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2020年 HANEDAに近未来を実装した新しいスマートシティが誕生する

 HANEDA INNOVATION CITY(HICity)をご存じでしょうか?2020年のまち開き、2022年のグランドオープンを目指して羽田みらい開発株式会社が開発を進めている新しい街の名称です。HICityは、羽田空港の国際線ターミナルから1駅、京浜急行電鉄空港線/東京モノレール「天空橋駅」に直結する複合施設からなり、約5.9ヘクタールの敷地に先端医療を含む研究開発施設、コンサートホール、飲食街や滞在施設、水素ステーションなどから構成される予定です。各施設は「イノベーションコリドー」と呼ばれる2階レベルのデッキ空間で繋がり、分野を超えてさまざまなモノやコトが交流し、新しい体験や価値が生み出される、そんな近未来のまちづくりを目指しています。この近未来のまちHICityの魅力を最大限に引き出すアイデアを全国のスタートアップや中小企業等から募集するプログラム『HANEDA INNOVATION CITY BUSINESS BUILD』の説明会が2019年12月19日に東京大手町のSPACES(大手町ビル内)で開かれました。京セラはこのプログラムに実装パートナーとして参加しています。

 『HANEDA INNOVATION CITY BUSINESS BUILD』は、HICityの開発主体である羽田みらい開発株式会社を始め、関東経済産業局、大田区、オープンイノベーションプラットフォーム「eiicon」を運営するパーソルイノベーション株式会社が実施するプログラムで、選出されたアイデアはHICityへの実装を目指してインキュベーションフェーズに進むことになります。

羽田が目指すスマートシティ

 HICityはもともと「羽田空港跡地第1ゾーン整備事業(第一期事業)」と呼ばれており、大田区が日本のものづくり技術や各地域の魅力を国内外に発信する「新産業創造・発信拠点」の形成を目指して公募した官民連携のプロジェクトです。鹿島建設、京浜急行電鉄、大和ハウス、日本空港ビルデング、東日本旅客鉄道、東京モノレール、空港施設、野村不動産パートナーズ、富士フイルムの9社が出資する羽田みらい開発株式会社が開発事業者に選ばれ、2018年5月より始動しています。

 大田区は、交通弱者の移動手段不足や高齢化の進展、事業の担い手不足、観光認知度の向上といった諸課題に対して、スマートモビリティ、スマートヘルスケア、スマートロボティクス、スマートツーリズムの4つのテーマを兼ね備えた近未来のまちづくりビジョンを描き、HICityへの実装を目指しています。

 スマートが意味するところは言うまでもなくデータの利活用。HICityでは、施設の空間情報をデータ化し、将来的にはデータの活用プラットフォームを整備、空間情報と様々な取組みを統合するデータ基盤を構築する計画で、国土交通省からスマートシティーモデル事業「重点事業化促進プロジェクト」に選定されています。センシング等により取得した様々なデータをバーチャル都市空間上に可視化し、誰でも使えるように公開することで、官民が一体となったスマートシティの取組みを後押しする狙いもあるようです。

HANEDA INNOVATION CITY BUSINESS BUILD

 『HANEDA INNOVATION CITY BUSINESS BUILD』は、そんなHICityの魅力を最大限に引き出すアイデアを広く募集し、その実装を通じてHICityを共に興す、というオープンイノベーションプログラムです。12月19日(木)に開かれた説明会にはプログラムに関心を持つベンチャー企業など約100社が全国から集まりました。19:00に開始された説明会では、冒頭、関東経済産業局の門田氏より同省のオープンイノベーション推進施策が説明され、続いて日本空港ビルデングの志水氏からは羽田ターミナルビル内でのロボット活用事例、eiiconの小西氏からプログラムの内容説明、そして羽田みらい開発株式会社の加藤氏よりHICityの概要について紹介が行われました。

 実装パートナーからは、大田区の臼井氏、I-OTAの國廣氏の説明に続き、実装パートナーでもあり、また応募企業のメンターでもあるソフトバンクの浅井氏、エイベックス・エンターテイメントの渡辺氏、そして京セラの大崎からそれぞれが保有するオープンイノベーションリソースの紹介や『HANEDA INNOVATION CITY BUSINESS BUILD』が持つ魅力などが説明され、ユニークなアイデアと多数のエントリーに期待が寄せられました。

 『HANEDA INNOVATION CITY BUSINESS BUILD』のエントリーテーマは、(1)街との新たなタッチポイント創出、(2)ここでしかできない賑わいを生み出す体験価値、そして(3)先端技術を活用した新たな社会価値創造の3つです。2020年1月14日に応募を締め切り、アイデア選抜を経た後、1月31日(金)、2月1日(土)のビジネスビルドに進むことになります。ビジネスビルドでブラッシュアップされたアイデアは、更なる選考を経た後、2020年夏の実証実験を目指してインキュベーションフェーズへと移る予定になっています。

 約2時間にわたる説明会の後に行われた懇親会では、参加者間の親睦が深められました。募集はまだ始まったばかりで、どんなアイデアがエントリーされるのか、果たして実装までたどり着くのか、現時点ではだれにも予想がつきません。一方で、行政や企業、ベンチャーなど様々な人たちが羽田を舞台に知恵を出し合い、協力して、近未来のまちを創ろうという取り組みは、これからの共創社会の在り方を模索する上で、とてもチャレンジングで、そして大変意義深い試みだと言えます。猛スピードで進むイノベーションの恩恵を如何にタイムリーに、そしてクリエイティブに取り込んでゆくか?オープンイノベーションによる新たな街の誕生に大きな期待が寄せられています。