導入と作業が多岐にわたるため、台数が増えるほど、導入担当者の負担は増大する傾向があります。
本記事では、スマホ・タブレットに特化して、キッティングの意味と作業手順、PCとの違い、効率化の方法までを解説します。
キッティングの作業範囲は、初期設定やアプリのインストール、セキュリティ設定から資産管理ラベルの貼り付けまで、従業員に端末を配布する前に行う準備全般に及びます。
よく似た言葉に「セットアップ」がありますが、両者は対象が異なります。セットアップが1台の端末を使える状態にする初期設定を指すのに対し、キッティングは、組織のセキュリティポリシーや運用ルールに沿って、複数台の端末を同じ品質で業務に使える状態にそろえる環境構築を指します。
企業がキッティングを行う目的は、主に次の3つに整理できます。
画面ロックや機能制限、MDM※への登録などを配布前に済ませることで、組織のセキュリティ方針に沿った設定の端末を従業員に渡せます。
業務アプリやアカウントが設定済みであれば、従業員は受け取ったその日から端末を業務に活用できます。
管理番号の割り当てや台帳への登録を配布前に行うことで、端末の所在や利用状況を継続的に把握できます。
また、キッティングの作業は大きく「ソフトウェアキッティング」と「ハードウェアキッティング」に分けられます。
ソフトウェアキッティングは、OSの初期設定やアプリのインストール、MDMへの登録といった設定面の作業を指します。
一方のハードウェアキッティングは、保護フィルムや資産管理シールの貼り付け、ケースの装着、梱包といった物理的な作業を指します。この2つの区分は、後述するキッティング効率化の方法にも関わる重要な視点です。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| ソフトウェアキッティング | ・OSの初期設定 ・アプリのインストール ・MDMの登録 など |
| ハードウェアキッティング | ・保護フィルムの貼り付け ・保護ケースの装着 ・資産管理シールの貼り付け ・梱包 など |
スマホ・タブレットのキッティングは、一般的に次のような工程で進めます。
箱から取り出し、外観の傷や付属品の不足、初期不良の有無を確認する
言語・ Wi-Fi® ・日付などの基本設定を行う
業務用アカウントや社内システムのアカウントを設定する
MDMツールに端末を登録し、組織のポリシーを適用する※
業務に必要なアプリをインストールし、初期設定を行う
通信・通話・アプリの起動など、業務で使う機能を一通り確認する
管理番号を割り当ててラベルを貼り付けし、管理台帳に登録する
使用する従業員や拠点ごとに仕分けし、梱包・配布する
一つひとつの作業は、決して難しいものではありません。しかし、これらの工程を1台ずつ、全社用端末に対して同じ品質で繰り返すことが、作業負担の主な要因といえます。
また設定を誤った端末が混ざると、配布後に問い合わせや回収・再設定が発生し、かえって手間が増えることになります。
PCのキッティング経験がある方ほど注意したいのが、「クローニング」に関する認識の違いです。クローニングとは、手本となる端末の設定などを複製し、他の端末へ展開する手法です。
PCのキッティングにおいては、マスター端末を1台作り込み、そのOSやアプリ、設定、データなどを複製して、複数のPCへ展開する方法が広く利用されています。
一方、スマートフォンやタブレットでは、PCのように端末全体の環境を複製して展開する運用は一般的ではありません。その代わりに、スマホ・タブレットには専用の効率化の仕組みが用意されています。
代表的なものが、Android Enterprise※1やMDMを利用した初期設定の自動化です。
スマホ・タブレットでは、まず端末を管理システムの管理下に登録します。
端末が登録されると、各種設定の適用やアプリの配信を一元的に行えるようになり、端末ごとの設定作業を大幅に削減できます。
その際に利用される登録方式には、主に次の2つがあります。
| 登録方式 | 内容 |
|---|---|
| ゼロタッチ登録※2 | 対応端末をあらかじめ登録しておくことで、端末の電源を入れて通信環境に接続するだけで、自動的にMDMの管理下に置かれる方式。 |
| QRコード登録※3 | 端末の初期設定時にQRコードを読み取ることで、MDMへの登録を効率的に行う方式。 |
こうした仕組みでは、アプリの配信や設定ポリシーの適用を通信経由でまとめて行えるため、手作業で設定する工程を減らせます。
ただし、自動化できるのはあくまでソフトウェアキッティングの領域に限られ、保護フィルムやラベルの貼り付け、充電、梱包といったハードウェアキッティングは、設定をどれだけ自動化しても物理的な手作業として残ります。
この「自動化しても残る作業」をどう扱うかも、後述する効率化の判断材料になります。
キッティングの作業時間は、台数と設定内容におおむね比例して増えていきます。
1台あたりの作業は短時間でも、台数や設定内容によっては、まとまった作業時間が必要になるでしょう。
実際には、担当者が他の業務と並行して対応することが多く、設定ミスが見つかった場合の再作業や、OSアップデートの待ち時間なども加わるため、想定より長引くことは少なくありません。
また、費用面では、社内で対応する場合と外部に委託する場合とで構造が異なります。
直接の支出は発生しにくいものの、担当者の人件費がそのままキッティングの費用になる。
加えて、担当者が本来の業務を止めて作業にあたることによる機会損失、設定ミスによる再作業、特定の担当者しか手順を知らない属人化といった、金額に表れにくい課題も伴う。
台数や作業内容に応じた委託費用が発生。
設定項目の複雑さや、ラベルの貼り付け・個別梱包といったハードウェアキッティングの範囲によって金額が変わるため、見積もりの際は作業範囲を明確にすることが重要。
費用面だけでなく、担当者の工数や作業品質も考慮して進め方を検討することが重要です。
ここでは、社内と外部委託とでキッティングで分けて、キッティングの負担を軽減する代表的な方法を紹介します。
社内でキッティング作業を行う場合は、まず作業の標準化(マニュアル作成)を進めましょう。また、ツールや自動化の仕組みを活用し、手作業をできるだけ減らすことも重要です。
手順マニュアルを作成する
工程ごとの手順書とチェックリストを整備することで、作業品質のばらつきと属人化を抑えられます。
端末に用意された設定ツールやMDMを活用する
端末によっては、キッティング作業を効率化するツールが用意されている場合があります。
たとえば京セラ製端末では簡易MDM「Device Control アプリ」を利用でき、設定内容をQRコードで複数端末へ反映できます。
また、MDMを導入している場合は、上述したAndroid Enterpriseのゼロタッチ登録やQRコード登録を利用することで、端末登録作業を効率化できます。
ただし、内製でキッティング作業を進める場合の注意点もあります。
社内キッティングの注意点
少数の台数であれば内製でも対応しやすい一方、多数の端末を短期間で展開する場合は負荷が大きくなるため、外部委託も検討するとよいでしょう。
キッティング済み端末を導入することで、キッティング作業そのものを削減する方法もあります。作業を外部委託すれば、担当者の負担軽減や工数削減につながるほか、設定品質のばらつきや作業ミスの防止にも役立ちます。
たとえば京セラの提供する「京セラモバイルサポート」では、端末のキッティングサービスを提供しています。お客様の運用方針に沿った設定や動作確認、ラベルの貼り付け、梱包などを済ませた状態で納品するため、導入担当者は端末を一台ずつ設定する必要がありません。
特に、「導入台数が多い」「複数拠点へ配布する必要がある」「短期間で展開したい」といったケースでは、社内工数の削減だけでなく、設定品質の均一化や作業ミスの防止にもつながります。
京セラモバイルサポート
京セラの法人向けサービス「京セラモバイルサポート」では、キッティングを済ませた状態で端末を受け取れます。国内専用拠点でのファクトリーキッティングにより、ソフト面・ハード面の作業を実施できる点も特長です。
また導入後の運用支援やメーカー保証期間延長、修理サービス・リサイクルといったサポートメニューもご用意しています。詳細は、京セラモバイルサポートのページをご覧ください。
キッティングは「配って終わり」の作業ではなく、導入後の運用の入口でもあります。
とくに端末配布後に設定を追加・変更しようとすると、端末の回収や従業員への操作依頼が必要になり、導入時よりも大きな手間がかかります。
そのため、MDMへの登録はもちろん、業務に不要な機能の制限や、特定のアプリしか使えないようにするキオスクモードの設定まで、キッティングの段階で済ませておくことが、運用負荷を下げるポイントです。
キッティングは、スマートフォンやタブレットを、組織のルールに沿って業務で使える状態に整える準備作業です。工程は開梱・検品から梱包・配布まで多岐にわたり、設定面のソフトウェアキッティングと、ラベルの貼り付けや梱包などのハードウェアキッティングに大別されます。
スマホ・タブレットでは、Android Enterpriseの QRコード登録・ゼロタッチ登録といった自動化の仕組みを活用できます。それでも残る作業や設定担当者の不安、品質管理の負担まで含めて解消したい場合は、キッティング済みの端末を導入し、工程そのものを削減する選択肢が有効です。
自社の台数規模や体制に合わせて内製の効率化とキッティング済み納品を使い分け、導入したその日から端末が活躍する環境を整えましょう。