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「見えなかったものが見える。」水晶ジャイロセンサ

素早いスポーツの動きを可視化する「IoT on Table Tennis システム」

 卓球ラケットに装着して用いる水晶ジャイロセンサモジュールを用いて卓球におけるスイングスキルの定量化と可視化を行いました。光学式モーションキャプチャーシステムを用いて本モジュールの精度を検証し、極めて高精度で計測できることを確認しました。従来、ラケットの動きは、早すぎて肉眼で捉えるのは困難でしたが、水晶ジャイロセンサを用いることでスキルの可視化を実現しました。また、様々な方向からの視点で見たり,自らのスイング再現性を確認したり、上級者との比較を行うことが実現できます。

 このようにIoTを活用したトレーニング支援は卓球に限らず、バトミントン、野球、釣り、ボウリング、競馬、スキー、スケートなどへの展開を検討中です。

スポーツの動きを妨げない!小型軽量水晶ジャイロセンサモジュール

 京セラはラケットの動きを観察するため、3軸水晶ジャイロセンサに加え、3軸加速度センサ、3軸地磁気センサをグリップエンドに装着し、選手の動きを妨げない使いやすさを実現しました。
 上記の各慣性センサは、マイクロコントローラー、無線ICならびにバッテリ等と共にプリント基板に実装されています。通信にはBluetooth®(BLE4.2)を用いてAndroid™端末から計測開始・停止のコマンドを送り、計測後には自動的に端末側に計測された各16bitの加速度・角速度・地磁気がダウンロードされる仕組みです。サンプリング周波数は1kHz(0.001秒単位)で最大2分間の計測が可能です。

※ Bluetoothは、Bluetooth SIG,INC.の登録商標です。
※ Androidは、Google LLC の商標です。

 水晶ジャイロセンサの特徴を活かした応用例として、慶應義塾大学SFC研究所との共同研究により、卓球ラケットセンサシステム(IoT on Table Tennis)を開発いたしました。今後は、本システムによる取得データの利活用を目的に、実証実験を進めて参ります。

水晶ジャイロセンサを用いたスポーツセンシングへの期待

慶應義塾大学 政策・メディア研究科兼環境情報学部教授 仰木裕嗣様

 「この水晶ジャイロセンサと出会い、今までのセンサでは計測できなかった瞬間的な速い動きを計測し数値化することができる「夢のデバイス」であると思いました。
 IoTTT(IoT on Table Tennis)については、京セラとの共同研究により、高速な動きをともなう卓球において、水晶ジャイロセンサは画像処理では得られない高精度なデータが取得可能であり、ラケットの姿勢、軌道を可視化することができました。実際にテスト使用した選手からも期待の声を頂いています。さらにアスリートの挙動再現性や、一流選手との相似性を計測し、データを解析することでコーチングやトレーニングに活かすことにより、更なる価値を高めることができるものと考えます。」

 「水晶ジャイロセンサは、データをワイヤレスで送受信可能な小型なモジュールを実現しており、バドミントンやテニスラケット、野球のバット、ホッケーのスティックなど、様々な道具に簡単に取り付け計測することが可能であり、さらに陸上競技など、あらゆるシューズのセンシングにも用途展開が可能であると考えています。この水晶ジャイロセンサによってスポーツセンシングの世界が大きく広がり、今後、スポーツの技能向上や高度化に発展させることもできると期待しています。
 現在、新型コロナウイルスの影響により、インターネットを活用した講義やレッスンを余儀なくされています。
今後は、画像と音声だけでなく、動きや状態も共有するインタラクティブに情報交換可能なシステムが必要不可欠になると考えています。
 先に述べたアスリートの技術力アップだけでなく、怪我の防止や、今後を担う子供たちの運動能力向上なども遠隔地での指導が可能となることから、様々な活用が期待できると思います。」

「一瞬の動きを捉える」京セラの水晶ジャイロセンサ

ジャイロセンサって何ができるの?

 ジャイロセンサは、慣性センサに分類されており、慣性センサとは人やモノの動きを数値化する電子デバイスです。
動きは直線運動と回転運動に分けられ、直線運動は加速度センサ、回転運動はジャイロセンサで数値化できます。

 表1は、通常歩行時の各関節の回転運動を数値化したものです。通常歩行時の動き(角速度)であれば、一般的なジャイロセンサでも十分に測定することが可能です。

表1
動作例 角速度 [dps]
歩行時の脚の角速度 300~400
下肢 250~300
上股 100~200

 一方、表2のようにスポーツ時の動きは、角速度が通常生活時に比べて1桁大きく、一般的なジャイロセンサでは正確な数値を可視化することが困難ですが、私たちが開発した水晶ジャイロセンサは、これらの速い動きに対しても高精度計測を可能にしています。

表2
動作例 角速度 [dps]
野球の投球動作の回転角速度 2000~3000
2000~2500
手首 5000~8000

水晶の能力を引き出した驚きの高精度、水晶ジャイロセンサの特徴

 私たちは特性の良い水晶材料を独自の設計技術と高精度加工技術(2020年5月京セラ調べ)で小型化することに成功しました。それにより一般的なジャイロセンサに比べ、以下の4つの大きな特長を有しています。
 ➢ 高分解能  : ノイズが小さく正確な姿勢制御が可能
 ➢ 低ドリフト : 正確な軌跡を測定可能
 ➢ 高速回転検出: 従来品では計測できない速い動きを測定可能
 ➢ 小型化   : 従来1軸の水晶ジャイロを3軸1パッケージに搭載

特性一覧

※それぞれの特徴を生かした実験動画をご覧ください。

京セラの水晶ジャイロセンサで価値あるセンサシステムをご提案

 私たちが開発した「水晶ジャイロセンサ」は、スポーツは勿論、様々な用途への展開が期待できるデバイスです。この水晶ジャイロセンサを用いて、今後のIoT社会に様々な価値あるセンサシステムをご提案いたします。

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