【連載:第3弾】「異種格闘技戦'25」"戦い"の先にあるものは?教育でつなぐ次世代へのバトン
さまざまなフィールドで研鑽を積んだ、人生のトップファイターたちが織りなす新世代バトル「異種格闘技戦'25」。
ここまで「戦う必要はない」「戦いは自分とするものだ」など、答えがない議題へ果敢に挑む登壇者たちの様子をお伝えしてきました。後半戦では、いよいよもう一つのテーマである「戦いの先にあるもの」に焦点が当てられていきます。
登壇者たちは、リングに上がり何を感じたのか。そして戦いの果てに見据える「先」とは。自分の思いを未来に託すヒントはどこにあるのでしょうか?
パネラー:
・原田曜平 マーケティングアナリスト
・田中雅美 水泳元日本代表 スポーツコメンテーター
・志津雅啓 トランス・パシフィック・グループ 代表取締役社長 元1等空佐
・高平尚伸 北里大学大学院医療系研究科医学専攻 主任教授
・ダニエル・ヘラー 横浜国立大学総合学術高等研究院 特任教授
レフェリー:
・丸岡いずみ フリーキャスター
目次
次の時代にバトンをつなげることが“戦い”だ
「それぞれが思う『戦いの先にあるもの』とはなんでしょうか?」レフェリーの丸岡いずみ氏が、一人ひとりに対し問いかけます。
すると、ここまで言葉を駆使して戦ってきた登壇者たちが、各々にまっすぐな答えを口にしていきました。
田中雅美氏「戦いで得たものは『人の存在』といえますね。オリンピックのことを振り返ると、思い出すのはいつも支えてくれた人の顔です。綺麗事でもなんでもなく、周囲への最大限の感謝の気持ちが芽生えたのは、戦ってきたからこそだと感じています。」
高平尚伸氏「医療は、一つの壁を乗り越えてもまた次の課題が立ちはだかります。戦いが永遠に続くなか、業界が担うべき使命は『教育』にほかなりません。褒めて育てる時代の若者たちが、世の中をどのように作っていくか。いまを生きる私たちによる『継承』の力が問われると思います。」
原田曜平氏「大学時代に新聞部だった私は、映画界の大スターであり、先日亡くなられた仲代達矢さんにインタビューをしたことがあります。仲代さんは無名の若者を集めた塾を開講しており、その理由を『人生には二つ青春がある』と教えてくれました。一つ目は、自らが名をなすための青春。二つ目が、次のスターを生み出すための青春。僕もいま、人生の大半をマーケティング研究に捧げています。そしてこれからは『次に戦える人材を育てる』ことが、僕が楽しみながら取り組む“戦い”なんだろうなと思っています。」
ほめて育てる時代に、「戦い」をどう教えるか?
丸岡氏は、それぞれが考える戦いの先についての話を聞き「未来の子どもたちに何を残すか」に注目。ここからは教育という観点で話が展開されていきました。
田中氏「褒められて育った世代が年を重ね、万が一また戦わねばならない時代が巡ってきたときを想像すると少し『怖さ』を感じますよね。私の子どもたちもまだ小さいので、これからの教育のあり方には注目をしたい。でもやはり個々の家庭においても、自身がどのようにして育てていくかは考え続けていくつもりです。」
「人はなぜ戦うのか?その先にあるものは……?」という正解のない問いと向き合ってきた登壇者たち。次世代へバトンを託したい思いは共通のようで、どこか楽しそうに議論を重ねていく様子が印象的でした。
それぞれの新たな“戦い”が始まる
試合終了まで残り僅か。ヒートアップを続けた戦いを終えようとする登壇者たちより、一言ずつ本日の学びや新たに芽生えた思いが語られていきました。
ヘラー氏「ド直球であり本質的なこの問いから逃げず、話し続けることが大切だと実感しました。まだまだ議論が尽きませんね。次回はやはり、学生もリングに立たせるとまた違った展開が期待できるのではないでしょうか?」
志津氏「みなさんのご意見を伺いながら、戦いは“永遠のテーマ”であるとしみじみ思いました。ただ『戦わなくて良いときもある』という私の根本的な考えは変わりません。他人を守るときのような、戦うべきところで拳を握る人生でありたいです。」
原田氏「チルな国といえる現代日本。しかし、例えば今後AIの普及が急速に進んだ場合、競争せざるを得ない時代が来ることも否めません。不測の事態に備えるためにも、“戦う”という感覚は忘れてはいけないと思います。」
そのまま原田氏は「そもそも“戦う”という言葉、なんだか“おどろおどろ”しすぎると思いませんか?」とパネリストやオーディエンスたちに問いかけました。そして「本気で頑張るという意味の新しい言葉を作り、来年の流行語大賞を獲得したいと思います。」と述べ、会場の拍手をさらっていきました。
登壇者たちが、それぞれの新たな戦いへ向かう予感をさせたところで、白熱した議論は終了。最後に、京セラ株式会社 研究開発本部長の仲川彰一さんによる総括が行われました。
戦いを見届けたのち、足早に自宅へと戻り、受け取った感情を整理するためPCへと向かう。
そのまま選手たちの言葉を文字にし、まとめ、伝えようと脳みそをフル回転させる。ふと、この瞬間こそまさに自分なりの“戦い”であることに、気付く。
そしてこの自らと向き合った経験の一つひとつが、また新たな戦いの場で“頼もしい味方”になってくれるだろうと、今回の戦いを近くで見た私は思います。
多種多様な側面をもつ登壇者たちが教えてくれたのは、拳を交える戦い方ではありません。自分を知り、他人をリスペクトしたうえでの、世の中へ向けたファイティングポーズの取り方でした。
いますぐ両手を胸の前に出し、ギュッと手のひらを握り、目の前にある景色を見つめてみよう。きっと耳元で、次の戦いのゴングが鳴り響くはず。
<著者紹介>
ライターKY
千葉県在住 エンタメビジネスライター
エンタメの表舞台に立つ方々だけでなく、裏方として活躍するビジネスパーソンにもフォーカスした取材をおこなっております。