高い読み取り性能と使いやすい操作性
瀬戸内町(奄美大島)・総合防災訓練で京セラ製タブレットとスマホを活用。
瀬戸内町総務企画課DX推進室様/TOPPANエッジ株式会社様
高い読み取り性能と使いやすい操作性
瀬戸内町総務企画課DX推進室様/TOPPANエッジ株式会社様
瀬戸内町は、鹿児島県にある人口7909人(2025年12月現在)のまちです。奄美大島の南端部に位置し、大島海峡をはさんで加計呂麻島・請島・与路島の3つの二次離島を有しており、その中に56の大小さまざまな集落が点在しています。
他の地方自治体と同様に、瀬戸内町も少子高齢化・人口減少が進んでおり、2050年には人口は約5500人、高齢化率は46%になると推計。そのような未来で直面するさまざまな課題に対応するため、総務省の『自治体フロントヤード改革(※)』の実証事業として、行政内部や地域におけるデジタル化に取り組んでいます。
この延長線上で、TOPPANエッジからの提案のもと、2025年12月21日、瀬戸内町総合防災訓練にて『マイナンバーカードの利活用による避難所運営の実証実験』を行いました。このとき、マイナンバーカードを読み取る端末として、京セラのタブレット「DIGNO® Tab 5G(KC-T306)」とスマートフォン「DuraForce EX」を使用しました。
実証実験を行った背景や京セラ製端末の使用感、実証実験を通じて感じたマイナンバーカードの可能性などについて、瀬戸内町の中島様(総務企画課長補佐兼DX推進室長)・積様(危機管理係長)・仁科様(保健福祉課長補佐)・德田様(保険給付係長)、そしてTOPPANエッジの花田様にお話を伺いました。
近年、日本は地震の活動期に入った可能性が高いと言われています。特に南海トラフ地震においては、2025年9月に、今後30年以内の発生確率が60~90%程度以上に見直され、日々の備えに努めるよう各関係機関で呼びかけています。
瀬戸内町においても、南海トラフ地震や奄美群島太平洋沖地震が観測された場合、大津波警報が発令される可能性があるため、まちを挙げて防災対策に取り組んでいます。しかし、瀬戸内町の地理的特性上、1つの懸念点がありました。
「瀬戸内町は、奄美大島の南端部とその南にある加計呂麻島・請島・与路島の3つの島からなるまちです。災害が発生した際、二次離島にお住まいの方々がフェリーで奄美大島へ避難すると、大変な混みようとなり、避難誘導や正確な安否確認が困難になります」(中島様)
また、瀬戸内町は高齢者が多いほか、自力で安全な場所へ避難することが困難な要配慮者が約4400人暮らしています(2026年1月時点)。避難所に要配慮者を受け入れる際は、専用スペースの確保、持病や薬の情報伝達が重要で、情報が正しく伝わらないと重大な事故を招く危険性があります。自治体側で正しい情報をやり取りし、避難してきた高齢者や要配慮者の安全を確保するためにも、速やかに安否確認し、住民情報を収集できる仕組みを構築する必要があります。
「そこで、避難者の状況を把握できる仕組みを作れないだろうか、というところが今回の実証実験の入口でした」(中島様)
TOPPANエッジは、DXを支援するさまざまなソリューションを提供する企業です。長年にわたり培ってきた『情報』を安全かつ適切に取り扱うノウハウを強みとし、これまで多くの企業や自治体の課題を解決してきました。
同社はマイナンバーカードの利活用にも積極的に取り組み、これまでマイナンバーカードのICチップの空き領域を活用した、災害時などの購買システムや交通利用でのキャッシュレス決済システムなどにも携わっています。
「弊社は、『マイナンバーカードの利活用』というコンセプトで、さまざまな自治体のDX推進に関わらせていただいています。そのつながりの中で、瀬戸内町もDXに力を入れていると伺い、お声がけしたのが弊社と瀬戸内町との出会いでした。瀬戸内町とディスカッションを重ねる中で、災害時の避難者確認や避難所運営に課題があると知りました」(花田様)
そこで同社が瀬戸内町へ提案したのが、マイナンバーカードの利活用でした。奄美大島への出入りや避難所の入退所時に、住民IDを書き込んだマイナンバーカードをタブレットなどにかざすことで、迅速に本人確認や名簿登録を行えるシステムです。
「そのアイデアを聞いて、災害時の業務を効率化でき、高齢者や要配慮者が避難した際、受付を待つストレスも緩和されそうだと感じました。このシステムの可能性を検証したいと、実証実験に応じることにしました」(中島様)
2025年12月21日、瀬戸内町きゅら島交流館をメイン避難所に設定し、『瀬戸内町総合防災訓練』が行われました。消防や自衛隊、警察など約20の機関と住民約770人が参加しました。
「南海トラフを震源とする強い地震が発生。瀬戸内町で震度2を観測し、気象庁から奄美大島沿岸海域に大津波警報が発令されたという設定で行いました。午前9時ごろ、避難を促すアナウンスが町内に流れると、メイン避難所に住民の皆さんが次々と集まってきました」(積様)
ここで、マイナンバーカードを利活用した避難者情報を把握する実証実験が行われました。実験には、マイナンバーカードのICチップの空き領域を想定した疑似カードと、住民の基本情報(支援情報・常備薬・慢性病気)を紐づけ、避難所管理システムへ反映させました。
まず、『二次離島からの移動管理』として、フェリーターミナルを想定した区画に読み取り用のタブレットを設置し、ここに疑似カードをかざすことで二次離島から奄美大島へ入島したことが登録されます。次いで『避難所の入所管理』として、避難所の入口に設置した読み取り用タブレットに疑似カードをかざすと避難所に入所したことが登録されます。これらの記録は、住民IDをもとに避難者名簿に記載されます。
この読み取り用タブレットに、京セラの「DIGNO® Tab 5G(KC-T306)」が採用されました。
「京セラは国内メーカー。なかでもDIGNO Tab 5Gは、この実証実験に欠かせないNFC読み取り機能を搭載しています。特に決め手になったのは、ディスプレイ面でのNFC読み取りが可能で、読み取り位置を示すガイドが画面上に点滅する点でした。避難所に職員がいなくても、どこにマイナンバーカードをタッチすればいいのかがわかりやすい仕様も選んだ理由でした」(花田様)
「DuraForce EXはトランシーバーとしても利用でき、また、落とす・ぶつけるといった災害時のさまざまなアクシデントにも耐えられる堅牢な設計です。タブレットも含め、まさに探していた端末が京セラにあると知り、採用に至りました」(花田様)
今回の実証実験では、住民情報の収集方法を大きく3パターンに設定し、それぞれの所要時間を計測しました。その結果、職員が避難者から聞き取った住民情報を紙に書き取り、その後システムに入力する『従来パターン』に対し、マイナンバーカードのICチップの『空き領域活用』では大幅に時間を短縮しました。
「思った以上にタブレットの反応が良く、ある実験参加者の方が敢えて少し離してカードをかざしてもすんなりと読み込み、あまりの感度の良さに驚きました。また、カードをタッチしてからしばらくしないと次のカードを読み込めないと思っていましたが、読み込み可能になるまでの時間も早く、次々とご案内できました。住民の皆さんをあまりお待たせせずに、スムーズに受付ができたと思っています」(德田様)
また、『誰でも使える』という点こそが、災害時のソリューションとして最適であると、花田様は強調します。
「実際に災害が発生したとき、避難所の運営に近隣自治体から駆け付けた職員が加わるケースも珍しくありません。現に能登半島地震のときは全国の自治体から応援職員が集まりました。その際、簡易なマニュアルがあり、それに従えば避難所を運営できる仕組みであることが重要です。管理アプリが入っているタブレットとスマホがあり、電源を入れて、そこにマイナンバーカードをかざすだけで、避難者情報を収集できる今回の仕組みは、災害時にうってつけだと実感しました」(花田様)
実証実験後の住民アンケートでは、多くの方がカードを端末にかざすだけで完了する迅速さに「ストレスなく受付ができた」と回答。職員からも「聞き取りミスを減らせる」と評価する声が上がりました。
「住民の皆さんからは、『日常生活など多方面でも活用したい』という期待の声も寄せられました。今後はそうしたニーズに応えるべく検討を重ね、さまざまなシーンで使えるカードとして普及を後押ししていきたいです。将来的には、奄美大島5市町村との連携、さらには国および県との連携を目指し、住民の利便性が向上するような取り組みへと展開させたいです。今回の実証実験を全国の離島や山間地域にも広げ、デジタル技術を活用しながらも、人による温かいサポートも充実させ、住民の皆さんの安全・安心を守り続けていきたいと考えています」(中島様)
防災訓練当日、TOPPANエッジ様とともに自治体様の実証実験に立ち会わせていただきました。
弊社としては初めての現場検証でしたが、避難所受付の現場で、タブレットによるカード読み取りが円滑に行われ、来場者の流れが滞ることなく進んでいく様子を目の当たりにしました。
発災時の避難所受付は、混乱の中で迅速かつ正確に対応することが求められます。限られた人員で多数の避難者を受け入れる現場では、自治体職員の負担軽減と、避難者の待ち時間や心理的不安を最小限に抑えることが重要です。
今回の実証実験では、タブレットによるスムーズな本人確認・受付処理によって、現場に余計な負荷をかけない運用の可能性を具体的に確認することができました。
さらに強く感じたのは、受付情報がリアルタイムで災害対策本部と共有される意義です。避難所ごとの受け入れ人数や状況が即時に把握できれば、物資配分や人員配置といった次の判断につなげることができます。
単なる受付の効率化ではなく、災害対応全体を支える情報基盤としての重要性を実感しました。
また、今回の取り組みを通じて、京セラ製タブレットは単体製品としてではなく、TOPPANエッジ様の認証・ソフトウェア基盤と組み合わせることで、より大きな価値を発揮できることを確認しました。
自治体DXは1社で完結するものではなく、パートナーとの連携によってこそ、現場課題の解決につながるものだと強く感じています。
今後も、平時の窓口業務から災害時の避難所運営まで、自治体業務を支える基盤としてのモバイル活用を推進し、現場に負担をかけない持続可能な自治体DXの実現に貢献してまいります。
所在地:鹿児島県大島郡瀬戸内町古仁屋船津23番地
所在地:東京都港区東新橋1-7-3