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"時間"を表現したデザイン― Moeye ― 開発者たちが考える未来とは?

 部品メーカーである京セラが、その技術を詰め込んで開発したMoeye。ここまでの2回を通して技術的な面を中心にご紹介してきましたが、最終回となる今回はMoeyeのデザインについてご紹介します。未来感と懐かしさ、どちらも感じられるこのデザインはどのように生み出されたのか、デザイナーである株式会社Fortmareiの石丸竜平様にお話を伺いました。
 さらに、このような先進的な自動車を作り出した、開発者の皆さんが考える未来とはどのようなものか、気になりませんか。
デザイナーの石丸様、光学迷彩技術の監修者である稲見教授、開発の中心となった京セラ研究開発本部の新谷さんの3名にお伺いしました。

石丸竜平氏

株式会社Fortmarei 代表取締役

石丸 竜平

稲見昌彦氏

東京大学

先端科学技術研究センター

稲見 昌彦

新谷勇志氏

京セラ 研究開発本部

モビリティ研究開発部

新谷 勇志

これで2サイズ白色



第三章:京セラの夢のカタチと見据える未来

京セラが思い描く未来を具現化したデザイン

 どこかレトロ感がありながらも、未来を感じさせる不思議なデザインとなっているMoeye。この唯一無二の外装から、様々な技術的な制約をクリアした内装まで、Moeyeを具現化したデザイナーが石丸様です。
 いったいどのような想いを持ってMoeyeをデザインされたのか、直接ご本人からお話を伺いました。

 「コンセプトは“時間”です。最初は、とにかく未来感のあふれるものがいいのではないかと思っていましたが、京セラさんと話をしていく中で、せっかく京セラさんの思い描く自動車の未来の姿を見せるなら、車の過去から現在、未来まで時間の流れを感じるようなデザインにしたいと思いました。」

 「Moeyeを初めて見た人が遠目に見て、近づいて、ドアを開けて、中に入る…その一連の動きの中に、車が積み重ねてきた“時間”をデザインで重ねる。
 たとえば、全体のデザインは遠目に見たときにはクラシカルな雰囲気を感じるようなテイストですが、車体へ近づいていくごとに、Moeyeの象徴でもある光学迷彩を実現するカメラや、サイドミラー、ヘッドライト、現代技術でしか再現できないなめらかな曲線など、計算しつくされた現代的なディテールが見えてきます。」

 内装は現代から未来を再現すべく、ドアを開けてまず目に入る反対側の扉やシートには、現代的ながらも歴史を積み重ねてきた伝統を感じるファブリックやレザーが配置されています。そして、シートに座るとダッシュボードを始めとした直線的なデザインを意識した機器が目に入るようデザインしたそうです。これは、座るまでは現代を感じさせ、座ることで未来へ進むように意識的に設計しているとのことです。
 素晴らしい未来は、先人たちの技術の積み重ねがあったからこそ実現できる…そんな過去へのリスペクトと、未来への希望を感じるデザインとなっています。

制約をデザインへ昇華する

 自動運転を見据えたMoeyeは、本来なら車にあるべきハンドルや、計器類などがありません。さらに技術的な制約も多く、通常の車と比べて特殊な車となっていますが、デザイン上での苦労はあったのでしょうか?

 「頭の位置は動かしたくない、といった技術的な制約の部分です。通常の車はシートの高さを変えると、ヘッドレストの位置も変わります。ですが、Moeyeの場合ヘッドレストの位置は変わりません。天井からヘッドレストが吊り下がるように固定されており、大きい人も小さい人もヘッドレストに自分の頭の位置をあわせるようになっているんです。これは、技術を活かすデザインとして、うまくまとめられたと思っています。」

 このような技術的な制約さえも、Moeyeならではの特色に仕立ててしまうデザイン力は驚きです。
 ほかにも京都オパールを印象的に使った、車に命を吹き込むかのようなウェルカム演出や、透明化というキーワード、デザインコンセプトを体現するために選んだシルバーの塗装など、様々なこだわりがMoeyeには詰め込まれています。
 こうしたことができるのも、単純に見た目をデザインするのではなく、京セラの想いを伝えるためにはどうしたらいいのか、乗る人がどのように感じるのかまでを考える、体験のデザインを行う石丸様だからこそ、Moeyeは京セラの未来を体現する唯一無二の形として、誕生できたのでしょう。

Moeyeのその先の“おもしろい未来”

 Moeyeによって、これまでにない新たな移動体験を世に提案したMoeye開発陣。そんな彼らが見据えている未来はどんなものなのでしょうか?Moeye開発の中心となった新谷さん、稲見教授、そして石丸様の3名にお話を伺いました。

新谷さん:
 「今後の私たちのミッションは、大きく2つあります。一つはMoeyeで得られた様々な反応を元に、車に限らず、様々な場面で新しい価値=おもしろい未来を創造していくこと。もう一つは今回、我々の思い描いた新しい移動体験という考え方に共感してくれた人たちとともに、新しいものを作っていくことで、今回Moeyeに搭載した技術の新しい可能性などを模索していくことです。」

 京セラの開発チームを率いていた新谷さんはMoeyeに満足することなく、今後も“おもしろい未来”を創造していくことに意欲を燃やしています。一方で、動くMoeyeや、完全透明化コックピットの実現も諦めていない様子で、エンジニアらしいものづくりへの情熱を感じました。車という形以外にも、様々なおもしろい未来を我々に見せてくれそうです。
 そして、Moeye一番の注目機能である光学迷彩技術を生み出した稲見教授は、Moeyeの開発を通して、光学迷彩技術、そして移動体験そのものの未来を想像しています。

稲見教授:
 「Moeyeでは光学迷彩技術を用いて、コックピットの一部を透明化しました。言ってみれば車の内装を意識せずに、車の外の世界との関係性を変容させることができたと言えます。
 その延長の姿としては、外の景色を見せずに立体シアターを見せてもいいと思います。たとえば車に乗った瞬間に、車内に行き先の空間が広がっていて、目的地に付いて扉を開ければその空間が実際に目の前にある――実質テレポーテーションのような使い方もできると思います。
 実現すれば、移動ということと、今いる場所はどこかということを分離できるようになります。つまり、物理的な移動と認知的な移動を独立して設計することも可能になると思います。」

 Moeyeに搭載された光学迷彩技術を突き詰めていけば、移動という概念そのものに大きな変化をもたらすことができるとのこと。稲見教授の頭の中では、モビリティという枠のさらにその先まで考えられているようです。

石丸様:
 「今回のMoeyeでは、通常なら快適性のために空間を確保する頭上に、プロジェクターが設置されていました。そういった技術的な制約がある中でデザインを成立させることはとても大変なことであった一方、今までにないデザインを実現できました。
 今後もし、京セラさんからご依頼いただいた際も、技術サイドとデザインサイドのやり取りで生まれる新しいカタチや価値に期待していきたいと思います。」

 デザイナーは“お客様がやりたいことをどう具現化していくか”が大切だと考えている石丸様。新しい技術が生まれたことによる、新たなデザインの発露には期待を込められているそうです。
 新谷さんや稲見教授のような技術者が作り出す新たな技術だけではなく、そこにあるべき姿を与える石丸様のようなデザイナーが加わることで、“おもしろい未来”が初めて生まれるのかもしれません。
 次は誰と結びついて、どんな“おもしろい未来”を描けるのか、今後も京セラが見据える未来から目が離せません!

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Moeye ペーパークラフト 編集部より
 Moeyeの開発秘話を3回に分けてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
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 (少しむずかしいのでおこさまはおとなの人といっしょに作ってね。)