CASE - Autonomous(自動運転)
における取り組み

自動車業界におけるCASE
Autonomousとは
自動車業界における「Autonomous」分野は、自動運転技術によって新しいモビリティ社会を実現する分野です。人工知能(AI)や、カメラ、ミリ波センサー、LiDARなどの先進的なセンサ技術を駆使し、車両が自ら周囲の状況を認識して、安全で効率的な運転を行います。自動運転技術は、事故リスクの低減やドライバーの負担軽減に加え、高齢者や障がい者の移動支援、渋滞の緩和や物流の効率化など交通システムの最適化につながる技術として期待されています。
Our Vision
自動運転技術による持続可能な交通システムの実現
京セラは、これまで蓄積してきた技術と知見を活かし、安全で快適な交通社会の実現のため、自動運転技術を支える部品の生産やシステムの構築を進めています。
高精度なセンシング技術による周辺認識と高速な情報処理により、自動車の制御を支援します。また、高い信頼性を持つ電子部品を通じて、車載システム全体の安定性と耐久性を強化します。
京セラは、新技術に対する実証実験を重ねながら、モビリティを支えてきた技術と高品質な製品をもって、自動運転技術の実現に貢献していきます。
Autonomous(自動運転)
におけるソリューション
Autonomous
部品
ADAS向け小型差動出力発振器
高速・大容量通信が求められるADAS(先進運転支援システム)向けに開発された発振器です。レーダーやカメラ、5G通信などの高性能機能に対応し、シリアルでの差動信号による高速データ伝送を実現します。高速伝送や同期制御の基準となるクロックにおいて、高周波・低ノイズを実現する差動出力が可能で、安定した通信を提供します。コンパクトな設計により低電圧動作を実現し、立ち上がり・立ち下がり時間の短縮を可能にすることで、信号遅延や通信エラーを防ぎ、車内通信の安定性とデータ伝送の信頼性の向上に貢献します。

光学部品(レンズ、光学ユニット)(各種カメラ、レンズ)
ビューイングやセンシングに対応するカメラモジュールや各種レンズを備えた製品群です。ドライバーモニタリングカメラ、フロント・リアビューカメラ、サラウンドビューカメラなど多彩なカメラに適した光学部品を提供します。設計から製造まで自社一貫体制で、水平画角や画素数、外径などの細かなカスタマイズにも対応可能です。プラスチックやガラスの非球面レンズなど、用途に応じた高精度な視覚機能の実現に貢献します。

自動車用コネクタ(自動車電子部品全般・コネクタ)
車載機器用の内部接続ソリューションです。京セラのBoard to Boardコネクタは、フローティング構造で基板ズレや振動を吸収し、確実な嵌合を実現します。FPC/FFCコネクタは、エンジンルーム近くにも搭載可能な125℃までの耐熱性、高速伝送規格V-by-One®HS対応や省スペース設計が特長で、高信頼性を備えています。Board to Boardコネクタ、FPC/FFCコネクタともに多様なバリエーションによって、幅広いニーズに貢献します。

車載LiDAR用パッケージ
LiDARシステムに求められる小型化、耐熱性、放熱性を実現する自動運転車向けのパッケージです。積層セラミックスにおける多層配線技術を活用し、効率的な放熱性能によりレーザーダイオードの温度上昇を抑制します。さらに、異形状形成と両面実装により、レーザーダイオード、ドライバIC、モニタPD、コンデンサなどの2Dまたは3D実装が可能です。これにより、低背・小型化と低インダクタンスを実現し、低コストでの高性能LiDARシステム構築に貢献します。

車載向けディスクリート製品
自動車に求められる高信頼性基準を満たす高性能な電子部品です。一般整流ダイオード、ファストリカバリダイオード(FRD)、ショットキーバリアダイオード(SBD)の3種類があります。そして、AT(自動変速機)やブレーキ用の昇圧回路、逆流防止機能、スナバ回路、さらにはADASライン保護など、さまざまな用途に対応しています。CID(センターインフォメーションディスプレイ)やLEDランプの信号保護・逆流防止にも採用され、安全性と信頼性の向上を実現します。

ポリマータンタルコンデンサ(KYOCERA AVX製品)
車載機器向けに設計された高性能コンデンサです。特にADAS、インフォテインメント、ボディECU、メーターなどに適しています。陰極材料に導電性高分子(ポリマー)を採用し、低ESRと高い難燃性を実現します。定格電圧2.5〜50V、最高125℃までの広範な条件に対応し、2.5〜470μFの幅広い容量で高性能ICに適応可能です。小型・低背・大容量設計により、MLCCの代替として部品数を削減し、車載システムの効率化に貢献します。

統合ECU:FCBGA(半導体用高密度有機パッケージ基板)
最先端のデザインルールに対応した高密度有機パッケージ基板です。微細配線技術により9μm/12μmの配線幅・間隙を実現し、9,000ピン以上のI/Oに対応可能です。ビルドアップ構造で高品質・高性能を提供し、車載SoCやハイエンドサーバーMPUなど、さまざまな用途に活用できます。厳格な品質や信頼性要求に応じて、お客様の仕様に合わせたフルカスタム設計も可能です。また、鉛フリーなどの環境対応仕様を備え、環境保護に貢献しながら、高い信頼性のもとADASを支援します。

統合ECU:MCM
1枚のモジュール基板上に様々な機能を持った複数のICが実装された電子部品です。MCM(Multi chip module)は、自動運転において、通信で得られた地図データや、車両およびインフラのセンサで取得したデータをもとに、車両を制御をするユニットであるECUに搭載されています。フィルドビア構造や高密度配線(L/S:85μm/85μm)にも対応しています。今後の技術進化や情報量の増加にも対応し、安全で信頼できる自動運転の車両制御技術に貢献します。

フレア低減型ガラスリッド
ADASや自動運転(AD)での安全性向上に貢献する高性能ガラスリッドです。印刷技術により光の透過と反射を最小限に抑え、ノイズを低減してクリアな視界を実現します。さらに、アウトガスの発生抑制により長期信頼性を確保し、遮光膜とガラスの一体化によりコンパクトな低背化設計を可能にします。また、通常20%程度のUV透過率に対し、京セラのカスタムARコートは50%の透過率を実現し、UV封止工程の生産性向上に貢献します。被着体に最適なガラスリッド材料の選定から出荷形態まで、お客様のニーズに柔軟に対応します。

ミリ波モジュールアンテナ基板
自動車のミリ波レーダーに求められる高精度・高信頼性を実現するアンテナ基板です。自動運転における障害物検知の機能を支えることで安全性の向上に寄与し、自動車事故の減少に貢献しています。高度なアンテナ回路形成技術により、アンテナパターンの高い再現性を実現する事が可能です。また、アンテナ層のみ高周波材料を適用する事で、制御と高周波回路を一体化したハイブリッド構造のミリ波レーダー用プリント配線板を製造する事が出来舞ます。

モビリティ製品
LiDAR・SAW・気圧センサ・ガスセンサなど、自動運転に不可欠な各種センサ向けにセラミックパッケージを提供しています。高い耐熱性・耐食性・剛性・電気絶縁性を備え、自動運転時の高い処理能力と負荷軽減を実現します。さらに、部品ごとの異なるニーズに応じたカスタマイズにより、最適なパッケージを提供します。豊富な技術と経験を活かし、お客様の多様なニーズに応える高信頼性パッケージで安全な自動運転を支援します。

Autonomous
モジュール
車載カメラモジュール
安全な車社会を支える高機能カメラモジュールです。光学、回路、ソフトウェア、機構技術を駆使し、レンズユニットと電子回路によって精密で安定した品質を提供します。さらに、高密度微細配線技術や熱・応力解析、ノイズ対策も施し、車載用途に適した品質を確保します。また、映像表示だけでなく、歩行者や車両の認識機能の研究開発を通じて、安全性と利便性の向上に貢献します。

電子ミラー用LCD
強い光の下でもクリアに見える表示性能を持つバックミラー用LCD(液晶ディスプレイ)です。
ガラスを曲面にカットする加工技術により、バックミラーのデザイン性を損なうことなく優れた機能性を実現します。
安全運転の観点から後方のカメラ映像を映すバックミラーが増えている中、前方を見ているドライバーがミラーを見る際の視点調整の負荷を軽減する技術も開発しています。
長年の車載市場で培った実績に基づく高い信頼性を備えたLCDで、より安全な運転に貢献します。

ヘッドアップディスプレイ用LCD
フロントガラスに虚像を投影するヘッドアップディスプレイです。前方から目線を逸らさずに情報を確認できるため、安全で快適な運転に貢献します。キーパーツであるLCD(液晶ディスプレイ)には、良好な表示品位と高い耐久性が求められます。長年自動車用に供給してきた京セラのLCDは、高いパフォーマンスを誇り、ヘッドアップディスプレイユニットの輝度抑制、熱対策効率化に寄与しています。また、大型化/AR化するヘッドアップディスプレイに合わせ、LCDの大型化も推進し、安全で快適な運転環境に貢献します。

Autonomous
システム
自動運転バス・trota(実証実験)
運転手の高齢化や公共交通の衰退といった課題の解決策として、京セラでは自動運転バスtrota(トロタ)の開発を行っています。公道における実証実験を栃木県と滋賀県で実施し、無事故での走行実績が評価されています。trotaには、当社が開発したステレオカメラ、周辺検知カメラ、信号検出カメラ、ミリ波レーダーと、先進モビリティ社と共同開発したECUシステムが搭載されています。さらに、LiDARやIMUなどの各種センサーも搭載し、障害物や歩行者を検知することで安全な自動運転を実現します。

自動配送ロボット(実証実験)
無人自動配送ロボットを活用した物流・生活支援サービスの実証実験に参画しています。カメラなどの各種センサで周辺環境を認識し、高信頼性の制御により、安全な自律走行を実現します。公道(車道)が走行可能な中速・中型ロボットで、幹線道路を活用し配送距離を延伸し、短時間で広範囲への配送が可能です。また、自律走行技術を活用して複数台の同時運用を実現し、コスト削減や地域物流の効率化、人手不足の解消に貢献します。

ナイトビジョン
夜間や悪天候時における物体認知を可能にするシステムです。白色光と近赤外光を同じ光軸から発光させるヘッドライトと、RGB-IRセンサを組み合わせ、物体や人を撮影します。そして京セラ独自のフュージョン認識AI技術により、視界不良時でも高精度な物体認識を実現し、危険を迅速に通知します。また、可視光の学習画像から近赤外光の学習画像を自動生成する技術により、低コストと高性能を両立しています。これにより、環境による認知精度の低下を抑制し、安心・安全な交通社会の実現に貢献します。

歩行者軌道予測
歩行者の数秒後の位置や軌道を予測するセンシングシステム。物流における人手不足を解消する一つの方法として、自動配送ロボットの実用化が期待されています。ロボットは歩行者にとって自動車よりも近い場所を走行するため、接触事故を未然に防ぐことが求められます。歩行者の軌道を予測できれば、ロボットはより安全に走行できるはずです。自動配送ロボットと人との接触事故をゼロにすることを最終目標として、研究開発を進めています。
