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オープンイノベーションアリーナ

アジア・パシフィック・イニシアティブ・フォーラムに特別協賛企業として参加!

2019年12月6日(金)から12月8日(日)までの2日半の間、一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)が主催するアジア・パシフィック・イニシアティブ・フォーラム(APIF)が横浜ベイエリアで開催され、当社は特別協賛企業としてこの開催に協力しました。APIFは、日本とアジア諸国のビジネスリーダーが集い、20~30年後のアジアの未来像を描き、新たなイノベーション・エコシステムを創り出そうというフォーラムで、完全招待制となっています。

2019年度の年次総会となる今回のAPIFは、山下公園の目の前にある横浜の歴史的建造物でも有名なホテルニューグランドを中心にインターコンチネンタルホテルなど横浜ベイエリアにある複数の主要施設で開催されました。その会場の一つとして今回京セラのイノベーション施設「Innovation Square」が本年オープンした資生堂のS/PARKと共に選ばれ、2日目のスペシャルプログラム「Transforming Mobility」の開催会場となりました。

Day2スペシャルプログラム

12月7日は朝から小雨がぱらつくこの冬一番の冷え込みとなりました。事前登録制にも関わらず、「Transforming Mobility」の参加者は直前まで最終人数が決まらないまま開催当日を迎えていました。13:30の開場を前にAPIFスタッフが会場入りし、京セラスタッフと共に場内の設営や映像・音響チェック、事前リハーサルなどを終えたのは13:00少し前。間もなくするとホテルニューグランドでの午前中のセッションを終えた国内外の参加者約40名が専用バスで会場前に到着し、オーシャンゲートみなとみらいビルの6Fにある「Innovation Square」に入館しました。

参加者の多くはシンガポール、マレーシア、フィリピン、インドなどアジア諸国から訪日されたCEO、CFOクラスのビジネスリーダーで、場内の進行はすべて英語となりました。自由席となった会場で思い思いに席を決めた参加者は、諸注意のアナウンスが流れる中、会場の眼下に広がる横浜ベイエリアの眺望を前に開演までのひと時を楽しんでいました。

13:30に定刻通りプログラム開始のアナウンスが入り、冒頭のウェルカムスピーチも兼ねて、当社研究開発本部長の稲垣正祥が京セラの会社概要と研究開発の取り組みについてスピーチを行いました。約45分のプレゼンテーションでは、会社の沿革をベースに京セラが歩んできたイノベーションの歴史やその根本にある経営哲学などが説明され、新たなイノベーションの創出に向けた研究開発本部の主な取り組みがビデオなどを交えて紹介されました。

質疑応答では、オープンイノベーションの事例として紹介した“音楽が聞こえる電動歯ブラシ”POSSI”や米MITと共同開発した“クレイ型リチウムイオン電池”などについて質問が出されました。どこの国でも子供の歯ブラシ嫌いは共通の課題とのこともあり、”POSSI”について、「いつマーケット投入するのか」、「海外で販売するのか」といった具体的な質問が投げかけられました。また”クレイ型リチウムイオン電池”については、電力網の信頼性が日本ほど高くない海外でのニーズは高く、「是非接点をもちたい」と大きな関心を集めていました。プレゼンテーションでは、京セラとGLMの共同制作によるコンセプトカーのビデオも披露され、終始和やかなムードの中で率直な意見交換が行われました。

Transforming Mobility

15分の休憩の後、着席を促すアナウンスに続いて、司会者より本日のモデレータであるThe Economist Intelligence Unitのシニアエディター近藤奈香さんが紹介され、近藤さんの登壇に続いて、ゲストスピーカーとしてRebright Partnersのファウンディングジェネラルパートナー蛯原健さん、CarsomeのCEOであるJuliet Zhuさん、そしてCarroのCEO、Aaron Tanさんの3名が登壇し、スペシャルプログラム「Transforming Mobility」が開始されました。

今回登壇したゲストスピーカは、今アジアのMobility市場で大きな注目を集める新進気鋭のビジネスリーダーです。最初に自己紹介に立った蛯原健さんは、シンガポールに拠点を置くベンチャーキャピタルRebright Partnersを通じてインド、インドネシア、フィリピン、マレーシア、タイなどで有望スタートアップへの投資を展開し、自動運転向けのAIコンピューティングを手掛ける「αIC」やシンガポール発のカーシェアリングサービス「Smove」に出資するなど、アジアのMobility動向に精通したベンチャーキャピタリストです。

Carsome は、2015年2月に新車の価格比較サイトとして事業を開始、後に中古車市場に大きく舵を切ったマレーシアを拠点とするベンチャー企業です。Juliet ZhuさんはCarsomeのCEOとしてアジアで注目を集める女性起業家で、車検データをベースとしたプライシングエンジンを自社のプラットフォームに組み込み、車を所有するオーナーが入札システムを通して適正価格で自分の車を販売できるオンラインサービスをアジア各国で提供しています。

CarroもCarsome同様、シンガポール、インドネシア、タイで事業展開する自動車オンラインマーケットのグローバルベンチャー企業です。CarroのCEOであるAaron Tanさんはベンチャーキャピタル出身の起業家で、初めての起業は13歳だったという生粋のアントレプレナー。中古車の売買のみならず、保険や車検などの付帯サービス、車を担保としたファイナンス、そして車のサブスクリプションサービスなどもワンストップで提供しています。

アジア各国では近年、自動車関連のオンラインマーケットにベンチャー資金が集まり、数多くのスタートアップが新しいサービスを提供し始めています。今回はその中でも注目を集める有望ベンチャーの起業家とその資金提供者であるベンチャー投資家によるパネルディスカッションとなりました。

近藤奈香さんの流れるようなモデレーションで約60分のディスカッションはあっという間に終わりましたが、議論を通じて伝わってきたメッセージは、既に飽和が進む自動車先進国や未だ自動車市場が成長期にあるアジア諸国でさえも、ユーザー視点で見ればウーバーに代表されるシェアリングやオンラインマーケットを通じたファイナンスやサブスクリプションなど、所有のスタイルを変える新たなMobilityビジネスが市場に浸透し始めているというものでした。自動車の電動化や自動運転といったハードなイノベーションと体験や利便性といったソフトなイノベーションはもちろん同時並行して進むと思われますが、ソフトイノベーションの進展スピードは速く、また人々の生活や社会環境と密接に関わることもあり、ハードをベースとしたイノベーションを超えて、Mobilityビジネスの在り方に大きな影響をもたらす、そんな印象を受けるディスカッションとなりました。(文/OI高橋)