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開発事例紹介ペルチェ

医療業界で注目される
耐久性と信頼性の高いペルチェユニットとは?

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京セラの「ペルチェモジュール」は、その品質の高さから自動車業界をはじめ様々なシーンで使われています。
新たに開発された「ペルチェユニット」は、そんなペルチェモジュールをユニット化させることで汎用性を高め、
より多くのお客様に使っていただけるものへと進化。開発担当者に、ペルチェユニットにかける想いを伺いました。

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自動車業界で培ったペルチェモジュールの技術

「ペルチェモジュール」とそれをユニット化させた「ペルチェユニット」の開発に携わられているということですが、まずはペルチェモジュールがどういうものなのか改めて教えていただけますか?

ペルチェモジュールを分かりやすく説明すると、「電気を熱に変換できるモジュール」になります。電気を行き来させることによって、「冷やす」、「温める」を可能にする。モノや素子の大きさにもよりますが、マイナス20度からプラス80度ぐらいまで温度を調整できます。

急熱、急冷も可能ですか?

もちろんです。現在、クルマのシート温調、リチウムイオンバッテリーの温調システム向けに主に量産しています。その他にも小型の冷蔵庫や除湿器など幅広いシーンでも、一般的にペルチェモジュールが実際に使われています。

ペルチェモジュールはいつぐらいから手掛けているんですか?

京セラとしては15年以上もの歴史がありますが、今回新しく開発した「ペルチェユニット」はそんなペルチェモジュールに冷却用のヒートシンクと送風ファンを装着させることで、お客様がすぐに現場で使えるような仕様にしているのが最大の特長です。

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開発はいつぐらいからスタートしたのですか?

2019年の秋ごろです。血液分析や、試薬温調用途など、理化学・医療装置向けに開発をスタートさせました。開発のきっかけは「もっと気軽かつ高度に温調できるものが欲しい」というお客様の声でした。ペルチェモジュール単体だと、ヒートシンクやファンを装着するなどお客様の方でカスタマイズする必要がある――つまり、ペルチェモジュールを活用するための知識とノウハウが必要とされます。しかし、このペルチェユニットがあれば設置すればすぐに使用することができるわけです。

まさにお客様の声を形にしたわけですね。アッセンブリーとして提供することでお客様の「温調」という課題に迅速に応えることができると。

はい、まさにその通りです。そもそも弊社のペルチェモジュールは車載への採用が主。民生品とは比べ物にならないほど、高い品質基準が求められる業界で採用されてきました。

ペルチェモジュール自体にも京セラならではの強みがあるのでしょうか。

他社製品はセラミックスの1種であるアルミナ基板を使っているんですが、弊社のペルチェモジュールに使われているのは銅板です。銅は均熱性に優れた素材なので温度にばらつきがでにくい、かつ、温度制御の応答性が早いというのが特長。また、たくさんある素子1つ1つが円柱になっているので変形応力への耐性も高い。さらに結露水による腐食を防ぐために特殊なコーディングを素子側面に施しています。

ペルチェユニットの核となるペルチェモジュール自体、高い信頼性と耐久性を持ち合わせているということですね。

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PCR検査装置拡充の手助けに

ペルチェユニットの開発自体はスムーズにいったのでしょうか?

ペルチェモジュールをユニット化するための設計のノウハウがなかったので、ゼロからのスタートでした。何十種類ものファンやヒートシンクをテストして最終的には、環境条件にも依存しますが、±0.1度精度での温調が可能になりました。

条件次第では、温度を36度に設定したら35.9~36.1以内に収まるということですね。

ペルチェモジュールはあくまで熱を一方向に逃がすデバイスなので、冷やすために装着しても熱が片側に移動しているだけで消えるわけではありません。だから冷却時に反対の面から出る熱をどう処理するかがポイントになるわけです。

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その熱をヒートシンクとファンを使って逃がすわけですね。今回新しく開発したペルチェユニットを、今後はどのような業界の方に使っていただきたいと考えていますか?

先ほども申し上げた通り京セラのペルチェモジュールは、自動車業界での使用がほとんどでした。それをユニット化させたことでより多くの人の温調の需要にお応えできるのではと考えています。特にご提案したいのが医療業界です。

まさに高信頼性、高耐久性、かつ高度な温調が必要とされる業界です。

当初は血液分析や試薬温調用途への展開を考えていました。しかし、2020年に入ってから新型コロナウイルスの感染状況が深刻化し、PCR検査体制の拡充が叫ばれるようになりました。特にPCR検査は、ウィルスを検知するために高い温度制御をできるだけ早い応答性を実現しながら、高信頼性も合わせ持つ技術が求められます。日本国内でPCR検査がすぐに受けられるような体制はまだまだ整っていない状況なので、このペルチェユニットが全国のPCR検査装置拡充の手助けになればと考えています。これまでは自動車業界がメインではありましたが、今後は、それぞれのお客様がご要望されるカスタマイズ要求にも応えていくことで、私たちがこれまで培ってきた技術を世の中にもっと普及させていきたいですね。

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