「いま、ミニ四駆が地球をもっと丸くする。」MINI4WD B-MAX GPワールドカップ2025 国際交流レポート
「ミニ四駆があれば、人はもっと世界を好きになれる。」
そう断言できるほどの衝撃が、この大会には詰まっていた――
2025年11月22~23日、京セラみなとみらいリサーチセンターを舞台に、11の国や地域から選ばれし戦士たちが集いました。
京セラオープンイノベーション推進部の永見課長が運営に携わったのは、今回が2回目の開催となるFORCE LABO(フォースラボ)様主催の世界大会「B-MAX GP WORLDCUP2025」。永見課長は新たなイノベーションの種を育むきっかけとして、ミニ四駆を通じて企業間のつながりを深める取り組みをされています。
笑顔や涙。喝采と握手。そして鳴り止まないモーター音。
白熱の大会の様子だけでなく、ミニ四駆を通した国際交流の様子をライターKYが現場へ潜入レポートしました。
目次
ミニ四駆を片手に国際交流がスタート
なんと今回は、世界各地から111人のレーサーが参加!チームごとに用意されたピット席だけで、会場の半分ほどを埋め尽くしています。
そして会場のもう半分といっていいほどのエリアに圧倒的な存在感で広がるのは、今回の舞台であるミニ四駆サーキットです。事前にコースは公開されているものの、あらためて戦いの場をじっと眺める選手たちの姿が印象的でした。
多国籍の人々が一堂に会する圧巻の光景を眺めていると、小さな男の子が韓国選手団に混ざっているのを発見。たまらずに話を聞くと、なんとまだ6歳だそう。ミニ四駆が大好きなお父さんにセッティングのアドバイスをもらいつつ、自分で走らせているとのことでした。
この大会に子どもが出られる理由が、もう一つあります。それは「B-MAX」の大会であることにほかなりません。
「B-MAX」とは一言でいえば“無加工レギュレーション”のこと。ボディやタイヤなど、定められた範囲でのみしか手を加えてはいけません。つまり、本当に誰でも参加できる大会なのです!
性別も年齢も一切関係なく楽しめるのがミニ四駆の魅力といえますね。そして国籍も!イタリアの代表選手に話を聞くと「実はほかのミニ四駆大会で、1週間近く前から日本に訪れていたんだ。東京を中心に観光もして、日本食もたらふく食べたよ」と日本での滞在をバッチリ堪能してくれた様子でした。
練習走行開始!あれ、もはや本番では?
本番前日の22日。練習走行がスタートすると、選手たちが長蛇の列をなしながら自分の番を待ち始めます。レーサーたちが時に真剣な面持ちで、時に談笑しながら待っている光景に、早くも「世界平和のカギを握っているのは、もしかしたらミニ四駆なのでは?」と思ってしまいました。それほどインパクトのある、唯一無二の景色でした。
そういえば、参加する前から私が疑問を抱いていたことがありまして……。この場を借りて素直な疑問を打ち明けたいと思います。「ミニ四駆に練習って必要なの?自分が走るわけじゃないのに?しかも前日にわざわざ集まって、4時間も練習タイムが設けられてるってどういうこと?」
そこで列に並んでいる日本人選手に「練習の必要性」を尋ねてみると、快く教えてくれました。
「練習はもはや、本番と同じくらい大切です。勝つためには、当日のコースに合わせてマシンを細かく調整しなければなりません。例えば今回は“ドラゴンバック”と呼ばれるジャンプ台を飛ぶ勢いでコースアウトする可能性があるため、何度もミニ四駆を走行させてブレーキを強めたり弱めたりする必要がありますね。」
たしかにいざ練習がスタートすると、コースから飛び出してしまうマシンが続出!走行を終えると即座にピット席に戻り、メンテナンスを始める選手たちの姿が見受けられました。
そして驚くことに、練習走行の時間が経過するにつれ、ゴールまでたどり着く選手があきらかに増えてきたのです。練習が本番って、こういうことか!
「タイムが揃ってきたな。」
練習も後半に差し掛かったころ、とある選手の発言が聞こえてきました。どうやら各々調整を終え、だんだんと世界レベルの平均タイムが見えてきたそう。
そしてこれからはほかの選手のセッティング具合 を見て、最終メンテナンスに入るターンがやってくるそうです。
リスクを取ってスピード重視にするか、はたまた90点の安定した走りで完走を優先するのか……。選手たちが自身のミニ四駆とたっぷり向き合ったところで、1日目の練習走行は終了しました。
白熱の個人戦!地球で最もアツい空間がここに
23日、いよいよ世界大会の本番です。
各チームが会場へ入ると、運営スタッフを中心に拍手でお出迎え。静かなる熱狂というべき雰囲気が会場を包み込むなか、参加チーム同士で仲良く写真を撮影し合う光景も目立っていました。
シンガポールの代表選手へ尋ねると「昨日は朝までマシン のパーツを丸ごと変える作業をしていたよ。せっかく日本にいるのにね!」とお話が。しかし昨日は、他のチーム同士での交流ができたそう。
それぞれのミニ四駆を称え合ったり、マシンについての談義をしたりとコミュニケーションを取りながらも「でも本番の戦略について、本当の部分はお互いはぐらかしている感じだったよ」と、闘志メラメラな一面も見せてくれました。
和気あいあいとした雰囲気も束の間、本番直前に注意事項の説明が始まったあたりで、真剣モードになる選手が増えてきました。それもそのはず、個人戦は3人ずつ走行し、2位以下はその時点で敗退。1位を取り続けた者のみが優勝できる厳しい戦いなのです。
時刻は11時15分――
いよいよ緊張の個人戦がスタートしました!練習とは打って変わり、各チームと応援団がミニ四駆の走りに一喜一憂。それぞれの言葉でエールを送る光景は、まさに大舞台そのものの空気感。
時計の針が12時を指したあたりで、戦いはセミファイナルへ。この戦いを勝ち上がれば決勝戦ということで、よりいっそう熱がこもる会場。白熱のレースを終えたあとにハイタッチや握手をしてお互いを称え合う光景も多く見られるようになりました。
そして決勝戦に勝ち上がったのは、カナダ・イタリア・フィリピンの選手たち。世界中の選手や観客に見守られながら、いよいよ「B-MAX GP WORLDCUP2025」個人優勝を決める戦いへ!
3 組とも好スタートを切るも、カナダ選手のマシンが一歩リード!かと思いきや、コーナーでフィリピン選手のマシンが追い上げ1位に。このまま2人の競り合いかと思われましたが、2周目に差し掛かったところでカナダ選手のマシンがなんとコースアウトに……!3周目はフィリピン選手のマシンとイタリア選手のマシンの一騎打ちとなったものの、フィリピン選手のマシンの勢いは衰えることなく、そのまま世界一の称号を獲得!
優勝したフィリピンのカルロ選手にインタビューをさせてもらうと「ともに戦った仲間や大会の関係者に対し、とにかく感謝の気持ちでいっぱいだよ……」と、胸に手を当てながら語ってくれた姿が印象的でした。
これまでの戦いのなかで、個人的にどうしようもなく心を奪われたシーンがあります。それはスタートのブザーが鳴る前、国籍の異なる3人が顔を突き合わせながら、それぞれのミニ四駆をスタンバイさせているその度の景色です。
手のひらに乗るサイズのマシンが、今後どれだけ世界交流を活発にさせていくのだろうかと、つい思いを馳せてしまう素敵な光景でした。ミニ四駆、アツすぎる!
緊張の団体戦!そして深まるチーム同士の絆
団体戦の前に、ランチタイムを挟んで小休憩が入ります。
ホッと一息ついたところで、外国人のみなさんがどこでミニ四駆と出会ったのかが気になって尋ねてみました。
とある選手は「知り合いがホビーショップで働いており、同時にミニ四駆の存在を知ったんだ。ボディのかっこよさがたまらなくて、気付けば世界大会に出ていたよ。」と教えてくれました。
そしてほかのレーサーからも「父親がミニ四駆にハマっており、そのまま自然と自分もレースに出ていた」「ミニ四駆の紹介をしている日本人選手のSNSをよく見ており、設計をマネしながら楽しんでいるうちにここまで来れた」などたくさんのエピソードが!
そんな貴重なお話を聞いているうちに、いよいよ団体戦の時間がやってきました。予選ではチーム同士で10戦し、勝ち3pt、完走1pt、コースアウト0ptで総合得点の高さを競います。
自分の国や地域を背負って戦う。そのプレッシャーからなのか、気持ちが前に出てしまいフライングする選手も増えていきます。
実際のレースでは、個人戦でも優勝したフィリピンが圧倒的な戦績で勝ち進む様子に、選手たちも驚きの表情。最終的に決勝に出揃ったのは、フィリピン・イタリア・マレーシアの3チームです。
そして結果は……5戦中4勝とまたも驚愕の成績でフィリピンが優勝!表彰式では個人戦と団体戦2つのトロフィーを受け取り、圧巻の強さを証明していきました。
日本人選手にフィリピンの強さの理由を尋ねると「日本発祥のミニ四駆ですが、世界の人たちがそれぞれのマシンに特色を出してきたうえ、競技者の人口も増えてきたように思います。今回は、フィリピンが勝つためのセッティング技術を磨いてきた結果だったのでは。日本も負けていられない!」
そんな日本の選手は、海外からも憧れの存在だそう。フィリピンの選手が、自らのユニフォームに日本の選手のサインを求める微笑ましい光景とともに、団体戦ならびに「B-MAX GP WORLDCUP2025」は幕を閉じました。
終わりに~手のひらサイズの平和から始めよう~
すべての戦いが終わったとき、ふと「そういえばみんな、荷物が少ないな」なんてことに気付きます。気軽に世界を股に掛けられる競技が「ミニ四駆」なんだと、バック一つで帰路につく選手たちを見て実感しました。
惜しくも予選敗退をしてしまった日本人選手からは「ミニ四駆の世界レベルは確実に上がっていると、今大会で確信しました」とお話が。
続けて「地球上のミニ四駆のレーサーたちが活気づいたのは、一度目の世界大会が行われてからだと思っています」と語ってくれました。ミニ四駆を通じた今後の国際交流の取り組みに期待せざるを得ません。
これからの日本を担う若者たちは、外国語を駆使した国際交流がますます重要視されるのではと思います。ただ、このレースを見てしまった自分からは「まずは、ミニ四駆を手にすることから始めてみれば?」とアドバイスを送ることになるでしょう。
そして最後に、とある外国人選手に「ほかのチームの選手と仲良くなれた?」と尋ねた際に返ってきたこの言葉を、地球に向かい叫ばせてください。
「All friends!」
参加チームの様子